実が付くまでの年数は苗で決まる
桃栗三年柿八年、ゆずの大馬鹿十八年と言われるのは種から育てた実生の話です。実生は幼木期が長く、実際に18年近くかかることがあり、トゲも極端に多くなります。
いま売られている苗の多くはカラタチを台木にした接ぎ木苗で、植え付けから3年から4年、遅くとも5年で実が付きます。庭に植えるなら接ぎ木苗を選ぶのが前提です。
| 苗の種類 | 初結実の目安 | 性質 |
|---|---|---|
| 実生苗 | 15年前後かかることがある | 樹が大きくなりトゲが多い |
| カラタチ台の接ぎ木苗 | 3〜4年 | 樹が抑えられ結実が早い |
| ゆず台の接ぎ木苗 | 5年前後 | 強健で寿命が長いが大木になる |
接ぎ木苗でも植え付け1年目から2年目は花を摘みます。実を持たせると樹が大きくならず、結局遅れます。
表年と裏年ができる仕組み
実がたくさん付いた年は、果実が養分を使い切ってしまい、翌年の花のもとになる発育枝がほとんど伸びません。だから翌年は花が咲かず裏年になります。
逆に裏年は果実に養分を取られないので枝がよく伸び、その枝に翌年たくさん花が付いて表年に戻ります。放っておくと1年おきの振れ幅がどんどん大きくなります。
- 花芽ができるのは前年の秋
- 翌春に咲く花のもとは、前年の9月から11月に枝の中で作られます。この時期に果実を持たせすぎない量に調整するのが要点です。
- 表年にやること
- 摘果で数を強く減らし、切り返し剪定を多めにして発育枝を出させます。実を減らすほど翌年の花が増えます。
- 裏年にやること
- よく伸びた発育枝は切らずに残し、花が付いていない長い枝だけ切り返します。摘果はほとんど不要です。
摘果は生理落果が終わってから
ゆずは5月に開花し、6月いっぱいは木が自分で実を落とす生理落果(木が自分で実の数を減らす自然な落果)が続きます。この間に摘んでも木がさらに落とすので、摘果は7月下旬から8月に入ってから始めます。
- まず傷んだ実を落とす
- トゲで傷が付いた実、形がいびつな実、かいよう病の斑点がある実を先に落とします。数を数えるのはその後です。
- 次に上向きの実を落とす
- 枝の上に乗った実は日焼けしやすく肌が荒れます。下向きと横向きに付いた実を残すと、収穫時の品質がそろいます。
- 最後に数を合わせる
- 1カ所に2個以上付いていたら大きいほうを残します。ここまでを8月中に終えれば、秋の花芽形成に間に合います。
- 遅れたときは9月上旬まで
- 9月に入ってからの摘果でも果実の肥大には効きますが、翌年の花への効果は薄れます。翌年は剪定側で調整します。
青ゆずとして使う分は、この摘果で落とす実を8月下旬に収穫すれば無駄になりません。落とすついでに使います。
葉果比で数を決める
残す果実の数は、その果実を養う葉の枚数で決めます。これが葉果比(実 1 個あたりの葉の枚数)です。ゆずは100枚の葉に1果が標準で、隔年結果を直したい木では葉を多めに割り当てます。
| ねらい | 葉果比の目安 | 結果 |
|---|---|---|
| 標準の着果 | 葉100枚に1果 | 毎年ほぼ同じ量が採れる |
| 隔年結果を直す | 葉70〜90枚に1果より減らす | 翌年の花芽が確実に増える |
| 大きな実を採る | 葉50〜60枚に1果は付けすぎ | 数を減らすほど1果が大きくなる |
| 裏年の木 | 摘果しない | もともと実が少なく樹に余裕がある |
葉は数えきれないので、枝1本ぶんだけ実際に数えて感覚をつかみ、あとは同じ密度で落としていきます。
予備枝を作って翌年に備える
予備枝とは、今年は実を付けさせず来年の花を咲かせるために用意する枝のことです。実があまり付かなかった木では、10月ごろにこの枝を作っておきます。
- 夏秋枝を春枝まで戻す
- 夏から秋に伸びた細長い枝を、春に伸びた枝の位置まで切り戻します。切った下から充実した枝が出て、翌々年の結果枝になります。
- 作業は10月ごろ
- 収穫前のこの時期なら、切っても新梢が再び伸びません。春に同じことをすると徒長(間のびして弱く伸びること)枝が噴き出します。
- 木の3分の1で行う
- 全体でやると収穫がなくなります。区画を決めて毎年別の場所で回すと、木の中に必ず実る枝と休む枝が同居します。
- 若い側枝を優先する
- 予備枝にするのは3年以内の若い枝です。古く硬くなった枝を切り戻しても、勢いのある芽が出てきません。
剪定の強弱で翌年の花を調整する
摘果が間に合わなかった年でも、翌春の剪定で振れ幅を小さくできます。花芽の付いた枝を減らせば実は減り、残せば増えるという単純な関係を使います。
| 今年の状態 | 3月の剪定 | ねらい |
|---|---|---|
| 実が多かった表年の翌春 | 切り返しを多くする | 花を減らし発育枝を出させる |
| 実が少なかった裏年の翌春 | 発育枝は切らず間引きだけ | 付いた花を全部生かす |
| 毎年安定している木 | 2割の間引きを維持 | いまの均衡をくずさない |
表年の翌春は太枝を切っても徒長枝が出にくいので、樹形を直すなら表年の翌春が最適のタイミングです。
それでも裏年になったときの立て直し
花がまったく咲かない年でも、やることは残っています。翌年を確実な表年にするのではなく、翌年以降を平らにならす方向で手を打ちます。
裏年かどうかは春の花の数で判断します。例年の半分も蕾が見えないなら裏年と考え、実を採る前提の管理から、翌年の花芽を作る管理へその年のうちに切り替えます。
- 施肥を減らさない
- 実がなくても3月、6月、10月の年3回は続けます。この年に伸びた枝が翌年の花を作るので、枝を充実させることが目的です。
- 伸びた枝を全部残す
- 裏年は枝がよく伸びます。混みすぎた部分だけ抜き、外向きの枝は切らずに残せば翌春に花が集中します。
- 翌年は必ず摘果する
- 裏年の翌年は花が過剰になります。ここで摘果を省くと再び裏年に落ちるので、葉100枚に1果まで落とします。
- 実の数を書き留める
- 採れた実の数を年ごとに記録します。前年比の目安が分かると、翌年どこまで強く摘果するかを迷わずに決められます。
隔年結果は1年では直りません。摘果と予備枝を3年続けて、振れ幅が半分になれば成功と考えます。
ゆずの摘果に使うもの
摘果は減らす作業ですが、残った実は大きくなり、翌年の花芽も付きます。減らさないほうが穫れないのが木です。
- 摘果ばさみ探す言葉「摘果ばさみ 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 4〜5cm。密集した実の間に差し込めるもの。
先の尖ったはさみは、残す実に傷を付けます。傷が付くとそこから腐ります。
- 果実袋探す言葉「果実袋 果樹 かけ袋」
- 規格の目安
- 作物に合ったサイズ。上部に針金の入った掛けやすいもの。
- 数量の目安
- 木 1 本で 50〜200 枚。摘果を終えた実の数で決めます。
摘果のあとにかけます。虫と病気と鳥をまとめて防げて、見た目もきれいに仕上がります。
- 実の数が少ないなら、手で摘み取れば摘果ばさみは要りません。
- 袋かけは必須ではありません。見た目より数を穫りたいなら省けます。
ゆずの収穫までのコツは作物ページに
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