苗は接ぎ木苗を選ぶ
種から育てた実生苗は結実まで15年前後かかることがあり、トゲも極端に多くなります。家庭で植えるなら台木に接いだ苗を選び、3年から4年での初結実をねらいます。
接ぎ木苗は株元から20センチほどの高さに接ぎ口のふくらみがあります。これが見つからない苗は実生の可能性があるので、店で確かめてから買います。
| 見る場所 | 良い苗 | 避ける苗 |
|---|---|---|
| 接ぎ口 | 低い位置にふくらみがあり癒着が滑らか | ふくらみがない、割れがある |
| 幹 | 太くまっすぐ、直径1センチ以上 | 細く曲がり、樹皮に傷がある |
| 葉 | 濃い緑でつやがある | 黄ばむ、白い線や斑点がある |
| 根鉢 | 土が締まり根が回っている | 土が崩れる、根が黒い |
接ぎ口より下から出た枝は台木の枝です。トゲが鋭く葉の形も違うので、見つけしだい付け根から切ります。
台木で木の性格が変わる
同じゆずでも、何に接いだかで木の大きさと結実の早さが変わります。庭木として扱いやすいのはカラタチ台で、樹があまり大きくならず結実も早くなります。
- カラタチ台
- 市販苗の主流です。樹の伸びが抑えられ、植え付けから3年から4年で実が付きます。耐寒性の面でも扱いやすい台木です。
- ゆず台
- 強健で寿命は長い一方、樹が大きくなり結実も遅くなります。広い敷地で長く育てる場合の選択肢です。
- 鉢で育てるなら
- 根の張りが抑えられる台木の苗を選びます。台木が分からない場合は、鉢のサイズと剪定で大きさを抑えます。
- トゲなし系統
- トゲの少ない系統もあります。管理は楽になりますが、入手性と結実性は苗の説明を確認してから決めます。
台木は苗のラベルに書かれています。書かれていない苗は、樹の大きさを剪定で抑える前提で選びます。
植え付けは春
植え付けの適期は新芽が動き出す前の3月から4月です。ゆずは柑橘の中では耐寒性が高い部類ですが、根が動く前の低温期に植えると活着せずに枯れます。
| 地域 | 植え付け | 注意 |
|---|---|---|
| 暖地 | 3月中旬〜4月上旬 | 早めに植えて梅雨前に根を張らせる |
| 中間地 | 3月下旬〜4月中旬 | 遅霜が終わってから植える |
| 寒冷地 | 4月中旬〜5月上旬 | 冬の北風が当たらない場所を選ぶ |
秋植えは根が動かないまま冬に入るので避けます。秋に苗を買ったら、鉢のまま軒下で越冬させて春に植えます。
植え穴と土づくり
ゆずは深く根を張る木ではなく、浅く広く根を伸ばします。だから穴の深さより幅が重要で、水はけが悪い場所では土を盛って高く植えるのが基本になります。
- 直径と深さは50センチ以上
- 掘った土に完熟堆肥をバケツ1杯ほど混ぜて埋め戻します。植え付けの2週間前に済ませておくと土が落ち着きます。
- 接ぎ口を土に埋めない
- 接ぎ口が土に隠れると、そこから穂木が自分の根を出して台木の効果が消えます。地面より上に出して植えます。
- 水はけが悪ければ高植え
- 粘土質の畑では周囲より20センチから30センチ高く土を盛って植えます。根が水に浸かると数年かけて弱ります。
- 植えたらたっぷり水を
- 根と土を密着させるため、株元に水をためて2回はしみ込ませます。土が沈んだら足して株元を平らにします。
石灰は控えめにします。ゆずが好むのはペーハー5.5から6.5の弱酸性で、入れすぎると微量要素が効かなくなります。
植えてから最初の1年
植え付け1年目は実を採る年ではなく、根を広げる年です。ここで実を持たせると木が大きくならず、結果として収穫の立ち上がりが数年遅れます。
- 花は全部摘む
- 1年目から2年目に咲いた花は摘み取ります。枝葉に養分を回すほうが、3年目以降の収量がはるかに大きくなります。
- 支柱を立てる
- 根が張るまで風で揺れると根が切れます。斜めに支柱を立てて幹を8の字に結び、1年から2年は外しません。
- 夏の乾燥に注意
- 根が浅いので夏の日照りに弱いです。株元に敷きわらを広げ、数日雨がなければ朝のうちにたっぷり与えます。
- 冬は幹を守る
- 寒冷地では幹に藁やテープを巻き、株元に土を寄せます。若木は成木より寒さに弱く、冬の乾いた風で枝先が枯れます。
1年目に伸びた枝は切りません。骨格になる主枝を選ぶのは、枝数がそろう3年目からで間に合います。
鉢で育てる場合
鉢植えなら樹高を抑えたまま、寒い地域でも冬に軒下へ移して育てられます。ただし根詰まりと水切れで一気に落葉するので、地植えより手が要ります。
- 鉢は10号以上
- 直径30センチ以上の鉢に、赤玉土と腐葉土を混ぜた水はけのよい用土で植えます。小さい鉢では実が付く大きさまで育ちません。
- 植え替えは2年に1度
- 3月から4月に一回り大きい鉢へ移し、外周の根を軽くほぐします。根が回りきると水を吸えず葉が落ちます。
- 追肥は月1回
- 3月から10月まで、追肥(育てている途中で足す肥料)を月に1回与えます。鉢は肥料が流れやすく、地植えの年3回では足りません。
- 夏は毎日の水やり
- 鉢は乾きが早く、夏は朝夕2回必要な日もあります。一度でも大きく乾かすと落果と落葉が起きます。
鉢植えは冬に室内へ入れる必要はありません。軒下など霜と北風を避けられる場所で十分に越冬します。
根付かないときの原因の切り分け
植えた木が動かないときは、水、植える深さ、風のどれかが原因のことがほとんどです。掘り返す前に、芽の様子と株元の状態を見て、どれに当たるかを切り分けます。
- 接ぎ口の高さを見る
- 接ぎ口が土に埋まると根付きが悪くなります。埋まっていたら株元の土を削り、地面より上に出しておきます。
- 植え直すかを決める
- 秋まで芽が動かなくても幹に緑が残るなら翌春まで待ちます。幹が乾いて縮んでいれば植え直しに切り替えます。
- 肥料は根付いてから
- 植えた直後に肥料を効かせると根を傷めます。新芽が伸び始めたのを確かめてから、薄い液肥で始めます。
| 症状 | 疑う原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 芽が動かず葉も落ちない | 根がまだ伸びていない | 水を切らさず1か月待つ |
| 葉が丸まって落ちる | 水切れか風当たりが強い | 敷きわらを広げ風よけを立てる |
| 葉が黄色く株元がぐらつく | 深植えか植え穴の水はけ不良 | 土を寄せ直し高めに植え直す |
| 新芽が出てすぐ枯れる | 肥料が根に直接触れている | 株元の肥料を外し水を多めに流す |
植え穴に水がたまる場所では、何度植え直しても同じことが起きます。畝を立てて高く植えるか、場所を変えます。
ゆずの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
ゆずの収穫までのコツは作物ページに
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