1年の流れを表で見る
ゆずの作業が集中するのは3月、6月、8月、10月、11月の5つの月です。それ以外の月は見回りだけで済みます。まず全体を押さえてから、各月の中身に入ります。
表を1年通して見ると、切る作業は3月と6月から7月と10月に、養う作業は3月と6月と10月に集まっているのが分かります。どちらも同じ月に重なるので、まとめて手を入れると効率がよくなります。
| 月 | 木の状態 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1月 | 休眠 | 見回りのみ。雪囲いの点検 |
| 2月 | 休眠明け前 | 切らない。防寒の確認 |
| 3月 | 芽が動く前 | 主剪定、春肥、植え付け、植え替え |
| 4月 | 新芽が伸びる | 芽かき、幼木のかん水 |
| 5月 | 開花 | 花の見回り、幼木は花を摘む |
| 6月 | 生理落果 | 夏肥、徒長枝の整理 |
| 7月 | 夏枝が伸びる | 徒長枝の整理、乾燥対策 |
| 8月 | 果実肥大 | 摘果、青ゆずの収穫開始 |
| 9月 | 花芽ができる | 摘果の仕上げ、台風の備え |
| 10月 | 着色前 | 秋肥、予備枝の切り戻し |
| 11月 | 着色 | 黄ゆずの収穫 |
| 12月 | 収穫終盤 | 採り終えて防寒、礼肥 |
表は中間地の目安です。暖地は半月ほど早く、寒冷地は半月から1か月遅れると考えて読み替えます。
3月から5月の作業
春は1年でいちばん手を動かす季節です。剪定と施肥と植え付けがすべてこの時期に集まり、ここでの判断が秋の収量をほぼ決めます。
- 3月上旬 主剪定
- 新芽が動く前に、木全体の2割を目安に間引きます。花芽が見える時期なので、翌年の花を数えながら切る量を決められます。
- 3月 春肥
- 年3回の施肥のうち最も重要な回です。芽出しと開花に使う養分なので、剪定と同じ時期に樹冠の外周へ施します。
- 4月 芽かきと水やり
- 1カ所から何本も出た芽は芽かき(余分な芽を早く外すこと)で1本にします。植えたばかりの木は乾かすと新芽が止まります。
- 5月 開花
- 白い花が咲きます。人工授粉は不要ですが、幼木は花を全部摘んで枝葉の生育に回します。
春肥は樹冠の外周、枝先の真下あたりへ施します。幹の近くに置いても、そこには吸収する細い根がありません。
6月から7月の作業
梅雨の間は木が自分で実を落とす生理落果(木が自分で実の数を減らす自然な落果)の時期です。落ちるのは異常ではないので、この間は数を数えたり摘んだりせず、翌年の枝づくりに手を回します。
- 6月 夏肥
- 果実の肥大に使う肥料を控えめに与えます。多すぎると夏秋枝が止まらなくなり、エカキムシの被害を招きます。
- 6月下旬 徒長枝の整理
- 真上に噴き出した徒長(間のびして弱く伸びること)枝を根元から抜きます。伸びきる前に決めると養分の無駄が少なくて済みます。
- 7月 乾燥対策
- 根が浅いので日照りに弱いです。株元に敷きわらを広げ、数日雨がなければ朝のうちにたっぷり与えます。
- 7月末で剪定を終える
- 8月以降に切ると新梢が再び伸びます。夏の作業は7月いっぱいで打ち切ると決めておきます。
生理落果で小さい実がぼろぼろ落ちても慌てません。木が自分で数を減らしている正常な反応です。
8月から9月の作業
生理落果が終わったこの時期が摘果の適期です。同時に、翌春の花のもとが枝の中で作られ始めるので、着果の量を決める最後の機会でもあります。
- 8月 摘果
- 傷んだ実と上向きの実から落とし、葉100枚に1果まで減らします。隔年結果を直したい木はさらに減らします。
- 8月下旬 青ゆず
- 摘果で落とす実を青ゆずとして使えます。皮の香りが最も強い時期で、薬味や調味料に向きます。
- 9月 台風の備え
- 枝が擦れた傷はかいよう病の入口になります。風下側に支柱を足し、実の付いた枝を固定します。
- 9月 摘果の仕上げ
- 上旬までに終えれば翌年の花芽形成に間に合います。それ以降は果実の肥大にだけ効くと割り切ります。
9月は翌春の花のもとが枝の中で作られる月です。ここでの着果量が翌年の収量をそのまま決めます。
10月から12月の作業
収穫と、翌年の準備が重なる季節です。10月の切り戻しは翌年の結果枝を作る作業で、太枝を落とす剪定とは目的も強さも違います。
- 10月 秋肥
- 収穫で消耗する分を補います。この時期の窒素は控えめにし、樹勢の回復と翌春の芽出しに備えます。
- 10月 予備枝づくり
- 夏秋に伸びた枝を春枝の位置まで切り戻します。切っても新梢が伸びない時期なので、翌年の花芽が付く枝ができます。
- 11月 黄ゆずの収穫
- 果皮が黄色くなったものから順に採ります。ハサミで枝ごと切り、次にへたの際で切る二度切りにします。
- 12月 採り終えと防寒
- 実を残したまま冬を越すと木が消耗します。全部採り終え、寒冷地では株元に土を寄せて幹を守ります。
10月の切り戻しは翌年のための作業で、太枝を落とす剪定ではありません。混同すると木を弱らせます。
1月から2月にやらないこと
冬にできることはほとんどありません。この時期に手を出すと失敗する作業が決まっているので、やらないことを覚えておくほうが実用的です。
| やりたくなること | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 太枝を切る | 不可 | 切り口が塞がらず枯れ込みが入る |
| 肥料をやる | 不可 | 根が動かず流れるだけ |
| 苗を植える | 不可 | 活着せずに枯れる |
| 枯れ枝を見つける | 記録だけ | 3月に切る場所として印を付ける |
寒風が当たる場所では冬に落葉することがあります。落葉した木は3月の剪定を弱めにして、まず樹勢を戻します。
作業が遅れたときの立て直し
表のとおりに進む年はまれです。遅れても取り返せる作業と、時期を過ぎたらやらないほうがよい作業を分けておくと、迷ったときに判断が速くなります。
- 遅れた剪定
- 芽が伸びてから太枝を切ると、その年の花と実を大きく減らします。枯れ枝と交差枝だけ抜いて次の3月に回します。
- 遅れた摘果
- 9月を過ぎた摘果は実の肥大には効きません。数が多いと分かった年は、翌年の花芽を作る枝の確保を優先します。
- 遅れた収穫
- 年を越すと寒さで実が傷みます。色づきを見て早めに採り、絞って果汁で保存するほうが無駄になりません。
| 遅れた作業 | いつまでなら間に合うか | 過ぎたときの代わり |
|---|---|---|
| 主剪定 | 新芽が伸び出す前まで | 枯れ枝の整理だけにして翌年に回す |
| 春肥 | 4月中まで | 6月の夏肥をやや早めに与える |
| 摘果 | 9月の花芽ができる頃まで | 数を残したまま翌年の摘果を強める |
| 収穫 | 年内まで | 寒害を避け早めに採り果汁で保存 |
遅れを取り返そうと肥料を足すのは逆効果です。枝が伸びすぎて翌年の花芽が減り、隔年結果の振れ幅が大きくなります。
ゆずの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
ゆずの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はゆずの育て方にまとめています。
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