主剪定は3月に済ませ、秋以降は切らない
ゆずの主剪定は3月上旬から4月上旬、新芽が動き出す前に終えます。この時期は花芽が枝の表面にふくらんで見えるので、来年の花を数えながら切る量を決められるからです。
切る量は木全体の枝の2割程度にとどめます。目安は、真上から見て木の内側に木漏れ日がちらちらと差す状態です。それ以上抜くと日焼けと徒長(間のびして弱く伸びること)枝の噴き出しを招きます。
ゆずは常緑で、葉を付けたまま冬を越して寒さに耐えます。晩秋以降に強く切ると耐寒力が落ち、切り口も塞がらないまま低温にさらされて枯れ込みが幹の内部まで入ります。
- 葉を減らさない
- 冬の葉は翌春に芽を伸ばす貯金です。秋に葉ごと大量に落とすと、春の芽出しが遅れて花数も減ります。
- 切り口が塞がらない
- 低温期は細胞分裂が止まり、切り口を覆う組織ができません。太い枝を切るなら気温が上がる3月まで待ちます。
- 10月に許されるのは軽い切り戻し
- 夏秋に伸びた枝を春枝の位置まで戻す作業は10月に行えます。太枝を落とす作業とは別物として扱います。
- 枯れ込みを見つけたら
- 冬に枝先が茶色く枯れていたら、3月に生きた組織まで戻して切ります。中途半端に残すと枯れが進みます。
| 時期 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 3月上旬〜4月上旬 | 主剪定。骨格づくりと間引き | 花芽が見え、切り口が早く塞がる |
| 6月下旬〜7月 | 徒長枝の整理 | 伸びた枝を早く止めて日を入れる |
| 10月 | 予備枝づくりの切り戻し | 翌年の花芽を出す枝を用意する |
| 11月〜2月 | 切らない | 寒害と枯れ込みを招く |
剪定の前に、木の高さと幅をどこまでに収めるかを先に決めます。決めずに切ると必ず切り足りません。
切る枝と残す枝
ゆずの剪定でいちばん多い失敗は、混んで見える外側の充実した枝を落とし、内側の弱い枝を残すことです。判断に迷ったら、枝の太さではなく向きと出どころで決めます。
| 枝 | 扱い | なぜ |
|---|---|---|
| 真上に立つ強い枝 | 付け根から抜く | 伸びるだけで花が付かず、木を高くする |
| 内側へ向かう枝 | 抜く | こすれて傷が付き、かいよう病の入口になる |
| 枯れ枝・こみ合う細枝 | 抜く | 日陰を作り、病害虫の越冬場所になる |
| 斜め外向きの30センチ前後の枝 | 残す | 翌年よく花が付く、いちばん良い結果枝 |
太い枝は付け根で切り、数センチの切り株を残しません。残した部分から枯れ込みが主枝まで入ります。
夏に噴き出す徒長枝
強く切った年の初夏には、切り口の近くから真上へ勢いよく伸びる徒長枝が何本も出ます。これを放置すると翌年さらに木が高くなり、下の枝が日陰になって枯れ上がります。
- 6月下旬から7月に整理
- 根元から抜く枝と残す枝を分けます。伸びきる前に決めれば、木が使う養分の無駄が少なく済みます。
- 1カ所から1本だけ残す
- 同じ切り口から3本も4本も出ていたら、外側へ向かう1本だけ残して他は抜きます。全部残すと箒のようになります。
- 残す枝は先を止める
- 骨格の穴を埋めたい位置に出た徒長枝は、先端を3分の1ほど切って横枝を出させ、数年かけて結果枝に変えます。
- 8月以降は触らない
- 夏の終わりに切ると夏秋枝が再び伸び、エカキムシを呼び込みます。整理は7月までで打ち切ります。
樹高を抑える切り戻し
収穫できる高さは脚立を使っても3メートル前後までです。ゆずは10年を超えると5メートル以上になるので、高さは一度に詰めず、数年かけて下げます。
- 目標の高さを決める
- 手を伸ばして届く2.5メートルから3メートルを上限にします。この高さならトゲのある枝を無理な姿勢で扱わずに済みます。
- 一度に3分の1まで
- 高さを詰めるのは全体の3分の1が限度です。一気に半分に落とすと徒長枝だけが噴き出し、2年から3年は実が付きません。
- 横枝の位置で切る
- 主枝を詰めるときは、外向きの側枝が出ている真上で切ります。何もない位置で切ると切り口から枯れ込みます。
- 3年計画で下げる
- 初年に上部の1本、翌年に別の1本と順に更新します。毎年少しずつなら収穫を落とさずに高さを下げられます。
切り口が直径3センチを超えたら癒合剤を塗ります。ゆずは切り口から水が入ると幹の腐りが進みやすい木です。
トゲの扱い
ゆずのトゲは長いもので数センチあり、先が硬く鋭いので革手袋でも貫きます。作業中の怪我より厄介なのは、風で揺れた枝のトゲが果実の肌を突いて傷物にすることです。
- 作業前の装備
- 厚手の革手袋と長袖、保護めがねを用意します。顔の高さの枝を切るときは、跳ね返ったトゲが目に入る事故がいちばん多いです。
- 実の近くのトゲを落とす
- 果実がぶら下がる位置のトゲは、剪定ばさみの刃元で付け根から切ります。傷ゆずが目に見えて減ります。
- 切った枝はすぐ片づける
- 地面に落ちたトゲは長靴を貫きます。切りながら一カ所へ集め、その日のうちに束ねて処分します。
- トゲは若木ほど多い
- 幼木は身を守るためトゲが多く、樹齢が進むと減ります。若木のうちは通路側の枝のトゲだけ落として通行を確保します。
幼木と成木で切り方を変える
幼木の剪定は骨格づくり、成木の剪定は日を入れて枝を更新する作業です。目的が違うので、同じ強さで切ると幼木は結実が遅れ、成木は隔年結果が強まります。
| 樹齢 | 切る量 | 目的 |
|---|---|---|
| 1〜3年 | ごく軽く。主枝を3本選ぶ程度 | 枝葉を増やして早く大きくする |
| 4〜7年 | 弱め。内向き枝と立ち枝を抜く | 日を入れつつ結果枝を増やす |
| 8年以降 | 2割程度。高さと幅を維持 | 更新と樹高の抑制を両立させる |
幼木を強く切ると結実がさらに遅れます。最初の数年は切らずに育てるほうが早く実が付きます。
切りすぎ・枯れ込みの立て直し
切りすぎた年は葉が減り、翌年の花も減ります。ただし切りすぎによる不調と寒さの枯れ込みでは手当てが逆になるので、枝の断面と芽の位置を見てから次の一手を決めます。
- 生きた高さを探す
- 枝を少しずつ切り上げ、断面の中心が緑になる位置を探します。茶色いまま残すと、そこから下へ枯れが進みます。
- 日焼けを防ぐ
- 急に日が当たる太い枝は皮が焼けます。白い塗料を塗るか内側の枝を残して日陰を作り、1年かけて慣らします。
- 翌年で取り返す
- 切りすぎた年に肥料を増やしても花は戻りません。年3回の施肥を続けて枝を充実させ、翌年の花芽に回します。
| 木の姿 | 起きたこと | この後の手当て |
|---|---|---|
| 枝先が茶色く枯れる | 寒害か切り口からの枯れ込み | 3月に生きた組織まで切り戻す |
| 内側が明るくなりすぎた | 抜きすぎて幹に日が当たる | 日よけを巻き内側の枝を数本残す |
| 太い枝が真上に噴く | 切る量が2割を超えた | 根元から抜かず先端を止めて弱らせる |
| 花がまったく付かない | 花芽の付いた枝を切った | その年は整えず枝を伸ばして待つ |
切りすぎたかどうかは、切った直後より6月の徒長枝の量で分かります。噴き出しが多い年は、次の冬を控えめにします。
ゆずの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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