植える場所をタイプで選ぶ
ゼンマイは山の谷筋や沢沿いに生えるシダで、強い直射日光と乾燥をいちばん嫌います。庭に植えるなら、午前だけ日が差して午後は日陰になる場所か、落葉樹の下のような明るい日陰が向きます。夏に土が白く乾く場所では、葉が縮れて何年たっても株が太りません。
かといって水が溜まりっぱなしの場所も向きません。土を握ってみて、しっとりまとまるが水は出ない、くらいの湿り気が目安です。林の縁で落ち葉が積もった地面を思い浮かべると、ちょうどよい状態が分かります。
| 場所のタイプ | 向き不向き | 手当て |
|---|---|---|
| 南向きの日なた | 不向き。葉が焼けて縮れる | 寒冷紗や背の高い草で午後の日を遮る |
| 午前だけ日が差す東側 | いちばん向く | そのまま植えてよい |
| 落葉樹の下の明るい日陰 | 向く | 落ち葉はどけずに敷いたままにする |
| 一日中暗い建物の北側 | 育つが芽が細い | 明るさ不足なので株が太るのを待つ |
根株は芽の数を見て選ぶ
ゼンマイは山菜苗を扱う店や通信販売で、根株(地下の太い根と芽の塊)の形で売られます。選ぶときは根の長さより、株の頭に付いた芽の数を見てください。芽が三つ以上あれば、その春から葉を伸ばして自力で育ちます。
芽が一つしかない小さな株でも育ちますが、穫れる大きさになるまで四年から五年かかります。急がないなら小さい株を数多く、早く穫りたいなら大きい株を少なく、と決めると迷いません。
- 根株を水に浸す
- 植える前に一時間ほど水に浸け、輸送中に乾いた根を戻します。指で押して中がすかすかな株は傷んでいるので、深植えにせず様子を見ます。
- 穴は深くより広く
- 深さ二十センチ、直径三十センチほどの穴を掘ります。ゼンマイの根は横に広がるので、深く掘るより広く耕したほうが効きます。
- 芽を上にして据える
- 芽の付いた頭が地面すれすれに来る高さに置きます。深く埋めると芽が地上に出るまでに力を使い、その年の葉が細くなります。
- 落ち葉をかぶせる
- 植えたあと落ち葉か腐葉土を五センチほど敷きます。土の乾きと地温の急な変化が和らぎ、自生地に近い環境になります。
植え付けの適期は落葉している十一月から三月です。芽が動き出してからの植え付けは根が水を吸えず、その年の葉が出ないことがあります。
土は腐葉土を多めに混ぜる
ゼンマイの根は、水を含みながらも空気が通る土を好みます。畑土のままだと夏に固く締まり、根が呼吸できずに衰えます。植え穴の土に腐葉土を三割ほど混ぜてから埋め戻すと、湿り気と通気の両方が保てます。
| 土の状態 | 混ぜるもの | 量の目安 |
|---|---|---|
| 粘りが強く固まる | 腐葉土と川砂 | 掘った土の三割と一割 |
| 砂質でよく乾く | 腐葉土と完熟堆肥 | 掘った土の四割 |
| すでに落ち葉が積もる林縁 | 混ぜなくてよい | 落ち葉を敷き直すだけ |
植えて三年は穫らずに育てる
ゼンマイは春に出た芽を摘むと、その年の葉が減り、翌春の芽を作る力も落ちます。植えた直後の株はまだ根に蓄えがないので、三年は摘まずに葉を伸ばさせるのが結局いちばん早い近道です。
毎年、葉の本数と太さを記録しておくと判断しやすくなります。前の年より太い芽が増えていれば順調、細い芽ばかりなら日ざしか乾きのどちらかが合っていない合図です。
| 時期 | 株の姿 | その年にすること |
|---|---|---|
| 一年目 | 葉が二、三本出る | 収穫せず、夏に乾かさない |
| 二年目 | 葉が四、五本に増える | 収穫せず、敷き草を足す |
| 三年目 | 太い芽が混じり始める | 試しに一本だけ摘んでみる |
| 四年目以降 | 毎年十本前後の芽が出る | 三分の一を残して収穫する |
鉢で育てるときの選び方
ベランダでも育てられますが、鉢は乾きやすいので大きめを選びます。直径三十センチ以上の深鉢に、赤玉土の小粒と腐葉土を半々で入れると、水もちと通気の折り合いが付きます。
- 鉢は大きめにする
- 直径三十センチ、深さ二十五センチ以上を選びます。小さい鉢は夏に土が乾ききり、芽が出ないまま株が終わってしまいます。
- 受け皿に水を張らない
- 常に水に浸かると根が傷みます。表土が乾きかけたら鉢底から流れ出るまで与える、という与え方に切り替えます。
- 夏は鉢ごと日陰へ
- 鉢は地面より温まりやすいので、六月から九月は建物の東側や樹木の下へ移します。鉢の側面が熱いと感じたら移し時です。
根づかないときの原因と手当て
植えて一か月たっても芽が動かないときは、掘り返す前に土の湿り気と植え付けの深さを確かめます。ゼンマイは植えた年に葉を出さず、翌春から出てくることもあるので、慌てて掘るとかえって傷めます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 芽がまったく動かない | 深植え、または芽が上下逆 | そっと掘り、頭が地面すれすれになるよう植え直す |
| 出た葉がすぐ茶色く枯れる | 直射日光と乾燥 | 覆いをかけ、敷き草を厚くする |
| 株元が黒くやわらかい | 水が溜まって根が傷んだ | 高い位置に土を盛って植え直す |
| 葉が細く数が増えない | 日ざし不足か肥料切れ | 明るい日陰へ移し、薄い液体肥料を月に一度 |
ゼンマイの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
ゼンマイの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はゼンマイの育て方にまとめています。
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