花の仕組みを知る
アボカドの花は小さくて黄緑色で、四月から五月に何千輪も咲きます。一輪の花は二日にわたって開き、初日は雌として、翌日は雄として開くという特別な性質があります。品種によって初日に午前開くか午後開くかが決まっていて、これをタイプで呼び分けます。
自分の株がどちらのタイプかは苗の札や品種名で調べられます。わからないときは、晴れた日の午前十時ごろと午後三時ごろに花を見て、雌しべが立って雄しべが閉じていれば雌の時間、雄しべが開いて花粉が出ていれば雄の時間です。二日ほど観察すると見当がつきます。
| タイプ | 一日目 | 二日目 | 代表的な品種 |
|---|---|---|---|
| タイプ甲 | 午前に雌として開く | 午後に雄として開く | ハス、メキシコーラ、ピンカートン |
| タイプ乙 | 午後に雌として開く | 翌午前に雄として開く | フェルテ、ベーコン、ズタノ |
甲と乙を一本ずつ並べると、片方が雌のときにもう片方が雄になり、受粉の機会が増えます。ベランダなら鉢を隣り合わせに置くだけで十分です。
一本でも実がつく理由
一本しかなくても、天候によっては雌と雄の開く時間が重なり、同じ木の中で受粉が起こります。とくに気温が二十度前後で不安定な日には開花時刻がずれて重なりやすく、家庭では一本でも数個の実がつくことがよくあります。ただし数はまばらで年によって差が大きいので、安定して採りたいなら二品種を並べます。
- 開いている花を観察する
- 晴れた日の午前と午後に花を見て、中心の雌しべが立っているか、雄しべが開いて花粉が出ているかを確かめます。両方の姿が同時に見えれば受粉の機会があります。
- 筆で花粉を移す
- 雄として開いている花の花粉を柔らかい筆で集め、雌として開いている花の中心につけます。一度に数十輪まとめて行います。
- 虫が来る環境を作る
- アボカドはハナバチやハエが花粉を運びます。開花中は殺虫剤をまかず、近くに花の咲く草を置いて虫を呼びます。
花を咲かせる条件
接ぎ木苗は三〜四年目から花をつけます。花芽は前年の夏から秋に伸びた枝の先に作られるので、秋に強く剪定すると翌春の花がなくなります。また、冬に十度前後の涼しさに当たることで花芽が整うため、冬の間ずっと暖かい部屋に置くと花が咲きにくくなります。明るくて涼しい玄関や廊下が向いています。
肥料も花に関わります。秋に窒素の多い肥料を与えると葉ばかり茂って花芽が減るので、九月の肥料はリン酸とカリが多めの果樹用にし、十月以降は与えません。
| 時期 | 株の姿 | 花のために気をつけること |
|---|---|---|
| 7〜9月 | 枝が伸びて充実する | 先端を切らず、日光にしっかり当てる |
| 10〜11月 | 枝先に花芽ができ始める | 肥料を控え、水も少し減らす |
| 12〜2月 | 休眠、葉が少し落ちる | 五〜十度の明るい場所で冬越し |
| 3〜4月 | 枝先に花房がふくらむ | 暖かくなったら屋外に出し、水と肥料を再開 |
受粉後の落果と摘果
何千輪も咲く花のうち実になるのはごくわずかで、受粉した実も五月から六月にかけて大半が落ちます。これは株が養える数に絞る自然な動きで、心配はいりません。残った実が親指大を超えたら、枝ごとに一〜二個に摘果(実を間引いて数を減らすこと)し、大きく育てます。若い株では一年に三〜五個が目安で、それ以上ならせると翌年に花が咲かなくなります。
- 六月まで落果を見守る
- 受粉後の小さな実が落ちても対処はいりません。落ちずに残った実が六月中旬にどれだけあるかで、その年の収穫数を判断します。
- 枝ごとに一〜二個へ絞る
- 残った実のうち、小さいものや傷のあるものをはさみで切ります。枝の先端に近い実より、枝の途中の実のほうが落ちにくく大きくなります。
- 若い株は数を抑える
- 三〜四年目の株は全体で三〜五個にとどめます。株の大きさに対して実が多いと、翌年は花が咲かない隔年結果になります。
花が咲かない・実がつかないときの切り分け
種から育てた株が咲かないのは年数が足りないだけで、接ぎ木苗なら四年目を過ぎても咲かないときに原因を探します。冬の置き場所が暖かすぎる、秋に剪定して花芽を落とした、日照不足で枝が充実しなかった、肥料の窒素が多すぎた、のどれかであることが多いです。花は咲くのに実がつかないなら、受粉相手の不在か、開花中の低温や長雨を疑います。
| 状態 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 種から育てて咲かない | 年数不足 | 接ぎ木苗に切り替えるか、十年以上待つ |
| 接ぎ木苗が四年以上咲かない | 冬が暖かすぎる、秋の剪定 | 冬は涼しい場所に置き、剪定は春の花後に |
| 花は咲くが全部落ちる | 受粉相手がない、開花中の低温 | タイプの違う品種を並べ、雨の日は軒下へ |
| 実がついても親指大で落ちる | 水切れ、肥料切れ、ならせすぎ | 六月に追肥し、実の数を絞る |
開花中の冷え込みで花が傷むことがあります。四月に霜の予報が出たら、夜だけ鉢を室内に入れます。
アボカドの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
アボカドの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアボカドの育て方にまとめています。
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