普通のバラとは別の作物として選ぶ
四季咲きの木立ちバラやつるバラの系統の選び方、冬剪定や施肥の年間設計といった普通のバラの育て方は、バラのページにまとめてあります。このページで扱うモッコウバラは、中国原産の一季咲きの原種で、棘がほとんどなく、病害虫に強く、剪定時期も肥料の量も普通のバラとは逆に近いので、別の作物として品種から選び直します。
モッコウバラの品種は多くありません。花色が黄か白、咲き方が一重か八重という2つの軸の組み合わせで4タイプに整理でき、どれも4〜5月に直径2〜3センチの小さな花を房状に咲かせます。違いは香りの強さ、花のボリューム、店頭での手に入りやすさです。
| タイプ | 花の姿 | 香り | 手に入りやすさ |
|---|---|---|---|
| 黄モッコウバラ(八重) | 淡い黄色の小さな花が幾重にも重なる | ほとんど無い | 最も多く流通し、園芸店で定番 |
| 白モッコウバラ(八重) | 純白の花弁が重なる上品な花 | かすかに香る | 黄八重に次いで多い |
| 黄モッコウバラ(一重) | 花弁5枚の素朴な黄花 | 黄の中では香りやすい | 専門店や通販で探す |
| 白モッコウバラ(一重) | 花弁5枚の野生種に近い白花 | 4タイプで最も強い | 専門店や通販で探す |
黄モッコウバラ(八重)は迷ったらこれ
園芸店で「モッコウバラ」として売られている苗の大半がこの黄八重です。淡いクリーム色の小さな花が幾重にも重なり、4月中旬から株いっぱいに咲く姿は4タイプの中で一番華やかです。1820年代に中国から英国へ渡り、英国の園芸協会の賞も受けている定番で、病害虫にも強く、初めてのモッコウバラに向きます。
- 香りは期待しない
- 黄八重は4タイプの中で最も香りが弱く、ほとんど香りません。花の量と色で楽しむ品種と割り切り、香りがほしい人は白の品種を選びます。
- 大きく育つ前提で場所を決める
- 生育の勢いは4タイプの中でも強く、地植えでは1年に2〜3メートル伸びます。フェンスやアーチなど這わせる物を先に用意し、鉢なら10号以上を選びます。
- 鉢植えでも咲かせやすい
- 株が若くても花がつきやすく、東京の鉢植えでも2〜3年目から房咲きが見られます。花芽のついた苗を秋に買えば、翌春から花を楽しめます。
白モッコウバラ(八重)は香りと上品さで選ぶ
純白の花弁が幾重にも重なる白八重は、黄八重より少し遅れて咲き、かすかな甘い香りがあります。1807年に中国の広州の苗圃から英国へ運ばれた最初のモッコウバラがこの白八重で、和風の庭にも洋風の庭にもなじみます。黄八重に比べると花の密度はやや控えめです。
- 黄と白を並べるなら開花のずれを見込む
- 黄八重が4月中旬に咲き始めるのに対し、白八重は数日から1週間ほど遅れます。同じアーチに2株を這わせると、黄から白へ色が移る時期ができます。
- 白い花は雨の後の傷みに注意
- 白花は花弁の傷みや茶色の斑点が目立ちます。開花中の長雨の後は咲き終わった房を早めに摘み、見た目を保ちます。
一重の2品種は香りを楽しむ人向け
花弁が5枚の一重は、野生のモッコウバラに近い素朴な姿で、八重より香りがはっきりしています。中でも白モッコウバラ(一重)は4タイプで最も香りが強く、リンゴやイチゴの花を思わせる甘く爽やかな香りがします。黄モッコウバラ(一重)は黄花の中では香りやすい品種です。どちらも流通量が少なく、バラの専門店や通販で探すことになります。
- 白一重は香りの品種として選ぶ
- 庭に入った瞬間に香りで気づく品種です。開花は八重よりやや遅れて4月中旬から下旬で、花が房いっぱいに咲くと香りが風に乗ります。
- 黄一重は花と香りの折衷
- 黄色の花色がほしいが香りも少し楽しみたい人に向きます。花は八重よりあっさりした印象で、葉との対比がきれいに見えます。
- 一重は花がらを放っておかない
- 一重は花弁が少ないぶん散りやすく、散った花弁が枝に残ると見栄えが落ちます。花後の剪定を兼ねて、咲き終わった房ごと切り取ります。
置き場所と目的で決める
4タイプとも育て方の骨格は同じなので、花色の好みに加えて、香りをどこまで求めるか、どこで育てるかで選びます。鉢植えでベランダに置くなら勢いが素直で手に入りやすい黄八重、玄関や窓辺で香らせたいなら白の品種、庭の大きなアーチなら2種類を組み合わせる、という分け方が分かりやすい基準です。
| 場所と目的 | 向くタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| ベランダの鉢植えで花を楽しむ | 黄モッコウバラ(八重) | 花つきがよく手に入りやすい。鉢でも咲かせやすい |
| 玄関や窓辺で香りを楽しむ | 白モッコウバラ(一重) | 4タイプで最も香る。白八重でもかすかに香る |
| 庭のアーチやフェンス | 黄八重と白八重の組み合わせ | 開花が少しずれ、黄から白へ色が移る |
| 和風の庭、白い花で統一したい | 白モッコウバラ(八重) | 純白で上品、和洋どちらにもなじむ |
黄八重と白八重以外は店頭に並ぶことが少なく、取り寄せになります。苗の札に「一重」「八重」「黄」「白」のどれが書いてあるかを必ず確かめます。
苗を買うときに見るところ
モッコウバラは種からだと開花まで3年以上かかるので、苗を買うのが普通です。秋の10〜11月に園芸店に並ぶ苗から、葉に艶があって株元まできれいに葉がつき、虫食いのないものを選びます。細長くひょろりと伸びた苗より、太くがっしりした苗のほうが翌年の立ち上がりが早くなります。
- 花芽つきの苗なら翌春から咲く
- 秋の苗に花芽がついていれば、その翌春に花が見られます。花芽のない若い苗は、本格的に咲くまで2〜3年待つつもりで育てます。
- 札の品種名を確かめる
- 黄八重が「キモッコウバラ」、白八重が「シロモッコウバラ」とだけ書かれていることがあります。一重か八重かが札にない場合は店に確かめます。
- 鉢植えなら根の回り具合を見る
- ポットの底から根が出ている苗は根詰まり気味なので、買ったらすぐ一回り以上大きな鉢に植え替えます。鉢の号数は10号以上を用意しておきます。
モッコウバラの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はモッコウバラの育て方にまとめています。
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