普通のバラと正反対の剪定時期
普通のバラは冬に強く切り戻し、春に伸びた新しい枝に花を咲かせます。その冬剪定と夏剪定の手順はバラのページにあります。モッコウバラはこの常識が通用しません。一季咲きで、翌年の花芽は花後の夏に伸びた枝に秋ごろつくため、冬に切ればその年の花芽をすべて落とすことになります。
したがってモッコウバラの剪定は、花が終わった直後の5〜6月に行い、遅くとも7月までに終えます。8月までなら軽い整理はできますが、9月以降は花芽を傷めるので切りません。普通のバラと同じ感覚で冬に切ってしまい、翌春まったく咲かなかった、という失敗がこの作物で一番多いトラブルです。
| 時期 | 普通のバラ | モッコウバラ |
|---|---|---|
| 冬(1〜2月) | 強剪定の本番 | 切らない。花芽がついている |
| 花後(5〜6月) | 花がら切り程度 | 剪定の本番。咲いた枝を半分に |
| 夏(7〜8月) | 夏剪定で秋の花に備える | 7月までに整理を終える。8月は軽く |
| 秋(9〜11月) | 秋の花を楽しむ | 切らずに誘引だけ。花芽ができる |
花後の剪定の手順
花が終わったら、できるだけ早く取りかかります。目的は3つで、咲き終わった枝を切り戻して新しい枝を出させること、混み合った枝と古い枝を抜いて風を通すこと、伸びすぎた枝を整理して大きさを保つことです。棘がないので手袋なしでも作業できますが、切り口がつぶれないよう、よく切れる剪定ばさみを使います。
- 咲いた枝を半分ほど切り戻す
- 花の咲いた側枝を、全体のバランスを見ながら半分程度の長さに切ります。切った位置の下から新しい枝が伸び、そこに翌年の花芽がつきます。
- 古い枝と細い枝を根元から抜く
- 3〜4年たって花つきの落ちた古い枝、鉛筆より細い枝、内側に向かう枝を根元から切り取ります。株の内側に光と風が入るようにします。
- 長いシュートの扱いを決める
- 株元から勢いよく伸びる太いシュートは、フェンスやアーチを広げたいなら残して誘引し、大きさを保ちたいなら根元から切ります。残すなら横に寝かせます。
- 切り終えたら軽く追肥
- 剪定後に緩効性肥料をひとつまみ株元に置き、新しい枝の伸びを助けます。量は普通のバラの半分以下で、多いと葉ばかり茂ります。
冬に切ると咲かない理由
モッコウバラの花は、前の年の夏から秋に伸びて充実した枝の各節につきます。花芽は秋ごろにできて冬を越し、春に一斉に開きます。つまり冬の枝は、見た目は葉のない棒でも、中身は翌春の花の予約で埋まっています。ここを切れば、その枝の花はすべて失われます。
株全体を冬に強く切り戻すと、翌年はほとんど咲きません。しかも切られた株は春に勢いよく枝を伸ばし、その枝に花がつくのはさらに翌年です。冬剪定の失敗は2年近く尾を引くと考えて、冬は切らずに留め直すだけにします。
- 冬にどうしても切るなら最小限
- 通路に出て邪魔な枝、折れた枝、枯れた枝だけを切ります。残した枝の花芽は温存し、本格的な整理は翌年の花後に回します。
- 切り口の下の芽を見る
- どうしても短くしたい枝は、ふくらんだ芽を残して切ります。芽の数が残った花数になるので、芽を数えてから切る位置を決めます。
伸びすぎた株を小さくしたいとき
何年も放置して2階に届いた株や、フェンスを越えて隣家に入った枝を小さくしたい場合も、時期は花後の5〜6月です。この時期なら太い枝を根元から抜いても株は弱らず、夏に出る新しい枝で翌年の花が確保できます。1年で理想の大きさに戻そうとせず、2〜3年に分けて古い枝を順に更新します。
- 古い主枝を3分の1ずつ入れ替える
- 太く木質化した主枝のうち、一番古いものを毎年1〜2本、根元近くで切ります。株元から出る新しいシュートを次の主枝として育てます。
- 太い幹はノコギリで切り、切り口を保護する
- 10年を超えた幹は直径数センチになります。ノコギリで切り、切り口が大きければ癒合剤を塗って雨による腐りを防ぎます。
- 7月以降は切らずに待つ
- 整理が終わらなくても、7月を過ぎたら残りは翌年の花後に回します。焦って秋に切ると、せっかく残した枝も咲かなくなります。
鉢植えの剪定は枝数を絞るのが中心
鉢植えでは株の大きさに限りがあるので、剪定の中心は枝を伸ばすことより枝数を絞ることになります。オベリスクに巻いた枝のうち、太くて充実した3〜5本を残し、花後にそれ以外を根元から抜きます。残した枝の先端が支柱を大きく越えていれば、7月までに切り詰めます。
- 咲いた枝は支柱の高さに合わせて切る
- 咲き終わった枝を支柱の頂上から少し下の位置で切り戻すと、そこから出る枝を再び巻きつけられます。半分に切る原則より、鉢では収まりを優先します。
- 株元の細いシュートは早めに抜く
- 鉢では株元から出る細いシュートを全部育てると込み合います。残す主枝が足りているなら、出たときに根元からかき取ります。
- 剪定と植え替えは季節を分ける
- 剪定は花後の初夏、植え替えは休眠期の冬と季節が違います。冬の植え替えのついでに枝を切らないよう、別の作業として覚えておきます。
剪定した枝で増やす
花後の剪定で出た枝は挿し木に使えます。6月ごろ、伸びが止まって少し固くなった枝を10〜15センチに切り、下の葉を落として切り口を斜めにし、1〜2時間水に浸けてから湿らせた赤玉土かバーミキュライトに挿します。明るい日陰で土を乾かさないように管理すると1か月ほどで発根します。
- 挿し穂は今年伸びた枝から
- 花の咲いた枝の先ではなく、花後に伸びて少し固まった枝を使います。葉は上の2〜3枚だけ残し、大きい葉は半分に切って蒸散を減らします。
- 発根まで直射日光に当てない
- 挿し木鉢は明るい日陰に置き、土が乾かないように水をやります。根が十分に張った秋か翌春に鉢上げします。
よくある質問
いつ?
冬(1〜2月): 強剪定の本番。花後(5〜6月): 花がら切り程度。夏(7〜8月): 夏剪定で秋の花に備える。秋(9〜11月): 秋の花を楽しむ。
モッコウバラの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
モッコウバラの剪定の時期で使う道具の選び方
道具と資材を、比べて選ぶための記事です。
- 果樹の剪定ばさみの選び方。バイパス式で、全長は手に合わせて180mmか200mm — 冬剪定の前に。バイパス式と全長の選び方
- サビだらけの剪定ばさみを 20 分で戻した。サビ消しゴムと砥石の話 — サビた剪定ばさみを砥石で戻す手入れ
モッコウバラの上手に育てるコツは作物ページに
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