モッコウバラは誘引が主な作業
普通のつるバラの誘引の基本もバラのページにありますが、モッコウバラは棘がほとんどなく素手で扱え、枝が細くしなやかなので、誘引そのものはずっと楽です。その代わり伸びる量が桁違いで、1年に2〜3メートル伸びた枝をどこへどう留めるかが、翌年の花数と見た目の大半を決めます。
誘引の時期は花後の剪定が終わった後の初夏と、枝が固まる秋の9〜10月です。冬にも留め直せますが、枝には翌春の花芽がついているので、花芽を折らないように丁寧に扱います。
- 横に寝かせるのが大原則
- 枝を上に伸ばすと先端にしかつぼみがつきませんが、地面と水平か斜めに寝かせると各節から複数のつぼみが出ます。同じ株でも誘引の仕方で花数は何倍も変わります。
- 留めるのは麻ひもかビニールタイで緩く
- 幹は年々太るので、きつく結ぶと食い込みます。8の字にかけて指1本入る余裕を残し、毎年の誘引で結び直します。
- 先端は少し下げる
- 枝先を水平より少し下げて留めると、枝の途中の芽が目覚めて花枝が増えます。先端が上を向いていると勢いが先端に集まります。
フェンスに這わせる
一番手入れが楽で、花がよく見える仕立てです。株元から出た太い枝を主枝として左右に振り分け、フェンスに沿って水平に留めます。そこから翌年出る側枝に花が咲くので、主枝の間隔は30センチほど空け、側枝は花後に切り戻して更新します。10年を超えると幹が木質化してフェンスを押すので、支柱を独立させておくと安心です。
- 主枝を左右に水平に振る
- 株元から出た太くて長い枝を2〜4本選び、左右に分けてフェンスの横桟に沿って留めます。重なる枝や内向きの枝は根元から抜きます。
- 側枝は花後に半分に切る
- 主枝から出た側枝に花が咲いたら、5〜6月に半分ほど切り戻します。そこから伸びる新しい枝に翌年の花芽がつきます。
- はみ出した枝は7月までに整理
- フェンスから大きくはみ出した枝は、花芽ができる前の7月までなら切っても翌年の花に響きません。秋以降は切らずに留め直して収めます。
アーチに仕立てる
アーチの両側に1株ずつ植え、頂上で出会わせる仕立てが定番です。黄八重と白八重を両側に植えると、開花のずれで色が移ります。注意点は高さで、頂上まで届くと誘引や剪定に脚立が必要になり、年を追うごとに作業が大変になります。無理なく手が届く高さのアーチを選ぶか、頂上は自然に垂らすつもりで設計します。
- 柱にはらせん状に巻き上げる
- 主枝を柱にまっすぐ沿わせると下のほうに花がつきません。柱の周りをらせんに巻くように留めると、枝が斜めになって柱の下から花がつきます。
- 頂上は枝を垂らして咲かせる
- 頂上を越えた枝は切らずに反対側へ垂らすと、垂れた枝全体に花がつき、花のカーテンになります。長すぎる枝だけ7月までに切ります。
- 株数は片側1株で足りる
- 勢いが強いので、片側に2株植えると数年で絡み合って手に負えません。片側1株、計2株で十分にアーチを覆います。
鉢植えはオベリスクか行灯仕立て
ベランダや玄関先の鉢植えでは、高さ1.5メートル前後のオベリスクか、あさがおの支柱のような行灯支柱に巻きつける仕立てが現実的です。枝をらせん状に巻きながら上に上げると、枝が斜めになって各節に花がつき、小さな鉢でも房咲きが楽しめます。鉢は10号以上にして、支柱は植え付け時に立てておきます。
- 下から上へらせんに巻く
- 伸びた枝を支柱の下から上へゆるやかならせんに巻き、要所を留めます。1周の間隔を20〜30センチにすると全体に花が散らばります。
- 支柱の高さを超えた枝は折り返す
- 頂上を越えた枝は切らずに下へ折り返して留めます。秋に支柱より大きくはみ出した分だけ、翌年の花後に切ります。
- 枝数は3〜5本に絞る
- 鉢では枝を増やしすぎると込み合って風通しが悪くなります。太い枝を3〜5本残し、細い枝や内向きの枝は花後に根元から抜きます。
- 鉢ごと倒れない重さにする
- 枝が茂ると風を受けて倒れやすくなります。鉢の底に重い鉢底石を多めに入れるか、鉢を手すりや壁に固定します。
仕立て別の向き不向き
どの仕立てでも誘引の原則は同じですが、将来の大きさと作業のしやすさが違います。手の届く範囲で済ませたいならフェンスか鉢のオベリスク、見栄えを優先するならアーチ、という選び方になります。
| 仕立て | 向く場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| フェンス | 庭の境界、道路沿い | 幹が太ると押すので支柱を独立させる |
| アーチ | 庭の入口、通路 | 頂上の作業に脚立が要る。高さを抑える |
| オベリスク・行灯 | 鉢植え、ベランダ、玄関先 | 10号以上の鉢、枝数を絞る、倒れ対策 |
| 壁面・パーゴラ | 広い庭 | 2階に届く大きさを前提に、7月までの整理を欠かさない |
誘引のときに困りがちなこと
枝が長すぎて収まらない、固くなって曲がらない、留めた枝が折れたという相談が多いので、対処をまとめます。モッコウバラの枝は若いうちはしなやかですが、秋に木質化すると曲げにくくなります。曲げたい形は枝が柔らかい初夏から夏のうちに大まかに作っておきます。
- 固い枝は数日かけて曲げる
- 一度に水平まで倒すと付け根から裂けます。まず斜め45度で留め、数日おいてさらに倒す、と段階的に曲げます。
- 収まらない枝は切るより巻く
- 秋以降は花芽がついているので、長い枝は切らずに折り返したり、らせんに巻いたりして収めます。切るのは翌年の花後に回します。
- 折れた枝は付け根から切る
- 途中で折れた枝を残しても花はつきにくく、病気の入口になります。付け根からきれいに切り、隣の枝で穴を埋めます。
モッコウバラの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
モッコウバラの誘引と仕立てで使う道具の選び方
道具と資材を、比べて選ぶための記事です。
- 果樹の剪定ばさみの選び方。バイパス式で、全長は手に合わせて180mmか200mm — 冬剪定の前に。バイパス式と全長の選び方
- サビだらけの剪定ばさみを 20 分で戻した。サビ消しゴムと砥石の話 — サビた剪定ばさみを砥石で戻す手入れ
モッコウバラの上手に育てるコツは作物ページに
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