麦踏みは冬に二回から三回、晴れた日に
麦踏み(芽を足で踏むこと)は、霜柱で浮いた根を土に押しつけ、株元の分げつ(株元から茎が枝分かれすること)を増やす作業です。十二月から二月の間に、二週間から三週間おきに二回から三回、晴れて土が乾いた日の午前に条に沿って踏みます。
踏むと葉が折れて心配になりますが、翌週には立ち直り、以前より株が締まります。雨のあとや霜の溶けかけで土が湿っているときに踏むと、土が固まって根が傷むので避けます。大麦は湿った土を嫌うので、この点はライ麦や小麦より気をつけます。
| 時期 | 作業 | 見て決める目安 |
|---|---|---|
| 12月上旬〜中旬 | 一回目の麦踏み | 本葉三枚以上、霜柱が立ち始めたら |
| 1月 | 二回目の麦踏み | 根が浮いて葉が黄色くなっていたら |
| 2月上旬 | 三回目の麦踏みと追肥 | 分げつが五本以上あれば踏まなくてよい |
| 2月下旬以降 | 踏まない | 茎が立ち上がったら穂の元を傷める |
追肥は二月上旬に一回、葉色で量を決める
追肥(育ちの途中で足す肥料)は二月上旬に一回だけです。大麦は小麦より春の伸び始めが早いので、二月中旬を過ぎると遅くなります。一平方メートルにひと握りほどの化成肥料を条間にまき、土と混ぜて株元へ寄せます。この一回で穂の数と実の入りが決まります。
葉の色が濃く、株元の分げつが五本以上あるなら量を半分にします。肥料が多いと茎が伸びすぎて五月の雨で倒れます。葉が黄緑で分げつが少ない株には規定量を施します。
- 二月上旬に葉色を見る
- 葉が黄緑で分げつが少ないなら規定量、濃い緑で株が大きいなら半分にします。迷ったら少なめにします。
- 条間にまいて土寄せ
- 化成肥料を条間にまき、指か小さなくわで土と混ぜてから株元へ寄せます。株元に直接まくと根が傷みます。
- 三月以降は施さない
- 三月以降の追肥は茎ばかり伸びて倒れます。穂が出てからの追肥も実の熟れを遅らせるので、二月の一回で止めます。
麦茶用の皮麦は肥料が少なくても十分育ちます。麦ご飯用のはだか麦は実を太らせたいので、規定量を守ります。
水やりは不要、水はけだけ見る
大麦は乾きに強く、露地では発芽までを除いて水やりは要りません。むしろ湿気が大敵で、畝間に水がたまると根が傷み、冬なら枯れ、春なら病気が出ます。雨のあとに畝間を見て、水が残っていたら畝の端を切って逃がします。
四月から五月に穂が出て実が入る時期に二週間以上晴れが続いたら、朝に条間へ水を流します。それ以外の時期の乾きは気にしなくて構いません。プランターなら深さ二十センチ以上のものに植え、表面が乾いてから与えます。
- 雨のあとに畝間を見る
- 雨の翌日に畝間へ水が残っているなら、畝の端を切って逃がします。次の年は畝を五センチ高くします。
- 穂が出たら乾きを見る
- 四月下旬に穂が出たら、土の表面を見て白く乾いていれば朝に与えます。実が入る時期の乾きは収量に響きます。
土寄せと草取りで春に備える
二月の追肥のときに条間の土を株元へ寄せる土寄せ(株元に土を盛ること)をしておくと、根元が固まって倒れにくくなります。大麦は小麦より草丈が低く倒れにくいですが、肥料が多い畑や風の強い場所では倒れます。
三月からは雑草が伸び始めます。大麦は分げつで畝を埋めるので雑草に負けにくいですが、条間に伸びたものは三月と四月に一度ずつ抜きます。四月以降は穂が出るので、畝に入って踏まないように条間だけ歩きます。
- 二月に土寄せ
- 追肥と一緒に条間の土を株元へ寄せます。株元の下の葉が半分隠れる程度が目安です。乾いた日に行うと土が崩れずに寄せられます。
- 三月と四月に草取り
- 条間に伸びた雑草を根元から抜きます。穂が出てからは畝に入らず、目立つものだけ手で抜きます。
- 揺すって確かめる
- 土寄せのあと株元を手で揺すり、根が動かなければ十分です。動くなら土を足して踏み固めます。
穂が出たら鳥よけを準備する
四月下旬に穂が出て、五月に実が膨らむとスズメが集まります。大麦は麦類でいちばん早く実が入るので、周りに餌が少ない時期に集中して狙われます。実が膨らんだら防鳥ネットをかけるか、キラキラするテープを畝の上に張ります。
ネットは穂に触れないよう、支柱で三十センチほど浮かせて張ります。裾を地面まで下ろして石で押さえないと、スズメは下から入ります。
- 穂が出たら支柱を立てる
- 畝の両端と中間に、穂より三十センチ高い支柱を立てます。畝の長さが三メートルを超えるなら一メートルおきに足します。
- 実が膨らんだらネット
- 防鳥ネットを支柱の上に渡し、裾を地面まで下ろして石で押さえます。目合いは二センチ以下にします。
倒れたときの手当てと戻し方
五月の雨風で大麦が倒れることがあります。茎が折れていなければ、三日以内に起こして紐で支えれば実は入ります。折れている株や、穂が地面に着いて濡れている株は、実がかびるので早めに刈ります。
- 折れているか確かめる
- 倒れた株の根元を見て、茎が曲がっているだけなら起こせます。折れて白い断面が見えるなら、その茎は切り取ります。
- 束ねて紐で支える
- 隣り合う数株を紐でゆるく束ね、支柱に結びます。無理に垂直にせず、穂が地面から離れれば十分です。
- 穂が濡れていたら刈る
- 穂が地面に着いて泥をかぶった株は、実が固まっていれば刈って干します。青い穂は抜いて処分します。
- 次回は肥料と土寄せを見直す
- 倒れた原因は肥料の入れすぎか土寄せ不足です。翌年は追肥を半分にし、二月に土寄せをします。
大麦の育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
大麦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は大麦の育て方にまとめています。
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