水やりは発芽までだけ、あとは雨任せ
ヒエは乾きにも湿りにも強く、露地なら発芽が揃ったあとの水やりは基本的に要りません。梅雨の雨で根が張り、夏の日照りでも葉が巻くくらいで枯れません。葉が昼間に巻いて夕方も戻らない日が三日続いたら、朝に条間へ水を流します。
水がたまる畑でも育ちますが、穂が出てから長く冠水すると実の入りが悪くなります。台風のあとで水が引かないときは、畝の端を切って水を逃がします。
| 時期 | 水やり | 見るところ |
|---|---|---|
| 発芽まで | 表面を乾かさない | 雨の前にまくと楽 |
| 本葉が出てから穂が出るまで | ほぼ不要 | 葉が巻いて戻らなければ与える |
| 穂が出てから | 不要 | 冠水が続いたら水を逃がす |
追肥は一回だけ、葉色で要るか判断する
追肥(育ちの途中で足す肥料)は本来なくても育ちますが、分げつ(株元から茎が枝分かれすること)が始まる本葉六枚から八枚のころ、葉の色が黄色っぽいなら一回だけ施します。化成肥料をひと握りの半分ほど条間にまき、土と混ぜて株元に寄せます。
葉が濃い緑で草丈が周りより高いなら、肥料は足りています。そこに追肥すると茎が伸びすぎて、穂の重さで倒れます。ヒエで倒れる原因の多くは肥料の入れすぎです。
- 葉色を見て決める
- 本葉六枚のころに葉の色を見て、黄緑なら追肥、濃い緑なら見送ります。迷ったら施さないほうが安全です。
- 条間にまいて土寄せ
- 化成肥料を条間にまき、指で土と混ぜてから株元へ寄せます。株元に直接まくと根が傷みます。
- 穂が出たら追肥しない
- 穂が出てからの追肥は実の熟れを遅らせ、倒れやすくなります。八月以降は肥料を入れません。
追肥はひと握りの半分が上限です。倒れた株は起こしても穂が実らないことが多く、肥料の入れすぎは取り返しがつきません。
土寄せと中耕で倒れない株にする
ヒエは草丈が一メートルから一メートル半になり、穂が実ると頭が重くなります。二回目の間引きのあとと、草丈が三十センチになったころの二回、条間の土を株元へ寄せる土寄せ(株元に土を盛ること)をしておくと、根が土をつかんで倒れにくくなります。
土寄せの前に条間を軽く耕す中耕をすると、雑草が抑えられ、固くなった土に空気が入ります。梅雨明けまでに二回やっておけば、あとは雑草に負けない草丈になります。
- 間引き後に一回目
- 二回目の間引きを終えたら、条間を浅く耕してから株元へ土を寄せます。株元の下の葉が半分隠れる程度が目安です。
- 草丈三十センチで二回目
- 梅雨明け前に、もう一度条間を耕して土を寄せます。株が土をつかんでいるかを、株元を揺すって確かめます。
- 雑草は小さいうちに
- ヒエはイネ科の雑草と競合します。中耕のときに一緒に抜き、草丈が伸びてからは手で抜くだけにします。
穂が出たら鳥よけを準備する
八月に穂が出て、実が白く膨らみ始めるとスズメが集まります。ヒエの実は鳥の好物で、放っておくと一週間で穂が空になります。穂が出たら防鳥ネットか、キラキラするテープを畝の上に張ります。
実が固くなり始める九月には被害が減りますが、色づいた穂は目立つので油断できません。ネットは穂に触れないよう、支柱で三十センチほど浮かせて張ります。穂に触れていると、スズメは網の上から実をついばみます。
ネットを張る前に、穂が出た株の数を数えておくと、被害の程度が後で分かります。穂の実が抜けて軸だけになっているものを見つけたら、その日のうちにネットの隙間を探して直します。
- 穂が出たら支柱を立てる
- 畝の両端と中間に、穂より三十センチ高い支柱を立てます。畝の長さが三メートルを超えるなら一メートルおきに足します。
- ネットを浮かせて張る
- 防鳥ネットを支柱の上に渡し、裾を地面まで下ろして石で押さえます。裾が浮いているとスズメは下から入ります。
- テープは風のある場所で
- 防鳥テープは風で揺れて光り、音を立てて初めて効きます。建物の陰など風のない場所では効かないので、ネットに切り替えます。慣れると効かなくなるので張る位置を週に一度変えます。
倒れたときの手当てと戻し方
台風や大雨で株が倒れることがあります。倒れてから三日以内で茎が折れていなければ、起こして支えれば穂は実ります。折れている株や穂が土に着いて濡れている株は、実が腐るので早めに刈ります。
- 折れていないか確かめる
- 倒れた株の根元を見て、茎が曲がっているだけなら起こせます。折れて白い断面が見えるなら、その茎だけ切り取ります。
- 束ねて支柱で支える
- 隣り合う数株を紐でゆるく束ね、支柱に結びます。無理に垂直にせず、穂が地面から離れれば十分です。
- 穂が濡れていたら刈る
- 穂が地面に着いて泥をかぶった株は、実が七割色づいていれば刈って干します。青い穂は残しても実らないので抜きます。
- 次回は肥料と密度を減らす
- 倒れた原因は肥料の入れすぎか株間の狭さです。翌年は追肥をやめ、株間を十五センチにして土寄せを二回します。
ヒエの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
ヒエの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヒエの育て方にまとめています。
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