まき時は五月中旬から六月、遅まきでも間に合う
ヒエは雑穀の中でも低温に強く、関東の露地なら五月中旬から六月いっぱいがまき時です。地温が十五度を超えれば発芽するので、霜の心配がなくなったころにまけば失敗しません。生育日数は百日から百二十日で、九月から十月に穂が色づきます。
梅雨入り直前にまくと雨で発芽が揃い、水やりの手間もほとんど要りません。七月上旬までなら遅まきも可能ですが、穂が小さくなり、収穫が霜の時期にかかることがあります。寒冷地は五月下旬、暖地は六月中旬を目安にします。
| 時期 | 収穫 | 向き不向き |
|---|---|---|
| 5月中旬〜6月上旬 | 9月中旬〜10月上旬 | いちばん失敗が少ない |
| 6月中旬〜下旬 | 10月 | 梅雨の雨で発芽が揃う |
| 7月上旬 | 10月下旬〜11月 | 穂が小さい。霜の前に刈り切る |
種は小さいので砂と混ぜて薄くまく
ヒエの種は二ミリほどしかなく、そのまままくと一か所に固まります。種と同じ量の乾いた砂を混ぜてからまくと、手の感覚で薄く均一に落とせます。深さ一センチの溝に二センチ間隔を目安にすじまきし、覆土(かぶせる土)は五ミリから一センチにします。
条間(溝と溝の間)は四十センチから五十センチ取ります。ヒエは草丈が一メートルを超え、根元から分げつ(株元から茎が枝分かれすること)するので、狭くまくと風通しが悪くなって倒れます。畝は水はけの悪い畑でも育ちますが、まき溝だけは水がたまらないように平らにならします。
- 種を砂と混ぜる
- 種と同量の乾いた砂を袋の中でよく混ぜます。色が違うので、まいたあとにどこに落ちたか見て確かめられます。
- 深さ一センチの溝を作る
- 支柱を土に押しつけて溝を作り、条間は四十センチから五十センチにします。溝の底を軽く押さえて平らにします。
- 二センチ間隔で流す
- 指先でつまんだ種と砂を、溝に沿ってすり合わせながら落とします。固まったところは指でならします。
- 薄く覆土して押さえる
- 溝の両側の土を寄せて五ミリから一センチかぶせ、手のひらで押さえてから、静かに水を与えます。
ヒエの種は皮がかたく、乾いた土では発芽に十日以上かかります。雨の前日にまくか、まいたあと一週間は表面を乾かさないようにします。
肥料は控えめ、痩せた畑でも育つ
ヒエはやせ地でも育つ作物で、肥料が多いと茎が伸びすぎて倒れます。まく二週間前に一平方メートルあたり完熟堆肥を一キロ、化成肥料をひと握りの半分ほど混ぜ込めば足ります。前作が野菜で肥料が残っている畑なら、元肥(前もって入れる肥料)はなしで構いません。
湿った畑を嫌わないのがヒエの強みで、水田の裏作や水はけの悪い場所でも育ちます。ただし発芽までは水に浸かると種が腐るので、まき溝の水がはけるかだけは見ておきます。
- 二週間前に耕す
- 深さ十五センチほど耕し、堆肥を混ぜ込みます。石灰は要りません。酸性の土でも問題なく育ちます。
- 肥料は半分で足りる
- 化成肥料は野菜の半分を目安にします。前作の残りがあるなら入れません。多いと倒れると覚えておきます。
発芽から二回の間引きで株間十五センチにする
地温が十分なら五日から七日で発芽します。芽はイネ科の雑草によく似た細い葉なので、まき溝の線に沿って生えているものだけを残し、溝の外のものは雑草として抜きます。本葉が三枚になったら一回目、五枚から六枚になったら二回目の間引き(込みすぎた株を抜くこと)をします。
最終の株間は十センチから十五センチが目安です。ヒエは一株から五本から十本の茎が出るので、株間が狭いと茎が細く穂が小さくなります。抜いた株は移植しても根付きにくいので、欠けたところは早めに追いまきします。
- 本葉三枚で一回目
- 五センチ間隔になるように、細い株や葉色の薄い株を抜きます。残す株の根元を指で押さえ、抜く株を真上に引きます。
- 本葉五枚で二回目
- 株間を十センチから十五センチに広げます。このとき条間の土を株元へ寄せ、風でぐらつかないようにします。
- 雑草と見分ける
- ヒエの芽は溝の線上に並び、同じ大きさで揃います。線から外れたもの、大きさがばらばらのものは雑草と判断して抜きます。
種まきでつまずいたときの原因と立て直し
芽が出ない、出たが雑草に紛れて分からない、芽が食われて消える。ヒエの種まきの悩みはこの三つがほとんどです。七月上旬までならまき直しが間に合うので、原因を確かめてから対処します。
- 十日たっても芽が出ない
- 土が乾いたか、覆土が厚すぎです。溝を掘って種を見て、固いままなら水をやって待ち、腐っていればまき直します。
- 雑草と区別がつかない
- 溝の線上で大きさの揃ったものを残します。判断できないときは本葉が三枚になるまで待つと、ヒエは葉の中央の筋が白く目立ちます。
- 芽が消えている
- スズメが芽ごと引き抜くか、ネキリムシが根元を切っています。株元を掘って虫を探し、鳥なら不織布をべた掛けします。
- 芽が一か所に固まった
- 種が水で流れました。固まりを早めに間引き、欠けた場所に追いまきします。次回は砂を多めに混ぜます。
種まきの手順
ヒエは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
ヒエの種まきでよくある質問
ヒエの種はいつまく?
ヒエは雑穀の中でも低温に強く、関東の露地なら五月中旬から六月いっぱいがまき時…。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
ヒエの種はどうやってまく?
すじまきが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
ヒエの種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
ヒエの種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
ヒエは何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
ヒエの間引きはいつする?
葉が触れ合い始めた段階で、生育の良い株を残しながら数回に分けます。詳しい段階は本文で確認してください。
ヒエの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
ヒエの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヒエの育て方にまとめています。
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