月別のやることカレンダー
関東の露地栽培を目安にした一覧です。ヒエは低温に強いので、寒冷地でも五月下旬からまけます。暖地は六月中旬まきで十月中旬の収穫になります。まいた日と穂が出た日、刈った日を記録しておくと、翌年の計画がそのまま立ちます。
作業は六月の間引きと土寄せ(株元に土を盛ること)、八月の鳥よけ、九月から十月の収穫と乾燥に集中します。七月と八月前半は雑草を抜く以外ほとんどすることがありません。
梅雨入りと台風の時期が作業の区切りになります。梅雨入り前にまいて間引きを終え、梅雨明けまでに二回目の土寄せを済ませ、台風の来る九月には穂が色づいているのが理想の流れです。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 4月 | 畑の準備 | 堆肥を混ぜて耕す。石灰は不要 |
| 5月中旬〜6月 | 種まき | 地温十五度以上。雨の前日にまく |
| 6月 | 間引きと土寄せ | 本葉三枚と五枚で二回に分ける |
| 7月 | 中耕と草取り | 草丈三十センチで二回目の土寄せ |
| 8月 | 出穂と鳥よけ | 穂が出たらネットを張る |
| 9月〜10月 | 収穫と乾燥 | 穂の七割が茶色になったら刈る |
| 10月〜11月 | 脱穀と保存 | 二週間干してから穂をこき落とす |
寒冷地と暖地の日程のずれ
ヒエはもともと冷涼な地域で作られてきた穀物で、寒冷地でも問題なく育ちます。まき時は寒冷地で五月下旬から六月上旬、暖地では六月中旬から七月上旬と幅があります。収穫は初霜の前に終えるのが目安で、寒冷地は九月中に刈り切ります。
暖地では真夏の高温で穂が出るのが早まり、生育期間が短くなって穂が小さくなることがあります。六月中旬以降にまいて、九月の涼しさで実を太らせるほうが収量が安定します。
どの地域でも、まいてから穂が出るまでが七十日前後、穂が出てから刈るまでが四十日から五十日です。自分の畑で穂が出た日を見て、そこから逆算すれば、翌年のまき時を一週間の幅で決められます。
| 地域 | 種まき | 収穫 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 5月下旬〜6月上旬 | 9月中旬〜下旬 |
| 関東平野部 | 5月中旬〜6月 | 9月中旬〜10月上旬 |
| 暖地 | 6月中旬〜7月上旬 | 10月〜11月上旬 |
まき時から逆算した畑の準備
ヒエは痩せた畑でも育ちますが、耕すのはまく二週間前までに済ませておきます。直前に耕すと土が沈んで種の深さが変わり、発芽が揃いません。堆肥は少なめ、化成肥料は野菜の半分が目安です。
水はけの悪い畑を使うなら、畝は低くて構いませんが、まき溝の水がはけるように畝の向きを傾斜に沿わせます。前作がイネ科の作物なら、同じ病気が出やすいので一年空けます。前作が豆類なら肥料はさらに減らして構いません。
種は前年に穫った実をそのまま使えます。まく一週間前に水に浮かべて、沈んだものだけを乾かして使うと発芽が揃います。買う場合は雑穀の種を扱う店で、まく月の一か月前には手に入れておきます。
- 二週間前に耕す
- 深さ十五センチほど耕し、一平方メートルに堆肥一キロを混ぜます。土の塊は細かく砕きます。
- 一週間前に畝を立てる
- 幅六十センチほどの畝を、傾斜に沿った向きで作ります。条間四十センチから五十センチで二条まきにします。
- 前日に雨を確かめる
- 天気予報を見て、雨の前日にまけるならその日を選びます。乾いた日にまくなら、まいたあとにたっぷり水を与えます。
出穂から収穫までの見どころ
八月上旬から中旬に穂が出て、白い小さな花が咲きます。花は二週間ほど続き、そのあと実が膨らんで穂が重く垂れてきます。九月に入ると穂の先から茶色に変わり、七割が色づいたころが刈り時です。
穂の色づきは株によって前後するので、畑全体を見て七割を判断します。待ちすぎると実がこぼれ、鳥に食われます。刈った穂は束ねて二週間干し、実が固くなってから脱穀します。
- 穂が出たら日付を記録
- 出穂の日から四十日から五十日後が収穫の目安です。記録しておくと刈り時を見逃しません。
- 九月に入ったら毎週見る
- 穂の色を週に一回確かめます。先端から茶色に変わり、全体の七割が色づいたら刈ります。
- 霜の前に刈り切る
- 青い穂が残っていても、初霜の予報が出たら全部刈ります。霜に当たった実は乾いても発芽しません。
予定どおりに進まないときの立て直し
まき時を逃した、穂が出ない、収穫が霜にかかりそう。ヒエは生育期間が短いので、予定がずれても立て直せる幅があります。どこまで遅れても大丈夫かを表にしました。
| 状態 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 七月に入ってもまいていない | まき時を逃した | 七月上旬までならまく。穂は小さくなる |
| 八月末になっても穂が出ない | 遅まきか肥料過多 | 九月中旬まで待ち、出なければ緑肥として鋤き込む |
| 十月末でまだ青い穂が多い | 遅まきか低温 | 霜の前に刈り、色づいた穂だけ脱穀する |
| 穂が出たのに実が入らない | 開花期の長雨か高温 | 翌年はまき時を二週間ずらす |
ヒエの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
ヒエの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヒエの育て方にまとめています。
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