症状から原因を見分ける
ソバは栽培期間が短く、病気や虫に悩まされることはあまりありません。その代わり倒伏と鳥、雨という「環境の障害」が収量を決めます。畑で見かける症状を表にまとめたので、まずどれに当てはまるかを見て、次の節で対処を読みます。
| 症状 | 考えられる原因 | 急ぎ度 |
|---|---|---|
| まいた場所の土が掘られている | 鳥が種を食べた | すぐ鳥よけ |
| 発芽した芽が一日で枯れた | 大雨で水がたまった | 畝を高くしてまき直し |
| 株が一斉に倒れた | 台風・大雨の倒伏 | 翌日に起こす |
| 葉に白い粉が付く | うどんこ病 | 様子見でよい |
| 穂が黒く湿って腐る | 長雨で倒れた穂 | 地面から離す |
| 熟した実が畑に落ちている | 刈り遅れの脱粒 | すぐ刈る |
鳥害はまき直後と収穫前の二回
ソバの害でいちばん確実に来るのが鳥です。まいた種はハトやスズメが掘り出して食べ、熟した実はスズメが群れで来て穂ごとついばみます。特に周りに畑が少ない住宅地では、数少ないえさとして狙われます。
まき直後は発芽して芽が三センチほどになるまで不織布をかけ、実が黒くなり始めたら防鳥ネットか糸を張ります。光るテープは数日で慣れられるので、ネットで物理的に防ぐのが確実です。
- まき後は不織布をべた掛け
- まいた直後に不織布を土の上に直接広げ、縁を土で押さえます。芽が持ち上げるので、三センチになったら外します。
- 実が色づいたらネット
- 穂の一部が黒くなり始めたら、畑全体に防鳥ネットをかけます。支柱を立てて穂に触れない高さにします。
- 小さな畑は糸で代用
- 一畝ほどなら、畝の上に三十センチ間隔でテグスを張るだけでもスズメの飛来が減ります。
倒伏は肥料と密度で決まる
ソバが倒れる原因は、風や雨そのものより、倒れやすい株に育てたことにあります。肥料が多くて茎が長い、まき方が薄くて支え合えない、土寄せをしていない。この三つが重なると、少しの風でも根元から倒れます。
予防は種まきと初期の管理で決まります。肥料を入れない、一センチから二センチ間隔で密にまく、草丈二十センチまでに土寄せ(株元に土を盛って根を守ること)をする。この三つを守れば、多少の台風なら数日で起き上がります。倒れたあとの手当ては水やりと管理のガイドに書きました。
| 原因 | 見た目 | 翌年の対策 |
|---|---|---|
| 肥料が多い | 草丈1メートル超、茎が太く濃緑 | 元肥も追肥もやめる |
| まき方が薄い | 一本ずつ離れて倒れる | 1〜2センチ間隔で密にまく |
| 土寄せ不足 | 根元から抜けるように倒れる | 草丈20センチまでに土寄せ |
| 畝が低く水がたまる | 根が浅く黄ばんでいる | 高さ10センチの畝を立てる |
長雨と湿気の害
開花中の長雨は花粉を流し、受粉する虫も来ないので実が付きません。収穫期の長雨は穂を湿らせ、刈って干した束を黒く腐らせます。どちらも避けようがないので、日程で当たりにくくすることと、当たったら乾かす手当てが対策です。
刈った束が雨に当たったら、晴れた日に束をほどいて広げ、風を通します。実が少し黒くかびていても、乾かして選別すれば使える分は残ります。ぬれたまま重ねておくのがいちばん悪く、二日で発芽や腐敗が始まります。
- 開花中の雨は待つだけ
- 雨が上がれば残りのつぼみが咲き、虫も戻ります。ソバは一か月咲き続けるので、一週間の雨なら回復します。
- 刈る前は天気を見る
- 刈ったあと一週間の晴れが必要です。雨が続く予報なら、刈るのを数日遅らせる方が損が少なくなります。
- ぬれた束はほどいて乾かす
- 雨に当たった束はほどいて風通しのよい軒下に広げます。触って乾いたのを確かめてから束ね直します。
病気と虫は様子見で足りる
ソバで見かける病気はうどんこ病くらいで、葉に白い粉が付いても実への影響はほとんどありません。開花中は薬をまくと受粉する虫がいなくなるので、病気を見つけても放っておく方が収量は上がります。
虫はアブラムシやヨトウムシが付くことがありますが、栽培期間が短いので大きな害になる前に収穫を迎えます。ヨトウムシが葉を大きく食べているなら、夕方に見つけて手で取る程度で十分です。殺虫剤は開花前に限り、野菜用のものを規定どおりに使います。
| 症状 | 正体 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉に白い粉 | うどんこ病 | 何もしない |
| 新芽に緑や黒の小さな虫 | アブラムシ | 開花前なら野菜用殺虫剤、開花後は放置 |
| 葉が夜のうちに食われる | ヨトウムシ | 夕方に株元を探して捕る |
| 葉が黄色くなって枯れる | 水たまりの根傷み | 排水を直す。薬は効かない |
実が入らないときの切り分け
花はよく咲いたのに実がほとんど入らない、というのがソバでいちばん多い相談です。原因は開花中の高温、受粉する虫の不足、肥料過多の三つに絞られます。株の姿と天気を思い出せば、どれかは見分けられます。
高温なら翌年はまき時を二週間遅らせ、虫の不足なら開花中の薬をやめて近くに花を植え、肥料過多なら翌年は肥料をゼロにします。同じ畑で同じ失敗を二年続けないよう、原因を一つ決めて記録しておきます。
- 開花中の気温を思い出す
- 三十度を超える日が続いていたなら高温が原因です。秋ソバなら翌年はまき時を八月中旬に遅らせます。
- 虫が来ていたか見る
- 開花中に畑でハチやアブを見かけなかったなら受粉不足です。薬をやめ、周りに虫が集まる花を植えます。
- 茎の太さを見る
- 茎が鉛筆より太く、草丈が一メートルを超えていたなら肥料過多です。翌年は堆肥も入れずにまきます。
ソバの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はソバの育て方にまとめています。
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