年間の流れを月で押さえる
ハクサイは秋まきが基本で、夏の終わりにまいて年内から冬に収穫します。作業の山は8〜9月の播種と定植、10月の追肥(育てている途中で足す肥料)、11月以降の防寒と収穫の3つです。どの月も、その月にしかできない作業が明確に決まっています。
| 月 | 主な作業 | 判断すること |
|---|---|---|
| 7月 | 寒冷地の播種、畑の準備 | 石灰と堆肥を入れて2週間寝かせたか |
| 8月 | 中間地の播種、育苗、畝立て | 気温が下がり始めたか、防虫ネットの用意 |
| 9月 | 暖地の播種、定植、防虫ネット | 本葉4〜5枚で植えられているか |
| 10月 | 1回目・2回目の追肥、中耕・土寄せ | 外葉が20枚に届きそうか |
| 11月 | 結球、早生の収穫開始 | 巻きの締まり具合、初霜の予報 |
| 12月 | 収穫の最盛期、外葉で縛る | 年内に食べきるか越冬させるか |
| 1月 | 越冬株を順次収穫 | とう立ちの兆しが出ていないか |
7〜8月 準備と播種
- 畑の準備
- 播種や定植の2週間以上前に苦土石灰と完熟堆肥を入れて耕します。石灰は根こぶ病の抑制も兼ねるので、酸性が疑われる畑ほど早めに入れます。
- 寒冷地の播種
- 7月中旬から8月上旬にまきます。収穫が霜の前に来るよう、早生から中生を選びます。
- 中間地の播種
- 8月中旬から9月上旬が中心です。猛暑が長引く年は下旬側へ寄せ、日中30℃前後になるのを待ちます。
- 育苗の管理
- ポットは風通しのよい半日陰に置き、朝夕に潅水します。この時期の徒長(間のびして弱く伸びること)は取り返せないので、発芽後はすぐ日に当てます。
9月 定植と虫の山場
9月は1年でいちばん取り返しのつかない月です。定植の遅れ、防虫ネットの遅れ、活着の失敗はすべてこの月に起き、結果は11月以降に結球(葉が内側に巻いて玉になること)しない株として現れます。作業そのものは短時間で終わるので、日を決めて一気に片づけます。
- 暖地の播種
- 8月下旬から9月中旬にまきます。暖地は結球期の気温が高く残るので、遅らせすぎると年明けにとう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)します。
- 定植する
- 本葉4〜5枚で株間40〜45センチに植えます。植え穴に先に潅水し、夕方に植えて活着を助けます。
- 防虫ネット
- 定植と同時にトンネルをかけ、裾を土で完全に埋めます。9月はコナガ、ヨトウ、アオムシが同時に動く月です。
- 見回り
- 3日に一度はネットを開けて葉裏を見ます。芯を食われた株は結球しないので、早い段階で予備苗と交換します。
10月 追肥で外葉を作りきる
- 1回目の追肥
- 定植の2〜3週間後、1株10〜15グラムの化成肥料を株の周囲にまきます。外葉の枚数を決める最重要の作業です。
- 中耕と土寄せ
- 追肥のあと表土を軽く削って株元へ寄せます。根に酸素が入り、大株になったときの倒伏も防げます。
- 2回目の追肥
- 1回目の2週間後に同量を畝の肩へ。これが最後の施肥で、以降の窒素はゴマ症と芯腐れの原因になります。
- ネットの調整
- 株が大きくなってネットに当たると葉が傷みます。支柱を高くするか、虫の発生が落ち着いたら外します。
10月に外葉が15枚に届いていない株は、その年は結球しないと考えて構いません。無理に肥料を足さず、葉物として使う判断へ切り替えます。
11〜12月 結球と防寒、収穫
この時期の仕事は増やすことから守ることへ切り替わります。肥料はもう足さず、寒さと過熟から球を守るのが主な役目になります。収穫は一度に済ませず、締まった株から順に抜くほうが畑での日もちを活かせます。
- 収穫の判定
- 頭を手のひらで押して硬く締まっていれば収穫適期です。早生は播種後60〜75日、中生は80〜90日が目安になります。
- 外葉で縛る
- 初霜の予報が出たら、外葉を球に巻きつけて上部を紐で縛ります。頂部の凍害を防ぎ、畑での保存期間が伸びます。
- 順に収穫する
- 締まった株から抜いていきます。畑に置きすぎると内部が傷み、暖かい年は裂球することもあります。
- 寒冷地の判断
- 根が凍る地域では12月中に収穫し、新聞紙で包んで軒下や納屋で保存します。畑での越冬は雪と凍害の程度で決めます。
1月以降の越冬株と、暦を外したときの立て直し
縛った株は1月まで畑で保存できますが、暖かくなるととう立ちが始まります。中心から花芽が伸びると葉が硬くなるため、その兆しが見えたら残りを一度に収穫します。とう立ちした芯自体は花蕾として食べられます。
収穫が終わった畝は、根こぶ病の残りを持ち越さないために早く片づけます。株の根を掘り上げてこぶの有無を確認し、こぶが出ていた区画は次のアブラナ科を2〜3年空けます。
- 播種が2週間遅れた
- より早生の品種にまき替えるか、結球を諦めて間引き菜として使います。日数の足りない株に肥料を足しても外葉は増えません。
- 定植が10月にずれた
- 株間を5センチ詰めて小玉に仕上げる方針へ切り替えます。不織布のべたがけで地温を保つと、外葉の枚数を少しは稼げます。
- 1回目の追肥を忘れた
- 気づいた時点ですぐ1株10グラムを畝の肩に施し、2回目は結球が始まる前までに済ませます。2回分をまとめてやらないでください。
- 結球前に寒波が来た
- 不織布でトンネルを覆い、巻きかけのまま止まった株は緩い状態で収穫します。待っても気温が戻らなければ太りません。
| 時期 | 越冬株の状態 | 作業 |
|---|---|---|
| 1月上旬 | 締まったまま、外葉は傷む | 外葉を1〜2枚外して収穫 |
| 1月下旬 | 中心がわずかに伸び始める | 残りを一斉に収穫し保存へ |
| 2月 | とう立ちが進み葉が硬い | 花蕾を利用し、畝を片づける |
地域でひと月ずらして読む
この暦は中間地を基準にしています。寒冷地は全体をおよそ1か月早く、暖地は2〜3週間遅くずらして読み替えます。ずらすのは播種と定植で、追肥の間隔や収穫の判定の仕方は地域が変わっても同じです。
| 地域 | 播種 | 定植 | 収穫の中心 |
|---|---|---|---|
| 寒冷地 | 7月中旬〜8月上旬 | 8月中旬〜9月上旬 | 10月下旬〜11月 |
| 中間地 | 8月中旬〜9月上旬 | 9月中旬〜下旬 | 11月下旬〜12月 |
| 暖地 | 8月下旬〜9月中旬 | 9月下旬〜10月上旬 | 12月〜1月 |
標高の高い土地は同じ県内でも寒冷地寄りに読みます。迷ったら日中の最高気温が30℃前後に下がった日を播種日にします。
ハクサイの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
ハクサイの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はハクサイの育て方にまとめています。
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