水やりは年数と場所で変える
カリンは根が深く伸びるので、地植えで三年以上たった木は雨だけで育ちます。植え付けから二年は根が浅く、乾きに弱いので、雨が一週間ないときに株元へバケツ一杯与えます。鉢植えは表面が乾いたらたっぷりが基本で、夏は毎朝、冬は一〜二週間に一回に減らします。実がふくらむ七月から九月に水切れすると実が小さくなり、落ちることもあるので、この時期は地植えでも様子を見ます。
| 場面 | 水やりの目安 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 地植え、植え付けから二年以内 | 雨が一週間なければバケツ一杯 | 株元を指で三センチ掘って乾いていたら |
| 地植え、三年目以降 | 原則不要、真夏に二週間雨がなければ | 葉が朝からしおれていたら |
| 鉢植え、春と秋 | 表面が乾いたらたっぷり | 鉢を持ち上げて軽ければ |
| 鉢植え、夏 | 毎朝、猛暑日は夕方にも | 朝に葉が垂れていたら足りない |
| 鉢植え、冬 | 一〜二週間に一回、暖かい日の午前 | 表面が乾いて二〜三日たってから |
肥料の与え方
肥料は年三回が目安です。二月の寒肥は堆肥と油かすを株の周りに埋めて一年の基礎にし、六月の追肥(育ちの途中で足す肥料)で実の肥大を支え、十月のお礼肥で翌年の花芽を充実させます。窒素が多すぎると徒長枝ばかり伸びて花がつかないので、果樹用のリン酸とカリが多めの肥料を選びます。肥料は幹の近くではなく、枝先の真下あたりにまきます。
| 月 | 肥料 | 量の目安と与え方 |
|---|---|---|
| 2月 | 堆肥と油かす(寒肥) | 枝先の真下に溝を掘り、堆肥バケツ一杯と油かす二握りを埋める |
| 6月 | 緩効性の化成肥料(追肥) | 枝先の真下に一〜二握りをばらまく |
| 10月 | 緩効性の化成肥料(お礼肥) | 収穫後に一握り、遅れると効かない |
| 11〜1月 | 与えない | 根が吸えず、冬の枝を軟弱にする |
鉢植えは量を三分の一ほどに減らし、鉢の縁に沿って置きます。液体肥料なら五月から八月に月二回、規定より薄めて与えます。
摘果で実を大きくする
カリンは花が多く咲いた年に実をつけすぎると、実が小さくなり、翌年は花がほとんど咲かない隔年結果になります。六月に自然に小さな実が落ちた後、残った実を葉三十〜四十枚に一個の目安で摘果(実を間引いて数を減らすこと)します。大人の木で二十〜三十個、鉢植えで三〜五個が目安です。傷のある実、小さい実、枝の先の実を先に取り、枝の途中の形のよい実を残します。
- 六月の自然落果を待つ
- 受粉後の小さな実の一部が六月上旬に自然に落ちます。これが終わってから摘果を始めます。
- 残す数を決める
- 葉三十〜四十枚に一個が目安です。大人の木なら二十〜三十個、鉢植えなら三〜五個に絞ります。
- 傷と小さい実から取る
- はさみで果柄(実と枝をつなぐ軸)を切ります。虫の跡や傷のある実、房の中で小さい実、枝の先端の実を先に取ります。
- 一枝に一個にする
- 同じ短い枝に二個以上ついていたら一個にします。隣り合った実は大きくなるとぶつかって傷になります。
株元の管理
株元を敷きわらや腐葉土で覆うと、夏の乾きと雑草を防げます。カリンの根は深いので浅く耕しても傷みませんが、幹の周りの草を放っておくと虫の隠れ場所になります。株元から出るひこばえ(根元から出る不要な芽)は台木の芽であることが多く、見つけしだい根元から切ります。放っておくと品種の枝より勢いが強くなり、実のつかない木になります。
- 株元を覆う
- 株元の半径五十センチに腐葉土か敷きわらを五センチほど敷きます。幹に直接触れないよう、根元は少しあけます。
- ひこばえを切る
- 株元から出る芽は、五月と八月に根元まで掘って切ります。地上で切るだけでは何度も出てきます。
- 幹の周りを清潔に
- 幹の周りの草を刈り、落ち葉を集めます。カミキリムシの産卵や病気の越冬を減らせます。
葉と実で足りないものを見分ける
葉全体が薄い黄緑になるなら窒素不足、若い葉の葉脈の間だけ黄色くなるなら鉄不足で土がアルカリに傾いています。実が小さく色づかないのは、ならせすぎか日照不足かカリ不足です。実が途中で落ちるのは水切れか肥料切れが多いです。症状から原因を絞り、肥料を足すか減らすかを判断します。徒長枝ばかり伸びて花が咲かないなら、窒素の与えすぎです。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉全体が薄い黄緑 | 窒素不足 | 六月の追肥を少し増やす |
| 若い葉の葉脈の間が黄色 | 鉄不足、土がアルカリ寄り | ピートモスや鹿沼土を株元に混ぜる |
| 実が小さく色づかない | ならせすぎ、日照不足、カリ不足 | 摘果を強め、日当たりを確保、果樹用の肥料 |
| 実が七〜八月に落ちる | 水切れ、肥料切れ | 朝の水やり、六月の追肥 |
| 徒長枝ばかりで花がない | 窒素過多 | 肥料を減らし、徒長枝を横に引く |
実がつかない・落ちるときの立て直し
花が咲かないときは、木が若い、日照不足、強い剪定、窒素過多のどれかです。花は咲くのに実がつかないときは、開花中の霜や長雨で受粉できなかったことが多く、これは年による差で対策は難しいです。実がついたのに落ちるなら、前年にならせすぎて木が疲れているか、夏の水切れです。隔年結果に入った木は、花の多い年に強めに摘果して翌年に花を残します。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 花が咲かない | 木が若い、日陰、強剪定、窒素過多 | 三〜四年待つ、日当たり確保、弱い剪定、肥料を減らす |
| 花は咲くが実がつかない | 開花中の霜や長雨 | 遅霜の夜は不織布、年による差と割り切る |
| 実がつくが七月に落ちる | 水切れ、前年のならせすぎ | 朝の水やり、摘果を強める |
| 一年おきにしか実がつかない | 隔年結果 | 花の多い年に摘果を強め、少ない年は肥料を増やす |
カリンは一本で実がつくので受粉樹は不要ですが、近くにもう一本あると実つきが安定することがあります。
カリンの育てている間に使うもの
木の管理は、施肥と草の始末と、幹を守ることです。年に数回しかやらないぶん、道具は長く使えるものを選びます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 有機質肥料探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に、寒肥で 1〜2kg。実を穫ったあとのお礼肥に 300〜500g。
樹冠の外側の地面に、浅く溝を掘って埋めます。細い根は幹の近くではなく、枝先の真下に伸びています。量は樹種と樹齢で変わります。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- バーク堆肥(マルチング用)探す言葉「バーク堆肥 マルチング 40L」
- 規格の目安
- 40L 前後の袋。株元に厚さ 5cm ほど敷きます。
- 数量の目安
- 株元 1 ㎡ で 50L 前後。
夏の乾きと冬の凍結の両方を和らげます。年々分解して土に混ざるので、土壌改良も兼ねます。
- 幹に巻く防虫テープ探す言葉「カミキリムシ 幹 ネット 防虫」
- 規格の目安
- 幹に巻く網か、専用のテープ。地際から 50cm ほどを覆います。
テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)は幹に卵を産みます。入られてからでは手の打ちようが減るので、産ませないのが基本です。
- 草刈り鎌・三角ホー探す言葉「草刈り鎌 園芸」
- 規格の目安
- 刃渡り 15cm 前後の鎌か、刃幅 10〜15cm の三角ホー。
株元の草は、幹に虫を呼び込みます。株元 50cm だけでも空けておくと、幹の様子を確かめられます。
- 若木のうちは寒肥だけで足ります。実を穫るようになってからお礼肥を足します。
- 除草剤は幹の近くでは使わないほうが無難です。根が吸います。
カリンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はカリンの育て方にまとめています。
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