収穫の時期を見極める
カリンは十月中旬から十一月にかけて、実が緑から黄色に変わり、甘い香りを放ち始めたら収穫の目安です。手で軽く持ち上げて果柄(実と枝をつなぐ軸)が簡単に外れるようなら熟しています。霜に当たると果肉が変色して香りが落ちるので、十一月中旬までに採り終えます。採った実は室内に置くと追熟し、表面がべたついて香りが強くなります。
| 見た目 | 熟し具合 | 扱い |
|---|---|---|
| 緑色で固く、香りがない | 未熟 | 採らない、加工しても香りが弱い |
| 黄緑で香りが出始める | もう少し | 一〜二週間待つ |
| 全体が黄色で甘い香り | 収穫の適期 | 順次収穫、室内で一〜二週間追熟 |
| 黄色く、表面がべたつく | 追熟が進んだ | 加工に最適、傷む前に使う |
| 茶色い斑点、柔らかい部分がある | 熟しすぎか凍害 | 傷んだ部分を除いてすぐ加工 |
自然に落ちた実は打ち身で傷みやすいので、その日のうちに加工します。落ちる前に採るほうが日持ちします。
収穫の手順
収穫は実を軽く持ち上げて果柄をはさみで切ります。実は三百グラムを超えることがあり、高い枝から落とすと傷むので、片手で受けてから切ります。高い場所は脚立を使い、無理な姿勢で手を伸ばさないようにします。採った実は重ねずにかごに並べ、室内の涼しい場所に置いて追熟させます。
- 実を受けてから果柄を切る
- 片手で実を支え、もう片方の手ではさみで果柄を切ります。短い枝ごと取ると翌年の花芽を失うので、軸だけを切ります。
- 重ねずに運ぶ
- 浅いかごに一段に並べます。重ねると下の実が押されて傷み、追熟中にそこから腐ります。
- 室内で追熟させる
- 十五〜二十度の涼しい部屋に新聞紙を敷いて並べ、一〜二週間置きます。香りが強くなり表面がべたついてきたら加工します。
果実酒とはちみつ漬け
カリンは生では固くて渋く食べられません。もっとも手軽なのが果実酒とはちみつ漬けで、どちらも香りがよく移ります。果実酒は実を洗って皮ごと薄切りにし、ホワイトリカーと氷砂糖で漬けて三か月以上待ちます。はちみつ漬けは薄切りの実をはちみつに漬け、二〜三週間で果肉が縮んで汁が上がったら実を除きます。お湯で割るとのどにやさしい飲み物になります。
- 洗って表面のべたつきを落とす
- 追熟した実はぬめりが出るので、たわしで軽くこすって洗い、水気をよくふきます。皮はむきません。
- 種ごと薄切りにする
- 実は非常に固いので、大きな包丁で四つ割りにしてから五ミリほどの薄切りにします。種の周りに香りの成分が多いので種も入れます。
- 果実酒は三か月以上
- 実一キロにホワイトリカー一・八リットル、氷砂糖二百〜三百グラムが目安です。冷暗所で三か月以上置き、半年で実を取り出します。
- はちみつ漬けは二〜三週間
- 薄切りの実を瓶に入れ、実がかぶるまではちみつを注ぎます。毎日瓶を振り、二〜三週間で実を取り出して冷蔵します。
種と果肉には生のまま食べると体に負担になる成分があります。生食や種を大量にかじることは避け、漬けたり煮たりして使います。
ジャムとシロップ
煮ると渋みが抜けて香りのよいジャムになります。カリンは果肉が固くペクチンが多いので、細かく刻んで水と一緒に柔らかくなるまで煮てから砂糖を加えます。煮汁だけをこして砂糖と煮詰めれば、きれいな赤色のシロップになります。煮ると果肉が赤みを帯びるのがカリンの特徴で、色が変わったら煮上がりの目安です。
| 用途 | 下ごしらえ | こつ |
|---|---|---|
| ジャム | 皮ごと細かく刻み、種は袋に入れて一緒に煮る | 実の重さの一・五倍の水で柔らかくなるまで煮て、六割の砂糖を加える |
| シロップ | 薄切りにして水で煮出す | こした煮汁に同量の砂糖を加えて煮詰める、赤くなったら火を止める |
| ゼリー | 煮汁をこす | ペクチンが多いので砂糖を加えて冷やすだけで固まる |
| のど飴風 | シロップを固くなるまで煮詰める | 水に落として固まる濃さになったら型に流す |
香りを楽しむ保存
加工しきれない実は、そのまま室内に置くだけで一〜二か月は香りを楽しめます。玄関やトイレに置くと天然の芳香剤になります。表面がべたつき始めたら傷みの前兆なので、そのころまでに加工します。冷蔵すると香りが弱まり、追熟も止まります。薄切りにして乾燥させれば、お茶のように煮出して使え、一年ほど保存できます。
- 室内で飾りながら追熟
- 新聞紙の上に重ねずに置き、風通しのよい涼しい場所に一〜二か月置きます。ときどき向きを変えて傷みを確かめます。
- 薄切りを乾燥させる
- 五ミリの薄切りをざるに広げ、晴れた日に三〜五日干します。完全に乾いたら密閉容器で保存し、煮出して飲みます。
収穫で失敗したときの見直し
緑のうちに採って香りが出なかった、霜に当てて果肉が変色した、落とした実が傷んだ、切るのに苦労してけがをしそうになった、というのがよくある失敗です。それぞれ、黄色くなって香りが出るまで待つ、十一月中旬までに採る、手で受けてから切る、電子レンジで少し加熱してから切る、で改善します。翌年に向けて収穫日と香りの記録をつけると、木ごとの適期がわかります。
| 失敗 | 原因 | 翌年の直し方 |
|---|---|---|
| 加工しても香りが弱い | 緑のうちに採った | 黄色く香りが出てから採り、室内で追熟 |
| 果肉が茶色く変色 | 霜に当たった | 十一月中旬までに収穫を終える |
| 実が傷んで腐った | 落とした、重ねて運んだ | 手で受けて切り、一段に並べる |
| 固くて切れない | 追熟不足、包丁が小さい | 追熟を待ち、大きな包丁で四つ割りにしてから薄切り |
| 実が小さく数だけ多い | 摘果不足 | 六月に葉三十〜四十枚に一個へ摘果 |
カリンの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
カリンの収穫までのコツは作物ページに
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