花が咲く枝を知る
カリンの花は、前年に伸びた枝のうち五〜十センチの短い枝の先端に、四月に一輪ずつ咲きます。長く伸びた枝の先には花がつきにくく、剪定で短い枝を切ると花がなくなります。長い枝を切り戻して短い枝を増やし、短い枝は残すのが原則です。冬に枝を見て、先端の芽が丸くふくらんでいれば花芽で、細くとがっていれば葉芽です。
| 枝の姿 | 花のつき方 | 剪定の扱い |
|---|---|---|
| 五〜十センチの短い枝、先の芽が丸い | 先端に花が咲く | 切らずに残す |
| 二十〜四十センチの中くらいの枝 | 先に少し咲く | 先端の三分の一を切り戻す |
| 五十センチ以上の長い枝 | ほぼ咲かない | 骨格にするか、三分の一に切り戻す |
| 真上に立つ徒長枝 | 咲かない | つけ根から切る |
| 枯れ枝、内向きの枝 | 咲かない | つけ根から切る |
徒長(勢いよく真上に間延びして伸びること)した徒長枝は放っておくと木が高くなる原因になります。夏のうちに見つけて根元で切るか、横に引いて誘引します。
冬の剪定の手順
剪定の適期は落葉後の十二月から二月で、芽が動く三月上旬までに終えます。まず木全体の高さを決め、それより上に伸びた幹を横枝の上で切り戻します。次に枯れ枝、内側に向かう枝、交差する枝、真上に立つ徒長枝を根元から切り、残った枝の中で長いものを三分の一に切り戻します。短い枝はそのまま残します。一度に切る量は全体の三分の一までが目安です。
- 高さを決めて幹を止める
- 目標の高さ(庭なら三メートル前後)で、横に出ている枝のすぐ上で幹を切ります。切り口には癒合剤を塗ります。
- 不要な枝を根元から切る
- 枯れ枝、内向きの枝、交差する枝、徒長枝をつけ根で切ります。これで木の骨格が見えます。
- 長い枝を三分の一に切り戻す
- 五十センチ以上の枝は先端の三分の一を、外向きの芽の上で切ります。翌年そこから短い枝が出て、花芽がつきます。
- 短い枝は残す
- 五〜十センチの短い枝は花芽なので切りません。密集しているところだけ、弱い枝を間引きます。
若い木の仕立て方
植え付けから三年ほどは木の骨格を作る期間です。植え付け時に六十センチで切った幹から出る枝のうち、方向の違う三〜四本を主枝にし、それぞれを毎年三分の一ずつ切り戻して枝分かれさせます。幹を一本まっすぐ伸ばす仕立ては高くなりすぎるので、家庭では低い位置から枝を広げる開心自然形が向きます。四年目からは短い枝を残して花をつけさせます。
| 時期 | 木の姿 | 剪定の内容 |
|---|---|---|
| 植え付け時 | 苗一本 | 幹を六十センチで切る |
| 一年目の冬 | 枝が三〜五本出ている | 方向の違う三〜四本を主枝に選び、先端を三分の一切る |
| 二年目の冬 | 主枝が枝分かれする | 各主枝の先を三分の一切り、内向きの枝を抜く |
| 三年目の冬 | 高さ二メートル前後 | 高さを決めて幹を止め、短い枝を残す |
| 四年目以降 | 花が咲き始める | 毎年高さを保ち、長い枝を切り戻し短い枝を残す |
夏の枝の整理
五月から七月に真上へ勢いよく伸びる徒長枝は、放っておくと木が高くなり、養分を奪って実が小さくなります。六月ごろに見つけたら根元から切るか、ひもで横に引いて角度を寝かせます。横に寝かせた枝は勢いが落ち着き、翌年に短い枝が出て花がつくことがあります。実の周りに葉が茂って影になるときは、数枚だけ取って光を入れます。九月以降は切りません。
- 徒長枝を六月に処理する
- 真上に伸びて五十センチを超えた枝は、根元から切るか横に引きます。柔らかいうちなら手で折り取ることもできます。
- 横に引く誘引
- 誘引(枝を目的の方向へ結んで導くこと)は、麻ひもで枝の先を地面と四十五度くらいまで引き、支柱や下の枝に結びます。一か月ほどで形が固まります。
- 実の周りの葉を減らす
- 実が葉に隠れて日が当たらないときは、実を覆う葉を二〜三枚取ります。取りすぎると日焼けするので少量にします。
切りすぎたとき・大きくなりすぎたときの直し方
冬に強く切りすぎると、翌年は徒長枝ばかり出て花が咲きません。この状態からは、夏の徒長枝を横に引くか間引き、翌冬は枯れ枝だけを切る弱い剪定にして、短い枝が増えるのを二年ほど待ちます。逆に何年も切らずに五メートルを超えたときは、一度に低くせず、二〜三年かけて毎年上から一メートルずつ詰めます。太い幹を一度に切ると、切り口の周りから徒長枝が大量に出て木が荒れます。
| 失敗 | 起こること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 強く切りすぎた | 徒長枝ばかりで花がない | 翌冬は弱い剪定にし、徒長枝は横に引く |
| 短い枝を切った | その年の花が減る | 長い枝の切り戻しだけ続け、短い枝が増えるのを待つ |
| 高くなりすぎた | 実に手が届かず落果で危険 | 二〜三年かけて毎年一メートルずつ詰める |
| 太い幹を一度に切った | 切り口から徒長枝が大量発生 | 徒長枝を二〜三本に間引き、残りは横に引く |
太い枝を切ったときは切り口に癒合剤を塗ります。カリンは切り口から腐りにくい木ですが、直径五センチを超える切り口は保護したほうが安心です。
カリンの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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