出さないのではなく、遅らせて凌ぐ
きゅうりで完全に病気を出さずに終えるのは、家庭菜園ではほぼ不可能です。現実的な目標は、発生を収穫の山より後ろにずらし、株が十分採り終えるまで葉を保たせることです。この考え方に切り替えると、対策の優先順位がはっきりします。
その意味で最も効くのは、薬剤より風通しです。株間を詰めない、下位節を空ける、下葉を計画的に抜く。これらは整枝(枝の数と向きを整えること)の作業として説明されがちですが、実質は病害対策そのものです。
- 株間を詰めない
- 45センチを下回ると、梅雨に入ったとたん下葉が乾かなくなります。株数を増やしたい気持ちが、そのまま早期発生に変わります。
- 下位節を空ける
- 地際から30センチほどに葉と実を置かないだけで、泥はねが葉に届かなくなり、べと病の初発がはっきり遅れます。
- 予定して抜く
- 下葉かきは病気が出てからではなく、収穫のついでに毎回少しずつ行います。手当てではなく設計として組み込みます。
時期ごとに警戒するものが変わる
| 時期 | 警戒するもの | 引き金 |
|---|---|---|
| 5月 | ウリハムシ、アブラムシ | 定植直後の若い葉 |
| 6月 | うどんこ病 | 乾燥と肥料切れ |
| 6〜7月 | べと病 | 梅雨の多湿と泥はね |
| 7〜8月 | ハダニ、炭疽病 | 高温乾燥と葉の混み合い |
警戒の対象が変わる境目は毎年ずれます。梅雨入りと梅雨明けの発表を、切り替えの合図として使うと分かりやすいです。
うどんこ病は乾燥と株の疲れから始まる
うどんこ病は葉の表に白い粉をまいたような斑点として現れ、下葉から上へ進みます。多湿で出ると誤解されがちですが、実際には土が乾き気味で、株が肥料切れ気味のときに勢いづきます。水やりと追肥(育てている途中で足す肥料)を切らさないことが、そのまま予防になります。
見つけた葉は迷わず取り除き、畑の外へ出します。数枚のうちに手を打てば広がりは止まりますが、株の三割の葉に回った段階では、取るより残す判断に切り替え、追肥と水で新しい葉を出させるほうが収穫は続きます。
- 数枚のうちなら
- 白い斑のある葉を取って畑の外へ出します。同時に水やりと追肥を見直せば、この段階なら広がりはほぼ止まります。
- 株の三割に回ったら
- 取るより残す判断に切り替えます。葉を減らしすぎると実が太らないので、追肥と水で新しい葉を出させるほうが収穫は続きます。
- 全体に回ったら
- その株の回復は望めません。二番手の植え付けか秋どりの直まきに切り替え、病葉を残さず片づけて次に備えます。
白い斑の出た葉を触った手でそのまま健全な葉を扱うと広げます。病葉を取り切ってから、次の株の整枝へ移る順にします。
べと病は多湿と泥はねが入口
べと病は、葉脈で四角く区切られた黄色い斑点が下葉に出るのが特徴です。梅雨時に雨が続き、地面の泥が跳ね上がることで一気に広がります。敷きわらやマルチで泥はねを止めておくと、初発をかなり遅らせられます。
うどんこ病と違い、べと病は進むと葉が茶色く枯れ上がり、株そのものが立ち直りません。下葉が数枚やられた時点で取り除き、以後は雨の翌日に必ず点検する習慣をつけます。窒素が切れた株ほど広がりが速い傾向があります。
| 葉に出る症状 | 疑うもの | 次の一手 |
|---|---|---|
| 表に白い粉状の斑 | うどんこ病 | 水と追肥を切らさない。病葉は外へ |
| 葉脈で四角く区切られた黄斑 | べと病 | 泥はねを止め、雨の翌日に点検する |
| 黒褐色でくぼんだ斑 | 炭疽病 | 混み合いを解き、傷んだ実を落とす |
| 表に白いかすり状の斑 | ハダニ | 葉裏に水をかけ、乾かしすぎない |
白い粉なら乾燥側、葉脈で区切られた黄斑なら多湿側。この見分けだけで、次に打つ手が逆になります。
害虫は初期の食害と、運んでくるものに注意
- ウリハムシ
- オレンジ色の甲虫が葉を円形に食べます。植え付け直後の若い株は生長点をやられると立て直せないので、活着までは不織布のトンネルで覆うのが最も確実です。
- アブラムシ
- 新芽と葉裏に群がります。吸われる被害より、モザイク病を運んでくることが問題です。葉が濃く茂った窒素過多の株につきやすいので、追肥量の見直しも同時に行います。
- ハダニ
- 高温乾燥が続くと葉裏につき、葉の表に白いかすり状の斑が出ます。葉裏に水をかける、敷きわらで地温を下げるなど、乾かしすぎない管理が予防になります。
薬剤を使うときの前後
薬剤を使う場合も、混み合った葉のまま散布しては効果が上がりません。先に病葉と古葉を抜き、薬液が葉裏まで届く状態にしてから散布します。うどんこ病は葉の表、べと病とハダニは葉裏が主戦場なので、狙う面を変えます。
どの薬剤にも、きゅうりでの使用回数と収穫前日数の決まりがあります。毎日収穫する作物なので、収穫前日数の短いものを選ばないと、採れる時期に使えないという事態になります。購入前に必ず確認してください。
同じ系統を続けて使うと効かなくなります。系統の違うものを交互に使う前提で二種類そろえておくと安心です。
きゅうりの収穫までのコツは作物ページに
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