定植の30日前にまく。作型ごとの時期
きゅうりは種まきから定植まで30日前後と、夏野菜のなかでは育苗が短い作物です。植え付けたい日から1か月さかのぼってまけば間に合うので、ナスやピーマンのように真冬から加温を続ける必要はありません。早く植えたいほど加温が要り、遅らせるほど手間が減ります。
6月から7月にまく夏の二番手は、育苗中の温度が高すぎることが課題になります。同じ種まきでも、春は温める工夫、夏は冷やす工夫と、季節によって温度管理の向きが逆になります。
| 作型 | 種まき | 定植 | 温度管理の中心 |
|---|---|---|---|
| 早まき(中間地) | 3月下旬〜4月上旬 | 4月下旬〜5月上旬 | ヒーターマットと夜の保温 |
| 標準(中間地) | 4月中旬 | 5月中旬 | 夜だけ室内か箱で保温 |
| 夏まき(二番手) | 6月中旬〜7月下旬 | 7月上旬〜8月中旬 | 日よけと水切れ対策 |
| 暖地 | 3月中旬〜下旬 | 4月中旬〜下旬 | 早まきは加温 |
| 寒冷地 | 4月下旬〜5月上旬 | 5月下旬〜6月上旬 | 夜の保温 |
夏まきは育ちが早く、20日前後で植え時になります。春と同じ日数を待つと苗が老けるので、本葉の枚数で判断します。
9センチポットに直接まき、鉢上げしない
きゅうりなどウリ科の根は細く切れやすく、一度傷むと回復に時間がかかります。箱にまいて鉢上げする方法もありますが、家庭では最初から9センチポットにまいて、そのまま定植まで育てるほうが失敗がありません。
- ポットに土を詰める
- 9センチポットに種まき用土か野菜用の培養土を八分目まで入れ、底から水が出るまで湿らせておきます。
- 1ポットに2〜3粒
- 深さ1センチほどの穴を2〜3か所あけ、種を平らに寝かせて置きます。穴どうしは2センチほど離し、間引くときに根が絡まないようにします。
- 覆土は1センチ
- 土をかけて手のひらで軽く押さえ、たっぷり水をやります。覆土が浅すぎると種皮をかぶったまま芽が出て、双葉が開けなくなります。
- 自根苗の置き場所
- 自分でまいた苗は接ぎ木をしていない自根苗です。つる割病が出たことのある畑では、病気の出ていない場所かプランターに回します。
温度管理は発芽28度、夜は12度を下限に
発芽に必要な地温は25度から30度で、28度前後あれば2日から4日で芽が出ます。20度以下では1週間以上かかり、そのあいだに種が腐ることもあります。3月下旬から4月上旬の室内は夜の地温が15度前後まで下がるため、早まきでは加温しないと芽がそろいません。
発芽後は昼25度前後、夜15度前後が目安です。苗が耐えられる夜の最低温度は12度ほどで、それより冷える夜が続くと根の伸びが止まり、葉が黄ばんで縮みます。きゅうりは夜がやや涼しく日の短い条件で雌花が付きやすいので、夜を暖めすぎないことも大切です。
- 発芽まではマットで加温
- 早まきではポットを育苗用のヒーターマットに載せ、地温を28度前後に保ちます。双葉が土を持ち上げたら、その日のうちにマットから下ろします。
- 夜は箱に入れて保温
- マットがない場合や発芽後の夜は、発泡スチロール箱にポットを並べてふたをし、暖かい部屋に置きます。湯を入れたペットボトルを1本添えると冷え込む夜も安心です。
- 夏まきは日よけで冷やす
- 7月の育苗は30度を超える日が続きます。午後は明るい日陰に移すか寒冷紗をかけ、ポットの下にすのこを敷いて地面の照り返しを避けます。
- 熱帯夜は外の風に当てる
- 夜も25度を超える部屋に置くと、双葉の下の茎が一晩で伸びます。夏まきの苗は日が暮れたら風通しのよい外に出し、夜を涼しく過ごさせます。
| 時期 | 昼の温度 | 夜の温度 |
|---|---|---|
| まいてから発芽まで | 地温25〜30℃ | 地温20℃以上 |
| 双葉が開いたころ | 25℃前後 | 15〜17℃ |
| 本葉1〜3枚 | 22〜25℃ | 13〜15℃ |
| 定植前の数日 | 外気に慣らす | 12℃を切る夜は室内へ |
本葉3〜4枚で、外気に慣らしてから植える
定植の目安は本葉3枚から4枚、春まきで種まきから25日から30日です。それ以上ポットに置くと根がポットの壁に沿って回り、植えても新しい根が出にくくなります。外の最低気温が12度を超え、地温が15度に達してから植えます。
- 5日前から外に出す
- 定植の5日ほど前から、晴れた日の日中だけ苗を外に出します。風の強い日は不織布で囲い、大きな葉が擦れて傷まないようにします。
- 根の回りを確かめる
- ポットから抜いてみて、白い根が土の外側を覆っていたら植え時です。根が茶色く巻いていたら老化が始まっているので、すぐに植えます。
- 前日に水を含ませる
- 定植の前日にポットへたっぷり水を与えます。根鉢が崩れにくくなり、ウリ科の切れやすい根を植え付けの作業から守れます。
発芽後は日に当て、1本に間引く
芽が出たらすぐに日の当たる場所に出します。きゅうりの双葉は大きく、発芽から2〜3日の光不足で双葉の下の茎が伸びきってしまいます。ポットは定植まで植え替えないので、育苗の後半ほど株の間隔を広げて光を確保します。
- 双葉がそろったら間引く
- 双葉が開いたら形がよく色の濃いもの1本を残し、ほかは地際ではさみで切ります。2本残すと根が絡み、定植のときに傷みます。
- 水は午前中に
- 土の表面が乾いたら、午前中にたっぷり与えます。夕方の水は夜の地温を下げ、過湿で根を傷めるもとになります。
- ポットの間をあける
- 本葉が出て隣と葉が重なり始めたら、ポットの間隔を広げます。葉が触れ合ったまま置くと、茎が細く間延びした苗になります。
- 肥料は基本いらない
- 培養土に肥料が入っていれば、30日の育苗中は追肥(育ちの途中で足す肥料)なしで足ります。本葉の色が薄くなったときだけ薄い液体肥料を与えます。
芽が出ない、苗が伸びすぎたときの原因
きゅうりの育苗の失敗は、低温による発芽不良と、高温や光不足による伸びすぎに分かれます。春まきは前者、夏まきは後者が多いので、症状から原因を見分けて、まき直しの条件を直します。
| 症状 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 5日たっても芽が出ない | 地温が低い | 掘って種を確かめ、腐っていたら加温してまき直す |
| 双葉に種皮が付いたまま | 覆土が浅い・乾燥 | 霧吹きで湿らせ、ふやけたらそっと外す |
| 双葉の下が長く倒れる | 光不足と夜の高温 | 土を足して茎を埋め、明るく涼しい場所へ |
| 葉が黄ばんで縮む | 夜の低温 | 夜は箱か室内で12℃以上に保つ |
| 双葉の下がくびれて倒れる | 過湿による立枯れ | 倒れた苗は捨て、新しい土でまき直す |
きゅうりは育苗が短いので、失敗しても1か月以内なら種からまき直して間に合います。迷ったら早めにまき直すほうが確実です。
種まきの手順
きゅうりは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
きゅうりの種まきでよくある質問
きゅうりの種はいつまく?
早まき(中間地): 3月下旬〜4月上旬。標準(中間地): 4月中旬。夏まき(二番手): 6月中旬〜7月下旬。暖地: 3月中旬〜下旬。
きゅうりの種はどうやってまく?
きゅうりは種まきから定植まで30日前後と、夏野菜のなかでは育苗が短い作物です。
きゅうりの種は何cmの深さにまく?
深さ1センチほどの穴を2〜3か所あけ、種を平らに寝かせて置きます。
きゅうりは何日で発芽する?
発芽に必要な地温は25度から30度で、28度前後あれば2日から4日で芽が出ます。
きゅうりの間引きはいつする?
穴どうしは2センチほど離し、間引くときに根が絡まないようにします。
きゅうりの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
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