目的に合わせて方法を選ぶ
デンドロビウムは三つの方法で増やせます。すぐ花が咲く株が欲しいなら株分け、自然に出た高芽を無駄にしたくないなら高芽取り、古いバルブを活用したいならバルブ伏せです。どの方法も花後の四月から五月が適期です。
どの方法でも、増やした株が花を咲かせるまでには日光と肥料を十分に与えた成長期を一回以上過ごさせる必要があります。増やしすぎて管理が追いつかないと、どの株も中途半端に育つので、鉢数は置き場所に合わせて決めます。
| 目的 | 方法 | 花が咲くまで |
|---|---|---|
| 翌年から花を咲かせたい | 株分け | 翌春に咲く |
| 高芽が出たので活用したい | 高芽取り | 二〜三年 |
| 古いバルブから増やしたい | バルブ伏せ | 三年以上 |
株分けはバルブ三〜四本を一組にする
バルブが十本以上に増えた株を、三〜四本ずつのまとまりに分けます。一本や二本に分けると小さすぎて翌年の花が咲きません。若いバルブと古いバルブを混ぜて一組にするのがこつで、若いバルブばかりの組は養分が足りず育ちが遅れます。
分けた株には、それぞれ根が付いていることを確かめます。根のない組は水ゴケに植えても水を吸えず、バルブの蓄えだけで新芽を出すことになり、育ちが遅れます。根が少ない組は乾かし気味に管理して新根を待ちます。
- 鉢から抜き根をほぐす
- 植え替えと同じ手順で古い水ゴケを外し、根のつながりを確かめます。分ける位置はバルブとバルブの間の細い部分です。
- 清潔なはさみで切り分ける
- 根茎の細い部分を火であぶったはさみで切ります。手で引きちぎると根が傷むので、必ず刃物で切ります。
- それぞれ小さめの鉢に植える
- 分けた株は水ゴケで植え、一週間水を止めます。鉢は株がちょうど収まる小さめのものを選びます。
株分けした年は、各株の新芽が小さくなるのが普通です。翌年には元の勢いに戻ります。
高芽は根が伸びてから外す
バルブの節から出た高芽は、根が二〜三センチに伸びるまで親株に付けたままにします。根がない状態で外すと、水を吸えずに枯れます。外した高芽は二〜三個をまとめて一つの鉢に植えると、早く鉢に根が回って育ちが安定します。
高芽を外す前に、親株からその高芽に養分が行き続けていることを確かめます。高芽の葉が黄ばんでいるなら親株が弱っている合図で、早めに外して親株の負担を減らします。
- 根の長さを確かめる
- 高芽の根が二〜三センチになったら外しどきです。それより短いなら親株に付けたまま一か月ほど待ちます。
- ひねって外し半日乾かす
- 根元を持って軽くひねると節から外れます。切り口を半日ほど日陰で乾かし、それから水ゴケで植えます。
- 小さな鉢に数個まとめて植える
- 小さな素焼き鉢に高芽を二〜三個まとめて植えます。一個ずつだと鉢が乾きにくく、根腐れしやすくなります。
高芽を親株から外すのは、根が出るのを待つ間も春から夏の成長期に限ります。秋以降に外すと冬を越せないことがあります。
バルブ伏せで古い茎から芽を出す
葉が落ちた緑色のバルブを切り取り、湿らせた水ゴケの上に横に寝かせておくと、節から新しい芽と根が出ます。時間はかかりますが、株分けで余ったバルブを無駄にしない方法です。
バルブ伏せは春から初夏に行い、気温が二十度を超える時期のほうが芽が出やすくなります。秋に伏せると冬の間に腐ることが多いので、余ったバルブは春まで乾いた場所で保管してから使います。
- 緑のバルブを選ぶ
- 茶色く枯れたバルブからは芽が出ません。葉は落ちていても緑色で固さの残るバルブを根元から切ります。
- 水ゴケの上に横に寝かせる
- 浅い容器に湿らせた水ゴケを敷き、バルブを横に置いて半分ほど埋めます。明るい日陰で乾かさないように管理します。
- 芽が出たら切り分けて植える
- 二〜三か月で節から芽と根が出ます。根が二センチほどになったら芽ごとに切り分け、小さな鉢に植えます。
バルブ伏せは時間がかかるので、株分けで余ったバルブを使う程度に考えてください。成功率は株分けよりかなり低くなります。
増やした株が育たないときの見直し
分けた株や高芽が一年たっても大きくならないときは、鉢が大きすぎて乾かないか、日光が足りないかのどちらかです。鉢を小さくして日なたへ移すと動き出します。花を急がず、まず新芽を太らせることに専念してください。
増やした小さな株は、親株より寒さに弱いので、最初の冬は十度を下回らない場所で管理します。低温処理は二年目以降、バルブが親株並みに太ってから始めます。
| 状態 | 見た目 | 直し方 |
|---|---|---|
| 水ゴケがいつも湿っている | 新根が出ず葉が黄ばむ | 小さな鉢に植え直し乾かし気味に |
| 新芽が細く長い | ひょろ長く倒れる | 日なたへ移す |
| 新芽が出ない | バルブがしぼむ | 春まで待ち、水ゴケを固めに植え直す |
デンドロビウムの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
デンドロビウムの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はデンドロビウムの育て方にまとめています。
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