警戒するのは開花後の三十日
エダマメの被害は収量ではなく品質に出ます。葉が多少食われても粒は入りますが、さやの中身を狙う虫は一匹でその莢を商品にならなくします。だから防除の設計は開花期を起点に組みます。
対策を始める順番は、まず物理的に入れないこと、次に見回りで早く見つけること、最後に薬に頼ることです。家庭菜園の株数なら、前二つでほとんど足ります。
| 時期 | 警戒するもの | 理由 |
|---|---|---|
| 発芽から本葉 3 枚 | 鳥、ネキリムシ | 株そのものが失われ、取り返しがきかない |
| 本葉 4 枚から開花前 | アブラムシ | 吸汁よりウイルス病を運ぶことが問題 |
| 開花期から莢肥大期 | カメムシ | さやを刺して粒を吸い、変色と落莢を招く |
| 開花後 10〜30 日 | マメシンクイガ | 幼虫がさやに食い入り、外からは見えない |
カメムシは開花前に入れさせない
カメムシはさやに口針を刺して中の粒を吸います。刺された粒は変色して縮み、ひどいとさやごと落ちます。畑に入ってくるのは花が咲き始めるころなので、その前に手を打つかどうかで結果が変わります。
- ネットは開花前に張る
- 目の細かい防虫ネットを、花が咲く前にトンネルで掛けます。入られた後に掛けると中で増やすだけになるので、時期を逃したら掛けません。
- 周りの草を刈る
- 畑の周囲のイネ科やマメ科の雑草が発生源になります。開花の二週間前までに刈り、刈った直後は畑へ移動してくるので見回りを増やします。
- 朝の見回りで捕る
- 気温の低い早朝は動きが鈍く、ペットボトルに落とせます。日中は飛んで逃げるので、捕る作業は必ず朝に回します。
収穫したさやを割って粒に褐色の斑点が並んでいたら、カメムシの吸汁痕です。翌年はネットの時期を早めます。
シンクイムシは外から見えない
マメシンクイガは開花後 10〜30 日の粒が太る時期に、さやの表面から幼虫が食い入ります。中で粒を食べるため外観はほぼ変わらず、茹でて割って初めて気づくのが厄介なところです。
- 被害の見つけ方
- さやの表面に小さな穴と黒い粉のような糞が付きます。収穫のたびに数本を割って中を確認し、出たら以後は全量を確認します。
- 発生を減らす
- 被害莢と収穫後の残さを畑に残さないこと。幼虫は土中で越冬するため、同じ場所での連作をやめるだけで密度が下がります。
- 覆う場合の時期
- ネットは開花直前から莢肥大期まで掛け続けます。エダマメは自分の花粉で結実するので、覆っても実の付きには影響しません。
被害が出ても収穫を諦めません。莢を割って選別すれば食べられる粒は残ります。捨てるのは食い入られた莢だけです。
葉を食う虫と吸う虫
葉の食害は、開花前ならある程度許容してかまいません。エダマメは葉が多少減っても粒は入ります。問題になるのは開花期以降に葉が急に減る場合で、粒の充実に使う養分が足りなくなります。
| 害虫 | 出やすい時期 | 見分け方と初動 |
|---|---|---|
| アブラムシ | 本葉が伸びるころと秋 | 新芽に群れる。ウイルス病を運ぶので早く落とす |
| ハスモンヨトウ | 夏から初秋 | 小さいうちは葉裏に集団。葉ごと取れば止まる |
| ネキリムシ | 定植直後の夜 | 地際で切られる。株元の土を浅く掘れば見つかる |
| ハダニ | 乾いた真夏 | 葉が白くかすれる。葉裏へ水をかけると増えにくい |
ヨトウは大きくなると薬も効きにくく、夜しか出てきません。若齢のうちに葉ごと取るのが唯一確実な手です。
病気は風通しと排水で減らす
エダマメの病気は、多くが過湿と株の混みすぎから始まります。株間を詰めない、高畝にする、下葉を整理するという三つで、薬を使う場面はかなり減らせます。
- べと病
- 葉に黄色い斑点が出て裏に白いかびが付きます。梅雨と秋の長雨に多く、出た葉を早く取り除き、株間の風を通します。
- 白絹病
- 地際に白い絹糸状のかびと粟粒状の菌核が付き、株が急にしおれます。高温と過湿で出るため、株ごと抜いて畑の外へ持ち出します。
- モザイク病
- 葉が縮れてまだらになり、さやに褐色の斑が出ます。アブラムシが運ぶので、治療はできません。見つけたら株ごと抜きます。
抜いた株は畑の隅に積まず、袋に入れて持ち出します。積んだ残さがそのまま翌年の伝染源になります。
予防の設計を先に決める
- まく前に決めること
- 連作を 2〜3 年あける、高畝にする、株間を規定どおりとる。この三つは後から変えられないので、畝を立てる日に決めます。
- 開花前に決めること
- ネットを掛けるか、見回りで捕るか。掛けるなら花が咲く前に張り終える必要があり、迷っている間に時期が過ぎます。
- 収穫期にすること
- 採るたびに数本を割って中を見ます。被害が出ていれば残りの収穫を早め、被害莢は畑に捨てず持ち出します。
薬を使う場合も、収穫前日数の決まりは品目ごとに違います。エダマメと大豆で扱いが分かれることがあるので確認します。
防除がうまくいかないときの切り分け
手を打ったのに被害が減らない年は、薬や資材ではなく時期がずれていることがほとんどです。さやを割って中を見て、いつ入られたのかをたどると、翌年に直すべき一手が決まります。
| さやや葉に出ている症状 | 疑う原因 | 次にすること |
|---|---|---|
| さやの外に黒い斑点、中は空 | 開花期にカメムシに吸われた | 開花前から寒冷紗で覆い、朝に見回る |
| さやに小さな穴が開く | シンクイムシが中に入った | 被害さやを外し、翌年は開花期に防除 |
| 葉が白くかすれて乾く | 乾燥期のハダニ | 葉裏に水をかけ、株元へ敷き草をする |
| 下葉が黄ばみ株ごと枯れる | 過湿による立枯れ | 溝を切って水を抜き、翌年は高畝に |
薬剤を使うならエダマメでの登録と収穫前日数を必ず確かめます。同じ系統を続けると効きが落ちるので、年ごとに変えます。
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