作型で暦が二か月ずれる
エダマメの月別作業は、品種の作型を決めないと書けません。同じ 7 月でも、早生なら収穫、晩生ならまだ本葉が数枚という段階で、必要な仕事がまったく違います。
早生は温度に反応して花を付け、晩生は日が短くなるのに反応して花を付けます。この違いがあるため、晩生を早くまいても収穫は早まらず、株だけが大きくなって終わります。
| 作型 | 播種 | 開花 | 収穫 |
|---|---|---|---|
| 早生 | 4〜5月 | 6月中旬〜7月 | 7〜8月 |
| 中生 | 5〜6月 | 7〜8月 | 8〜9月 |
| 晩生(黒豆など) | 6月中下旬 | 8月下旬〜9月 | 10月 |
以下の月別は中間地の目安です。暖地は半月早く、寒冷地は半月から一か月遅らせて読みます。
4月から5月
この二か月の仕事は、地温が上がるのを待つことと、発芽直後の鳥害を止めることに尽きます。まく日を焦って前倒しすると、そのぶん欠株の埋め直しに時間を取られます。
収穫期をずらしたいなら、この時期に二週間おいて二回まきます。エダマメは適期が数日しかないので、一度に全部まくと採り切れずに味の落ちたさやが残ります。
| 時期 | 作業 | 理由 |
|---|---|---|
| 3月下旬 | 畝の場所を決める | マメ科を 2〜3 年作っていない場所を選ぶ |
| 4月上旬 | 畝立てと元肥 | 地温を上げ、まく 2 週間前に石灰と堆肥をなじませる |
| 4月中旬 | 早生の播種 | 最低地温 15℃を超えたら開始。低ければ待つ |
| 4月下旬 | 不織布の被覆 | 発芽から初生葉までの鳥害を止める |
| 5月 | 中生の播種と間引き | 本葉 2 枚で 1〜2 本立ちに。被覆を外す |
遅霜のある地域では、4 月中の播種は被覆をかけたままにします。芽が霜に当たると株ごと止まります。
6月から7月
早生が開花に入り、晩生をまく月です。作業が重なるので、水やりを優先します。開花期に一度乾かした株は、その後どれだけ手をかけても粒が入りません。
梅雨の間は逆に過湿を警戒します。畝に水がたまる畑では、この時期に根が傷んで下葉から黄ばみ、開花期に入る前に株が止まってしまいます。溝を切って水を逃がします。
| 時期 | 作業 | 理由 |
|---|---|---|
| 6月上旬 | 中耕と土寄せ | 根に酸素を入れ、倒伏と乾燥に備える |
| 6月中下旬 | 晩生(黒豆)の播種 | この時期を外すと茎葉が茂りすぎ着莢が落ちる |
| 6月下旬 | 摘心(中生・晩生) | 本葉 5〜6 枚で先端を摘み、側枝とさや数を増やす |
| 7月 | 早生の開花期潅水と収穫 | 乾かすと粒が入らない。7〜10 日おきに与える |
梅雨明けの急な乾燥が最大の落とし穴です。開花が重なる株から順に水を回し、後回しにしません。
8月から9月
収穫と防除が同時に来る山場です。中生は数日で適期が過ぎるので、まとまった収穫の日を先に決め、その前後にカメムシの見回りを組み込みます。
収穫が終わった株は早めに片づけます。残しておくとカメムシやシンクイムシが晩生の株へ移り、まだ収穫を待つ畝の被害が増えます。
| 時期 | 作業 | 理由 |
|---|---|---|
| 8月上旬 | 中生の開花期潅水 | この時期の水切れがそのまま空莢になる |
| 8月中旬 | カメムシの見回り | 莢肥大期に入る。朝のうちに捕る |
| 8月下旬 | 中生の収穫 | 適期は数日。8 割のさやが膨らんだら採り切る |
| 9月 | 晩生の開花と潅水 | 株が大きく水を多く使う。倒伏したら土を寄せる |
残暑の乾燥がこの時期の敵です。朝に株元を見て土が白く乾いていたら、その日のうちに水を入れます。
10月から11月
黒豆の枝豆はこの月だけの作物です。適期は一週間ほどで、過ぎると粒が硬くなって甘みが落ちるため、10 月に入ったら数日おきにさやを割って中を確かめます。
同時に、翌年の連作を避ける計画を立てる月でもあります。エダマメは 2〜3 年あける必要があるので、片づけながら来年の畝割りを決めてしまうと忘れません。
片づけのとき、根は地際で切って土に残します。根粒が固めた窒素がそのまま残り、次にここで作る葉物の元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)を減らせます。病害の出た株だけは根ごと持ち出します。
| 時期 | 作業 | 理由 |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 黒枝豆の莢の確認 | 粒が厚くなる時期。数本割って中を見る |
| 10月中旬 | 黒枝豆の収穫 | 枝豆として採る適期は短く、過ぎると硬くなる |
| 10月下旬 | 残さの片づけ | 被害莢を残すとシンクイムシが土中で越冬する |
| 11月 | 次作の計画 | 同じ畝で 2〜3 年マメ科を作らない配置に組み替える |
黒豆は枝豆として採らず置けば正月用の乾燥豆になります。切り替えるなら 11 月まで畝を空けられません。
地域別のまき始めとまき終わり
地域差は播種の開始日より、まき終わりの締切に強く出ます。寒冷地ほど秋が早く来るため、遅くまいた株は開花期が低温に当たり、花は咲いてもさやが太りません。
開始日のほうは地温で判断できます。暦より、朝の地温が 15℃を超えた日を基準にするほうが確実で、同じ地域でも日当たりと土質で一週間はずれます。
| 地域 | 播種の開始 | 最終播種の目安 |
|---|---|---|
| 暖地 | 4月上旬 | 7月上旬(黒豆は 6月下旬) |
| 中間地 | 4月中下旬 | 6月下旬 |
| 寒冷地 | 5月中旬 | 6月中旬 |
最終播種を過ぎてまくと、開花期が短日と低温に当たり、さやが太らないまま秋を迎えます。
作業を逃したときの立て直し方
暦どおりに進まなかった年でも、まき直しか品種の切り替えで多くは間に合います。いまが何月かと株の姿を突き合わせ、取り返せる作業と、あきらめて翌年に回す作業を先に分けます。
| 気づいた時期 | 逃した作業 | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 6月に入ってまだ未播種 | 早生のまき時 | 中生か晩生に切り替えて7月にまく |
| 本葉が7枚を過ぎた | 摘心の適期 | 摘心はやめ、土寄せと水やりに回す |
| 開花が終わっていた | 追肥の適期 | 追肥はせず、水切れだけを防いで太らせる |
| さやが黄ばみ始めた | 収穫の適期 | 若採りをやめ、完熟の豆として乾かす |
作業を逃したかどうかは暦ではなく株で決まります。開花日を控えておくと、次にどの作業が残っているかがすぐ分かります。
エダマメの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
エダマメの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はエダマメの育て方にまとめています。
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