一番花を基準にする理由
ナスの株は、最初に咲く花のところで枝分かれする性質があります。主枝が一番花で止まり、そのすぐ下から勢いのある芽が二本出るため、この三本を骨格にすると株の形が自然にまとまります。人が形を決めるのではなく、株がすでに持っている分岐点をそのまま使う仕立て方です。
そのため、一番花が咲くまでは芽をむやみに取らずに待ちます。位置が確定する前にわき芽(葉のつけ根から出る芽)をかくと、残すべき芽まで落としてしまい、片側だけ枝の伸びた不格好な株になります。
- 咲くまで待つ
- 定植から2週間ほどで一番花が咲きます。それまでわき芽をかかないのは、残すべき芽の位置が花で決まるからです。
- 分岐点を確かめる
- 一番花の上で主枝が2本に分かれます。その2本と、花の直下にある勢いのよい芽1本。この3本が三本仕立ての骨格です。
- 位置を見失ったら
- 花を摘んでしまって分からなくなったときは、最も太く勢いのある枝を3本残し、残りを付け根から落とせば形は整います。
一番花の位置は苗を買った時点でほぼ決まっています。植え付け直後にわき芽をかく必要はなく、まず活着に専念させてください。
三本仕立ての作り方
- 一番花を見つける
- 定植から2週間ほどで最初の花が咲きます。その花のついた節を目印にし、そこから下を数えます。花より上の枝は自然に二又に分かれます。
- すぐ下の芽を1本残す
- 一番花の直下にある勢いの良いわき芽を1本だけ残します。上で分かれた2本と合わせて主枝が3本になり、これが三本仕立ての骨格になります。
- それより下は全部かく
- 残す芽より下から出るわき芽は、見つけ次第すべて手で取ります。放っておくと株元が混み合い、風が通らずアブラムシとハダニの温床になります。
- 晴れた日の午前に行う
- 芽かき(余分な芽を根元から取ること)の傷口は乾けばふさがります。雨の日や夕方は傷口が湿ったままになり、病原菌が入りやすくなるので避けます。
支柱は主枝の数だけ立てる
主枝が3本なら支柱も3本、株を中心に放射状に開いて立てます。真っすぐ上に伸ばすのではなく、外へ倒すように誘引すると株の中心に光と風が入り、内側の実も色よく育ちます。
支柱は長さ150センチから180センチ、太さ16ミリ以上を使います。夏のナスは枝と実の重みが相当なもので、細い支柱では台風の前に倒れます。3本の頭を交差させて結ぶか、株の外周に短い横棒を渡すと格段に丈夫になります。
- 誘引の結び方
- 支柱側できつく、茎側はゆるく輪を作る8の字結びにします。茎は真夏に太るので、きつく縛ると食い込んで折れます。
- 誘引の間隔
- 30センチ伸びるごとに1か所ずつ結び足します。先端を放置すると自分の重みで折れ、そこから伸びる枝を1本失います。
収穫と同時に枝を更新する
主枝3本から出る側枝には、花が咲いて実がつきます。この側枝を伸ばし放題にすると株が茂りすぎるので、実を1つか2つ収穫したら、その側枝を葉1枚残して切り戻します。切った節からまた新しい芽が伸びて次の花をつけるため、収穫と剪定が一つの作業になります。
この切り戻しを続けると、株はいつも若い枝で実をつける状態になり、実の形がそろい、大きさも安定します。逆に切らずにいると枝が細く長く伸び、先端に小さい実がまばらにつくだけの株になります。
収穫ばさみを持って畑に入り、実を切ったらその場で枝も切る。これを習慣にすると整枝(枝の数と向きを整えること)を別作業として溜め込まずに済みます。
下葉かきと風通し
梅雨に入ったら、地面に触れている葉と黄ばんだ下葉を取り除きます。土のはね返りが葉裏につくと病気の入口になり、地際が蒸れるとハダニが増えます。収穫が始まる頃には、地際から30センチほどは葉のない状態にしておくと管理が楽です。
ただし一度に取りすぎるのは禁物です。葉は実を太らせる工場でもあるので、1回に取るのは株全体の葉の2割までにとどめ、週に一度の見回りで少しずつ整理していきます。
- 取る葉を決める
- 地面に触れている葉、黄ばんだ葉、泥のはねた葉から順に外します。緑で健全な葉は残し、光を受ける面積を保ちます。
- 取ったあとの確認
- 作業後に株の真下から見上げ、地面に光の斑が落ちていれば十分です。真っ暗なままなら、日を置いてもう数枚外します。
- 地際30センチが目標
- 6月から週に1回のペースで下から外し、収穫が始まる頃に地際30センチが空いている状態へ持っていきます。
二本仕立て・四本仕立てとの使い分け
本数が多いほど1株の収量は増えますが、そのぶん場所と支柱と肥料が要ります。プランターや幅の狭い畝では、無理に三本にせず二本にしたほうが、風通しが保たれて結果的によく採れます。
| 仕立て | 株間の目安 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 二本仕立て | 40〜50センチ | 株数を多く植える畑、プランター栽培 |
| 三本仕立て | 50〜60センチ | 露地の標準。長く採り続けたいとき |
| 四本仕立て | 70センチ以上 | 株数が少なく1株を大きく育てるとき |
途中で本数を変えたくなったら、増やすより減らすほうが安全です。混みすぎた株は主枝を1本根元から切り、残りに養分を集めてください。
仕立てでつまずいたときの切り分け
仕立ては途中からでも直せます。主枝が足りない、混みすぎた、実が止まったといったつまずきは、いま株がどう見えているかから原因をたどれば、その年のうちに立て直せるものがほとんどです。
直すときに一度で切りすぎないことだけ守ってください。ナスは葉を減らしすぎると実が日焼けし、株も養分をつくれなくなって、かえって収穫が止まります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 主枝が2本しか取れない | わき芽を早く取りすぎた | 2本仕立てに切り替え、株間を広く使う |
| 枝が混み実に日が当たらない | わき芽を放任した | 古い枝から順に間引き、下葉をかく |
| 花は咲くが実が止まる | 枝を伸ばしすぎて養分が散る | 収穫のたびに枝を切り戻す |
| 支柱ごと株が傾く | 主枝の数だけ支柱がない | 主枝ごとに支柱を足して結び直す |
| 切り口から枯れ込む | 雨の日に切った | 晴れた日の午前に枯れた先を切り直す |
直すのは晴れた日の午前です。切り口が乾く前に雨が当たると、そこから菌が入って枝ごと枯れ込みます。
ナスのわき芽かき・整枝に使うもの
この作業でいちばん気をつけるのは、切り口から病気を移さないことです。道具そのものより、使い方に関わるものを挙げます。
- 園芸ばさみ探す言葉「園芸ばさみ ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後のステンレス製。細い茎を切るので、剪定ばさみより小回りの利くものを。
よく切れるはさみは切り口が潰れません。潰れた切り口は乾きにくく、病気の入り口になります。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80% のもの。スプレー式が作業中に使いやすいです。
ウイルス性の病気は、はさみを介して株から株へ移ります。株を変えるたびに刃を拭くだけで防げます。
- 誘引テープ探す言葉「誘引テープ 園芸」
- 規格の目安
- 幅 10mm 前後。伸びる素材のもの。
整枝したあとは枝の位置が変わります。そのつど留め直すので、切って使える長さのものが便利です。
- わき芽は指で折れる大きさのうちに取れば、はさみは要りません。手で折ったほうが切り口も早く乾きます。
- 癒合剤は太い枝を切る木の作業のもので、野菜には要りません。
ナスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はナスの育て方にまとめています。
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