ナスは定植の80日前にまく
ナスは果菜類の中でも特に高温を好み、苗作りに時間がかかります。種をまいてから1番花のつぼみが見える苗になるまで70日から80日、トマトより2週間ほど長くかかります。関東の露地で5月中旬に植えるなら、2月中旬から下旬にまく計算で、真冬の育苗になるため加温が欠かせません。
加温の設備がない家庭では、4月上旬に窓辺でまいて6月中旬に植える遅まきもできます。収穫の始まりは8月にずれ込みますが、ナスは秋まで採れるので、秋ナスを中心に楽しむと考えれば無理のない作型です。
| 作型 | まく時期 | 植える時期 | 加温の要否 |
|---|---|---|---|
| 暖地の露地 | 2月上旬〜中旬 | 4月下旬〜5月上旬 | 要る |
| 関東の露地 | 2月中旬〜下旬 | 5月中旬 | 要る |
| 寒冷地の露地 | 3月上旬〜中旬 | 6月上旬 | 要る |
| 加温なしの遅まき | 4月上旬〜中旬 | 6月中旬〜下旬 | 夜の取り込みだけ |
種から育てた苗は接ぎ木をしていない自根の苗です。前の年にナスやトマト、ピーマンを育てた場所は病気が出やすいので、別の場所に植えます。
一晩水に浸してから浅くまく
ナスの種は休眠が深く、乾いたまままくと芽の出る日がばらばらになります。まく前の晩から水に浸して吸水させ、地温を高く保つと発芽がそろいます。用土は市販の種まき用土を使い、セルトレイか育苗箱にまいて、後で9センチから12センチのポットへ鉢上げ(大きな容器に移すこと)します。
- 一晩水に浸す
- まく前の晩に種をぬるま湯に浸し、8時間から12時間おいて吸水させます。翌朝に水を切り、その日のうちにまきます。
- 深さ5ミリにまく
- 湿らせた用土を詰め、セルトレイなら1穴に2粒、育苗箱なら1センチ間隔ですじにまきます。5ミリほど土をかけて軽く押さえます。
- 乾き止めをかける
- 表面がしっとりするまで霧吹きで水を与え、ラップか新聞紙をかけます。発芽まで1週間以上かかるので、途中で乾いていないか毎日確かめます。
温度管理はトマトより一段高く
ナスの発芽には地温28度から30度が要り、この温度なら7日から10日で芽が出ます。地温が20度を下回ると2週間たっても芽が出ないことがあり、15度以下ではまず発芽しません。2月の室内では足りないので、育苗用のヒーターマットを温度調節器と一緒に使い、発泡スチロール箱に入れて保温します。
芽が出たら昼は25度から28度、夜は15度から18度で育て、本葉が増えたら夜を13度から15度まで下げます。ナスの苗は夜12度を下回ると育ちが止まり、葉が縮れて紫がかるので、夜12度を切らせないことが育苗の条件です。
- 昼と夜で温度差を付ける
- 発芽までは昼30度、夜20度ほどの変化を付けると芽がそろいやすくなります。マットの温度調節器を夜だけ低めに設定し直します。
- 夜は箱ごと室内の暖かい場所へ
- 夕方に苗を発泡スチロール箱に入れ、底にマットを敷いて夜の温度を15度前後に保ちます。マットがなければ湯を入れたペットボトルを2本添えます。
- 昼の閉め切りは避ける
- 晴れた日に箱のふたを閉めたままにすると40度近くまで上がり、苗が焼けます。昼は必ずふたを開けて窓辺へ出します。
| 時期 | 昼の温度 | 夜の温度 | 家庭でのやり方 |
|---|---|---|---|
| 発芽まで | 地温28〜30度 | 地温20度以上 | ヒーターマットと発泡スチロール箱 |
| 発芽〜本葉2枚 | 25〜28度 | 15〜18度 | 昼は窓辺、夜は箱にマットを入れる |
| 本葉3〜6枚 | 25度前後 | 13〜15度 | 晴れて暖かい日だけ屋外へ |
| 植える前の10日 | 外気 | 12度以上 | 夜も外へ。冷える夜は取り込む |
ナスは高温を好みますが、夜まで暖かくしすぎると徒長(茎が細長く伸びて弱い苗になること)します。夜は昼より10度ほど低くします。
芽が出たら光に当て、2回に分けて広げる
ナスの苗は育苗の期間が長く、途中で葉が重なり合うと下の葉が黄色くなって茎が伸びます。葉が隣の苗と触れ合うころになったら、ポットの間を広げて光が株元まで届くようにします。葉の色と茎の太さを見て、締まった苗かどうかを判断します。
- 芽が出始めたら覆いを外す
- 芽が半分ほどそろったら覆いを外し、明るい窓辺へ移します。遅れて出る芽を待って覆いを残すと、先に出た苗が伸びてしまいます。
- 本葉1〜2枚で鉢上げ
- 本葉が1〜2枚になったら、9センチから12センチのポットに1本ずつ移します。根鉢を崩さないよう、スプーンで土ごとすくいます。
- 水は暖かい午前中に
- 水やりは晴れた日の午前中に、土の表面が乾いていたら与えます。冷たい水道水は地温を下げるので、汲み置きして室温にした水を使います。
- 葉が触れ合ったら間隔を広げる
- 隣の苗と葉が重なったら、ポットの間隔を一つ分ずつ空けます。植えるまでに2回ほど広げると、下葉まで光が当たります。
- 葉色が薄れたら液肥
- 鉢上げから3週間ほどたって葉の色が薄くなったら、薄めた液体肥料を週に1回与えます。ナスは肥料を好むので、切らさないようにします。
1番花のつぼみが見えたら慣らして植える
植える目安は本葉7枚から9枚、1番花のつぼみが見えたころです。ナスは寒さに弱く、最低気温が12度を超え、できれば15度に近づいてから植えます。関東の露地では5月中旬が目安で、トマトより1〜2週間遅らせるのが安全です。
- 10日かけて外に慣らす
- 植える10日前から昼は屋外の日なたに出し、後半の5日ほどは夜も外に置きます。最低気温が12度を下回る予報の夜は室内に取り込みます。
- つぼみと気温を見て植える
- 1番花のつぼみが見え、最低気温が12度を超える日が続いたら植えます。条件がそろわないうちは、一回り大きな鉢に移して待たせます。
ナスの苗が育たないときの原因と手当て
ナスの育苗の失敗は、ほとんどが温度不足から来ます。トマトと同じ場所で一緒に育てると、トマトには足りてもナスには寒すぎることがよくあります。症状を見て、まず夜の温度を測って確かめます。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 2週間たっても芽が出ない | 地温が25度に届かない | マットの温度を上げ、箱で保温する |
| 芽の出る日がばらばら | 吸水不足と温度のむら | 次は一晩浸し、昼夜で温度差を付ける |
| 葉が縮れて紫がかる | 夜12度を下回った | 夜は箱とマットで15度前後に保つ |
| 本葉が増えず止まって見える | 地温と気温の両方の不足 | 日中は日なたへ出し、水は室温で |
| 茎が細く伸びて倒れる | 夜の高温と光不足 | 夜を下げ、ポットの間隔を広げる |
寒さで止まった苗も、温度を戻せば1週間ほどで新しい葉が出始めます。葉が紫になっただけで捨てず、植える日を遅らせて立て直します。
種まきの手順
ナスは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
ナスの種まきでよくある質問
ナスの種はいつまく?
加温の設備がない家庭では、4月上旬に窓辺でまいて6月中旬に植える遅まきもできます。
ナスの種はどうやってまく?
用土は市販の種まき用土を使い、セルトレイか育苗箱にまいて、後で9センチから12センチのポットへ鉢上げ(大きな容器に移すこと)します。
ナスの種まき後の水やりは?
翌朝に水を切り、その日のうちにまきます。
ナスは何日で発芽する?
ナスの発芽には地温28度から30度が要り、この温度なら7日から10日で芽が出ます。
ナスの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
ナスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はナスの育て方にまとめています。
スマホのカメラで読み取ると、ストアが開きます
iPhone 対応。Android 版はベータ版テスター募集中 (Premium 6 か月の特典つき)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。