とう立ちが起きる条件
シュンギクのとう立ち(花芽が伸びて茎が立つこと)は、日の長さが伸びることが引き金になります。日照時間が十二時間を超え、気温が上がる四月以降に一気に進み、茎が立ち上がって葉が小さくなります。
つまり春の栽培では、とう立ちは避けられない現象です。防ぐというより、とう立ちが始まる前に穫り切る計画を立てるのが現実的な考え方になります。
| 時期 | 日の長さ | とう立ちの危険 |
|---|---|---|
| 10〜12月 | 短くなる | ほぼ起きない。じっくり育つ |
| 1〜2月 | 短い | 低い。寒さで生育は緩む |
| 3月 | 伸び始める | 中くらい。秋まき株は穫り切る |
| 4〜6月 | 長い | 高い。春まき株も次々に立ち上がる |
秋まきに寄せる
とう立ちを避けるいちばん確実な方法は、九月中旬から十月上旬にまく秋まきに寄せることです。日が短くなっていく時期に育つため花芽ができにくく、十一月から翌三月まで摘み取りを続けられます。
まき時を二週間ずらして二回に分けておくと、収穫の山が分散して長く穫れます。一回目を九月中旬、二回目を十月上旬にすると、真冬の生育が緩む時期も切れ目なくつながります。
秋まきの株は寒さに当たることで葉が厚くなり、香りと甘みが増します。真冬の生育はゆっくりですが、その分だけ味が乗るので、量より質を取る作型だと考えると気が楽になります。
- 九月中旬に一回目
- 朝晩が涼しくなったころにまきます。十一月上旬から最初の摘み取りが始まり、年内に二回から三回穫れます。
- 十月上旬に二回目
- 一回目から二週間から三週間空けてまきます。一回目の株が疲れるころにちょうど穫りごろが来て、切れ目がなくなります。
- 十一月に覆いをかける
- 不織布かトンネルで霜を防ぐと、真冬も葉先が傷まず、二月まで少しずつ摘み続けられます。裾は土で押さえます。
春まきは短く穫り切る
春にまくなら三月下旬から四月上旬にまき、五月中に穫り切る計画にします。摘み取りで長く引っ張ろうとすると、五月後半にはとう立ちが始まって葉が固くなります。
春まきでは間引きを浅めにして株を少し密に育て、若いうちに株ごと抜いて収穫する作型が向いています。生育が速いので、まいてから四十日ほどで穫れます。
- 株間を10センチにする
- 春は密植ぎみにして早く穫ります。摘み取りではなく抜き取りを前提に、株間十センチで間引きを止めます。
- 40日で穫り始める
- 草丈二十センチになったら順に抜いていきます。大きくするより早く穫るほうが柔らかく食べられます。
- 5月中に片づける
- 茎が立ち始めたら残りをまとめて抜き、畝を次の作物に回します。引っ張っても固くなるだけです。
春まきでも遅霜には当たります。四月上旬までにまいた株は、寒い夜に不織布をかけると生育が止まりません。
とう立ちが始まったときの使い道
茎が立ち始めても、すぐ食べられなくなるわけではありません。伸び始めの茎はやわらかく、香りも穏やかで、炒め物や汁の実にすると十分おいしく食べられます。つぼみが見えるまでが目安です。
使い切れないほど立ち上がってしまったら、若い茎先だけをまとめて摘んでおひたしにします。株を全部片づけるのは、つぼみが開いて茎が固くなってからで構いません。花を見てから抜いても畑の段取りは間に合います。
| 状態 | 食べられるか | 使い方 |
|---|---|---|
| 茎が伸び始めたばかり | 食べられる | 茎ごと切って炒め物に。葉は汁の実に |
| つぼみが見えてきた | 先端だけ食べられる | つぼみと若い葉を摘んで天ぷらに |
| 黄色い花が咲いた | 固くて向かない | そのまま咲かせて次の種を採るか片づける |
花はキクに似た黄色で、切り花としても楽しめます。片づける前に何本か残しておくと花壇代わりになります。
品種選びで粘る
品種によってとう立ちの早さは違います。春まきに向くと書かれた品種は、日が長くなっても花芽ができにくく、五月いっぱいまで穫れることがあります。種の袋の裏にあるまき時の表を必ず確かめます。
| タイプ | とう立ちの早さ | 選ぶ場面 |
|---|---|---|
| 中葉の一般種 | 標準 | 秋まき中心。長く摘み取りたいとき |
| 春まき向きと書かれた品種 | 遅い | 3〜4月にまくとき |
| 大葉種 | やや遅い | 抜き取りで大株にしたいとき |
| スティック型の品種 | 早い | 若い茎を短期で穫るとき |
早すぎるとう立ちの原因
秋まきなのに十二月や一月に茎が立つことがあります。これは日の長さではなく、まき遅れや低温、肥料切れによる株の異常で起きます。原因が分かれば次のまき方で直せます。
| 原因 | 起きる場面 | 次への手直し |
|---|---|---|
| まき遅れ | 10月下旬以降にまいた | 9月中旬〜10月上旬に前倒しする |
| 長い低温に当たった | 覆いをせず霜が続いた | 11月中に不織布かトンネルをかける |
| 肥料切れ | 元肥だけで追加していない | 摘むたびに少量ずつ足す |
| 株が古い | 同じ株を4回以上摘んだ | 新しくまいた株に切り替える |
とう立ちした株を残しておくと畑の栄養を使い続けます。使い道が済んだら早めに抜いて、次の作物のために土を休ませます。
シュンギクの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
シュンギクの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はシュンギクの育て方にまとめています。
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