一年の流れ
ブドウの一年は、冬の剪定で始まり、春の芽かき、初夏の房作り、夏の袋かけ、秋の収穫、そして落葉後の元肥で終わります。作業が多い果樹ですが、一つ一つは短時間で済みます。時期を逃さないことが大切です。
寒冷地では全体が二〜三週間遅れ、暖地では一〜二週間早まります。カレンダーの月を固定せず、芽のふくらみ、開花、着色といった株の姿を見て作業を始めると、どの地域でも外しにくくなります。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 12月〜1月 | 冬剪定、元肥、癒合剤塗布 | 落葉して樹液が止まっている間に |
| 2月〜3月 | 誘引の手直し、植え付け | 樹液が動く前に。芽がふくらんだら切らない |
| 4月 | 芽かき、新梢の整理 | 芽が5センチほど伸びたら一芽一本に |
| 5月 | 誘引、房作りの準備 | 枝が30センチを超えたら針金に止める |
| 6月 | 開花、摘心、房の整形、袋かけ | 花が終わって実が大豆大になったら |
| 7月 | 副梢の整理、水やり | 袋の中の実を時々確かめる |
| 8月〜9月 | 着色の確認、収穫 | 品種ごとの色になり、味見して判断 |
| 10月〜11月 | お礼肥え、落葉した葉の片付け | 収穫後すぐに肥料。病葉は残さない |
春の芽かきと枝の整理
4月に芽が動き出したら、芽かき(余分な芽を早いうちにかき取る作業)をします。一つの節から複数の芽が出るので、房の付いた勢いのよい一本を残します。5月には枝が伸びるので、風で折れる前に針金へ止めます。
- 芽の数を絞る
- 芽が5センチくらいに伸び、房の有無が見えたころに一芽一本にします。早すぎると房の有無が分からず、遅いと養分の無駄になります。
- 枝を等間隔に誘引する
- 新梢が30センチほど伸びたら、隣と15〜20センチ空けて針金に結びます。ブドウの枝は風で付け根から折れやすいので早めに止めます。
初夏の開花と房作り
関東では5月下旬から6月上旬に開花します。花が咲く前に房の先端や肩の部分を切って形を整え、開花中は雨に当てないようにします。花の後、実が大豆くらいになったら粒を間引き、袋をかけます。
- 房の形を整える
- 開花直前に、房の肩の枝分かれと先端を切り、長さを巨峰系で6〜7センチ、デラウェアなら8センチ前後にそろえます。
- 粒を間引く
- 実が大豆大になったら、混んで押し合う粒と内側を向いた粒を切り、巨峰系で一房30〜35粒にします。粒を減らすと大きく甘くなります。
- 袋をかける
- 粒を間引いた後、病気の予防をしてから袋をかけます。かける前に房が乾いていることを確かめます。
開花中の房に雨が当たると実止まりが悪くなります。梅雨の走りに重なる年は、傘のような雨よけをかけるだけでも違います。
夏から秋の管理と収穫
7月は副梢の整理と水やりが中心です。8月に入ると実が色づき始めます。着色は袋の底から確かめ、品種の色になって二週間ほど経ったら味見をして収穫します。収穫が終わったらすぐに追肥をして、葉が落ちるまで光合成を続けさせます。
秋は翌年の準備の季節でもあります。鉢植えの根が回っているか鉢底を見て確かめ、白い根が底穴から出ていたら冬の植え替えを予定に入れます。
| 品種 | 収穫の目安 | 見分け方 |
|---|---|---|
| デラウェア | 7月下旬〜8月上旬 | 全体が赤紫になり、粒がやや柔らかい |
| 巨峰・ピオーネ | 8月中旬〜9月上旬 | 黒紫に色づいて一週間以上、粒に白い粉 |
| シャインマスカット | 8月下旬〜9月中旬 | 黄緑がわずかに黄色みを帯び、香りが立つ |
冬の剪定と元肥
落葉後の12月から1月に剪定と元肥を行います。剪定した枝や落ち葉には病気の胞子が残るので、畑に置かずに処分します。鉢植えは二〜三年に一度、この時期に根を切り詰めて植え替えます。
- 落ち葉を片付ける
- 落葉した葉と剪定した枝を集めて処分します。黒とう病やべと病の菌はここで越冬するので、翌年の発生を減らす一番の予防です。
- 幹の粗皮を剥ぐ
- 古い幹の浮いた皮を手で剥ぎ、皮の下で越冬する害虫を減らします。剥ぎすぎて緑の部分を傷つけないようにします。
- 元肥を溝に入れる
- 枝先の真下あたりの地面に深さ20センチほどの溝を掘り、堆肥と有機肥料を入れて土を戻します。幹のすぐそばに置いても根が吸えないので、離した場所に入れるのがこつです。
時期を外したときの立て直し
作業が遅れても取り返せることが多いです。ただ、3月以降の太い枝の剪定と、開花期の肥料だけは避けます。遅れた作業ごとの対応を整理します。
| 場面 | 困りごと | 対応 |
|---|---|---|
| 3月に剪定を忘れた | 切ると樹液が流れる | 細い枝だけ整理し、太い枝は翌冬まで待つ |
| 芽かきが遅れて枝が混んだ | 房が小さく病気が出る | 房のない枝を根元から外し、風を通す |
| 袋かけをせず雨に当てた | 実が腐りやすい | 傷んだ粒を取り除き、遅れてでも袋をかける |
| 収穫を逃して過熟になった | 粒が落ち味がぼける | 早めに全部収穫し、ジュースやジャムにする |
ブドウの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
ブドウの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はブドウの育て方にまとめています。
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