年に二回作れる作物
インゲンは種まきから収穫まで五十日から六十日と短く、春と夏の二回まけます。春まきは五月にまいて七月に穫り、夏まきは八月上旬にまいて十月に穫るという流れになります。
春まきは収穫が真夏にかかるため、暑さで花が落ちて途中で穫れなくなります。夏まきは涼しくなってから実が付くので、質の良い莢が穫れることが多くなります。
| 作型 | まき時 | 収穫の目安 |
|---|---|---|
| 春まき | 4月下旬〜5月 | 6月下旬〜7月 |
| 初夏まき | 6月 | 8月。暑さで落花しやすい |
| 夏まき | 7月〜8月上旬 | 9月下旬〜10月 |
| 秋の遅まき | 8月下旬以降 | 寒くなり実が太らない |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした目安です。つるあり品種を春にまいた場合を中心に書いています。つるなしは収穫の期間が短く、二、三週間で終わります。
| 月 | 作業 | 目安と注意 |
|---|---|---|
| 4月 | 畑の準備、下旬に種まき | 遅霜が終わってからまく |
| 5月 | 種まき、支柱立て、間引き | 本葉3枚までに支柱を立てる |
| 6月 | つるの誘引、敷きわら | 花が咲いたら水を切らさない |
| 7月 | 収穫の最盛期、追肥 | 2日に一度は見て回る |
| 8月 | 夏まき、春まきの片づけ | 上旬までにまき終える |
| 9月 | 誘引と追肥 | 涼しくなると再び花が咲く |
| 10月 | 秋の収穫 | 霜が降りる前に穫り切る |
| 11月 | 片づけ、残さの処分 | つると根を持ち出す |
五月と六月は支柱と誘引の月
春まきなら、五月のうちに支柱を立ててしまいます。つるが伸びてから立てると根を傷めるうえ、絡んだつるをほどく手間もかかります。本葉が三枚出るころが立てどきです。
六月に入るとつるが一日十センチ以上伸びます。週に二度は見て、支柱から離れたつるを寄せておくと、あとの収穫が楽になります。
つるなしの場合は支柱が要らないぶん、五月にやることは間引きと土寄せだけです。そのかわり収穫の期間が短いので、二十日ほど間隔をあけて二回に分けてまくと長く穫れます。
- 本葉三枚で支柱
- つるが伸び始める前に立てます。深さ二十センチ以上差し込み、上をひもで固く結んでおきます。
- 週に二度つるを見る
- 支柱から離れて地面をはっているつるを、支柱に触れさせて戻します。放っておくと隣の株に絡みます。
- 梅雨前に敷きわら
- 六月に入る前に株元へ敷きわらをします。雨のはね返りで葉に土が付くのを防ぎ、病気が減ります。
七月は毎日が収穫
花が咲いてから十日前後で莢が食べごろになります。伸びるのが早く、二日見ないと硬くなって筋が出るので、最盛期は毎日か一日おきに見て回ります。
採り遅れた莢を株に付けたままにすると、株はそこに力を使い、次の花が減ります。硬くなった莢も、見つけたら取って捨ててしまうほうが結果的に長く穫れます。
- 朝のうちに穫る
- 気温の低い朝に穫るとみずみずしさが保てます。莢を持って引っ張らず、はさみで切り取ります。
- 硬い莢も取り除く
- 採り遅れて硬くなった莢は、食べなくても株から取り除きます。残すと種を太らせる方に力が回り、次の花が減ります。
- 追肥を忘れない
- 収穫が続く間は二週間に一度の追肥(育ちの途中で足す肥料)として、株の外側に化成肥料を少量与えます。切れると莢が細くなります。
八月に夏まきをすると秋も穫れる
春まきの株が暑さで弱ってきたら、八月上旬までに夏まきをします。九月に花が咲き、十月に収穫できます。秋のインゲンは気温が下がってから実が付くので、莢が柔らかく質が良くなります。
夏まきの難しさは発芽期の暑さです。まいた後は不織布や寒冷紗で日を弱め、土が乾かないように水を与えます。発芽してしまえば、あとは春まきより楽です。
| 時期 | 夏まきの作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 8月上旬 | 種まきと日よけ | 土を乾かさない |
| 8月下旬 | 間引きと支柱立て | つるありなら早めに |
| 9月 | 誘引と追肥 | 花が咲き始める |
| 10月 | 収穫 | 霜が降りたら終わり |
地域による時期のずれ
寒冷地は霜の終わりが遅く、まき時が五月下旬以降になります。暖地では四月中旬からまけますが、収穫期が真夏に重なりやすいので、夏まきのほうが安定します。遅霜と初霜の日から逆算すると合わせやすくなります。
| 地域 | 春まきの時期 | 秋の収穫の限界 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 5月下旬〜6月 | 9月下旬まで |
| 関東平野部 | 4月下旬〜5月 | 10月下旬まで |
| 暖地 | 4月中旬〜5月 | 11月中旬まで |
作業が遅れたときの戻し方
支柱が間に合わなかった、収穫を数日空けてしまったといった遅れは起こります。段階ごとに取り返し方が違うので、順に確かめます。
- 支柱が遅れた
- つるが地面をはっていたら、絡みをほどいてから支柱に寄せます。無理に引くとちぎれるので、ゆっくり動かします。
- 収穫を空けた
- 硬くなった莢は取り除きます。残すと次の花が減るので、食べられなくても株から外してしまいます。
- まき遅れた
- 六月中旬を過ぎたら春まきはあきらめ、七月から八月上旬の夏まきに切り替えます。そのほうが確実です。
- 片づけが遅れた
- 枯れたつるを畑に残すと病気の元になります。気づいた時点で根ごと抜いて持ち出します。
インゲンの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
インゲンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はインゲンの育て方にまとめています。
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