作型は春まきと秋まきに分かれる
ネギの作型は二つに絞ってよい。春にまいて夏に植え、晩秋から冬に掘る春まきと、秋にまいて苗のまま越冬させ、春に植えて初秋から冬に掘る秋まきである。家庭菜園でまず選ぶべきは春まきになる。
春まきを勧める理由は、育苗期間が低温期に当たらず、とう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)の危険がほとんどないからである。秋まきは苗が長く低温にさらされるため、春に植えた株がネギ坊主を立てて芯が硬くなる失敗が起きやすい。

| 作型 | 種まき | 植え付け | 収穫 |
|---|---|---|---|
| 春まき(暖地・中間地) | 3月中旬〜4月中旬 | 6月下旬〜7月中旬 | 11月〜翌2月 |
| 春まき(寒冷地) | 4月上旬〜5月上旬 | 6月下旬〜7月下旬 | 10月〜12月 |
| 秋まき(暖地・中間地) | 9月中旬〜10月上旬 | 4月上旬〜5月上旬 | 9月〜12月 |
| 葉ネギ(ほぼ周年) | 3月〜10月 | 5月〜11月 | まき後60〜120日 |
秋まきは育苗が半年に及び、失敗の機会もそのぶん増える。最初の一年は春まきで通し、作型の手応えをつかんでから広げるのが確実である。
種まきの手順
苗床は日当たりと水はけのよい平らな場所に作る。種まきの二週間前に苦土石灰を1平方メートルあたり100グラム、一週間前に完熟堆肥3キロと化成肥料150グラムを入れて深く耕す。ネギの根は細く、締まった土では初期の伸びが目に見えて鈍る。
まき溝を切る
板の縁を押しつけ、深さ1センチのまき溝を条間10センチで切る。溝の底が平らだと種の深さがそろい、発芽と間引きの手間が一気に減る。
5ミリ間隔でまく
種を5ミリ間隔ですじまきし、5ミリから1センチ覆土して手のひらで軽く押さえる。覆土が薄いと種が乾いて発芽が飛び、厚すぎると出芽が遅れる。
発芽まで乾かさない
もみ殻やわらを薄くかけ、発芽がそろうまで表土を乾かさない。発芽適温は15℃から25℃で、地温の上がらない春先は不織布のべたがけを重ねる。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
ネギの種は寿命が短く、前年の残り種は発芽率が落ちる。二年目の種を使うときは、まき幅を詰めて多めにまいておくと欠株を防げる。
品種群で仕上がりが決まる
白い葉鞘を長く伸ばしたいなら千住群、雪の下で越冬させたいなら加賀群、青葉を何度も刈りたいなら九条群を選ぶ。同じネギでも分けつの多さと耐寒性がまるで違い、途中からは修正がきかないためである。
- 千住群(根深向き)
- 分けつがほとんど起きず、葉鞘が一本のまま太く伸びる。店頭の白ネギの多くがこの系統で、土寄せ(株元へ土を寄せること)した高さがそのまま白い部分の長さになる。
- 加賀群(寒冷地向き)
- 冬に地上部が枯れて休眠し、春に一気に伸び直す。積雪地でも株が生き残るため、東北や北陸の秋どりと春どりに向く。下仁田ネギもこの系統である。
- 九条群(葉ネギ向き)
- 株元から次々に分けつし、葉がやわらかく辛味が穏やか。刈り取り再生と株分けで長く穫れるので、プランターでも扱いやすい。
種袋には作型と分けつ性が必ず書かれている。根深にしたいのに分けつ多と書かれた種を買うと、土寄せしても細い株が束で立つだけになる。
セルトレイなら管理が楽になる
- 200穴トレイを使う
- 家庭菜園なら200穴前後のセルトレイが扱いやすい。1穴に2粒から3粒まき、間引かずに株のまま植えると、細い苗でも互いを支え合って立つ。
- 用土は市販の育苗培土
- 野菜用の育苗培土をそのまま使う。粒が細かく保水する培土を選び、詰めて軽く押さえ、水を含ませてから種を落とすと種が沈まない。
- かん水は朝に一度
- セルは乾きやすいので、朝に底から抜けるまでたっぷり与える。夕方の追加は過湿と徒長(間のびして弱く伸びること)、立枯れを招くので、しおれていない限り控える。
- 植え付け前に外へ出す
- 定植の一週間前からトレイを屋外の日なたに置き、水を控えめにして硬く締める。この一手間で植え溝に入れたあとの傷みが減る。
セル育苗は根鉢が崩れず活着が早い反面、育苗日数は長めになりやすい。地床より10日ほど余裕を見て逆算しておくとよい。
定植できる苗の見きわめ
植えどきは日数ではなく葉鞘の径で判断する。径5ミリから8ミリ、草丈35センチから45センチ、葉数4枚が標準で、この幅に入っていれば活着も肥大もそろう。地床でおよそ60日から80日が目安になる。
| 苗の葉鞘径 | 評価 | 植えたあとに起きること |
|---|---|---|
| 2ミリ以下 | 細すぎる | 活着せず消える株が出て欠株になる |
| 5ミリ〜8ミリ | 適期 | 活着が早く、肥大のそろいもよい |
| 10ミリ以上 | 太すぎる | 低温に当たるととう立ちしやすい |
太りが足りないまま定植日が来たら、日付を守るより1週間待つほうが結果はよい。細い苗を無理に植えても、秋までに太さは取り戻せない。
育苗中は間引きと葉切りで太らせる
苗は細く長くではなく、短く太く作る。徒長した苗は植え溝で倒れ、土寄せのたびに葉の分かれ目まで埋もれて腐るからである。地床育苗では二回から三回に分けて間引き、最終の株間を2センチから3センチに広げる。
- 一回目の間引き
- 本葉1枚から2枚のころ、混み合った場所を株間1センチにする。引き抜くと隣の根が動くので、はさみで地際を切って残す苗を守る。
- 二回目の間引き
- 本葉3枚から4枚で株間2センチから3センチに広げる。あわせて1平方メートルあたり化成肥料50グラムを条間にまき、土と軽く混ぜる。
- 草丈25センチで葉切り
- 草丈が25センチを超えたら上部を5センチほど切りそろえる。倒伏が止まり、養分が葉鞘に回るので、切ったあとから目に見えて太る。
苗がうまく育たないときの原因
育苗でつまずく原因は、まき方より水と光にあります。徒長したのか、間引きが遅れたのか、立ち枯れなのかで手当てが変わるので、苗の姿から先に切り分けます。
- 葉切りで太らせる
- 伸びすぎた苗は先端を切りそろえます。葉の長さを20センチほどに保つと、倒れずに葉鞘が太くなります。
- 水は朝に与える
- 夕方に与えると夜まで湿ったままになり、立ち枯れが出やすくなります。朝に与えて日中に乾かします。
- 遅れた苗は使わない
- 細い苗を無理に植えても太りません。定植の基準に届かない苗は残し、次の作型にまき直すほうが早いです。
| 苗の症状 | 疑う原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 細く伸びて倒れる | まきすぎと日照不足 | 間引いて日に当て葉先を切る |
| 根元がくびれて倒れる | 立ち枯れ病。過湿 | 水を控え密なところを間引く |
| 葉先が黄色く止まる | 肥料切れか低温 | 薄い液肥を与え夜間を保温する |
| 太らないまま細い | 間引き不足で競り合う | 株間を空けて根を張らせる |
苗の良し悪しは定植後の管理では取り返せません。植える本数を減らしてでも、基準に届いた苗だけを植えます。
ネギの種まきでよくある質問
ネギの種はいつまく?
ネギの作型は二つに絞ってよい。春にまいて夏に植え、晩秋から冬に掘る春まきと、…。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
ネギの種はどうやってまく?
すじまき / セルトレイが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
ネギの種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
ネギの種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
ネギは何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
ネギの間引きはいつする?
葉が触れ合い始めた段階で、生育の良い株を残しながら数回に分けます。詳しい段階は本文で確認してください。
ネギの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
ネギの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はネギの育て方にまとめています。
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