水は乾湿の差を作らない
ピーマンは根が浅いため土が乾くと真っ先に花と小さい実を落とします。かといって毎日少量ずつでは表層にしか根が伸びず、かえって乾燥に弱い株になります。畝の表面が乾いたら、畝の肩まで染みる量を一度に与えます。
最も危ないのは、乾ききったところへ一気に水が入る変化です。土の水分が急に動くとカルシウムの供給が追いつかず、尻腐れ果が出ます。梅雨明け後の晴天が続く時期は、乾かしきる前に与えます。
水切れのサインは葉より先に花に出ます。日中しおれても夕方に戻るなら問題ありませんが、朝から葉が垂れている、つぼみが次々に落ちるという状態は、根の届く範囲まで乾いている合図です。
| 時期 | 畑の目安 | プランターの目安 |
|---|---|---|
| 定植直後 | 毎日、株元に少量 | 毎日朝、鉢底から出るまで |
| 6月 | 4から5日に一度 | 一日一回、朝 |
| 7から8月 | 2から3日に一度、朝に多め | 一日二回、朝と夕方 |
| 9月以降 | 一週間に一度 | 一日一回、朝 |
日中の暑い時間に葉を濡らす程度の少量を掛けません。表面だけ濡れて根まで届かず、株元が蒸れて葉の病気を招きます。
追肥は一番果の収穫開始から
元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)だけで七月まで持つ株はまれです。追肥(育てている途中で足す肥料)は一番果が採れはじめるころに始め、以後は二週間から三週間おきに続けます。ピーマンは実を付けながら枝を伸ばし続けるので、収穫が終わるまで肥料を切らせません。
- 置く位置
- 根は枝の広がりとほぼ同じ範囲に伸びています。株元にまいても効かないので、葉の先が落ちる真下あたりに施します。
- 施したあと
- 軽く土と混ぜて水を与えます。マルチを張った畑では裾をめくって畝の肩に施し、そのあとマルチを戻します。
- 液体肥料の使い方
- 効きが早いかわりに長続きしません。実付きが落ちて急いで立て直したいときの補助に使い、置き肥の代わりにはしません。
| 時期 | 量の目安 | 置く場所 |
|---|---|---|
| 一番果の収穫開始 | 化成肥料を一株あたり20から30グラム | 畝の肩、株元から20センチ外側 |
| 以後2から3週おき | 同量を繰り返す | 株の広がりに合わせて外へずらす |
| 8月の切り戻し後 | 同量に堆肥をひと握り加える | 株の周囲に浅くすき込む |
窒素だけが効くと葉が濃く大きくなり、花が落ちます。実付きが悪いときは量を増やさず、リン酸とカリを含む肥料に替えます。
肥料切れと肥料過多のサイン
サインは下葉から順に現れます。株の先端だけを見ていると気づくのが遅れるので、追肥のたびに下葉を一度めくって裏まで見る習慣にします。
- 肥料切れ
- 葉が小さく色が薄くなり、先端の伸びが止まります。つぼみが小さいまま落ちるのも典型で、この段階なら追肥と水で戻ります。
- 窒素の効かせすぎ
- 葉が濃い緑で大きく、茎も太く伸びるのに花が付きません。追肥を一回飛ばし、水を控えて実の付くのを待ちます。
- カリの不足
- 葉の縁から黄色く枯れ込みます。収穫が続く時期に出やすく、同時に実の肥大も鈍ります。
- 苦土の不足
- 下葉の葉脈の間だけが黄色くなります。収穫後半に多い症状で、苦土を含む肥料を追肥すると進行が止まります。
マルチと敷きわらで土を守る
黒マルチは春の地温確保に効きますが、真夏には土を温めすぎます。梅雨明け以降は株元にわらや刈り草を厚く敷き、地表を覆って水分の蒸発と地温の上昇を抑えます。
- 敷く時期
- 梅雨明けの直前、土が湿っているうちに敷きます。乾いた土の上から敷くと、その乾いた状態のまま固定されます。
- 厚さの目安
- 地面が見えなくなる5センチ前後です。薄いと風で飛び、厚すぎると雨も水やりも土まで届きません。
- 通路まで覆う
- 株元だけでなく通路にも敷くと雨の泥はねが減り、下葉から広がる病気を抑えられます。
マルチを剥がす必要はありません。植え穴の周りに敷きわらを重ねるだけで、真夏の地温のピークは十分に下がります。
真夏に株を止めない管理
ピーマンの生育適温は日中25から30℃、夜間18から20℃です。夜温が25℃を超える日が続くと花粉の働きが落ち、受粉できずに落花します。真夏に実が止まるのは肥料でも病気でもなく、この温度が原因のことが多いです。
- 朝に水を与える
- 気温が上がる前の朝に与えます。日中に与えると土の中が蒸れ、浅いところの根から先に傷みます。夕方に足すのは構いません。
- 西日を切る
- 西日の強い場所では、午後だけ寒冷紗を掛けます。株全体を覆わず西側に立てるだけでも、果実の日焼けが減ります。
- 実の数を減らす
- 肥大の止まった実を摘んで株の負担を下げます。八月に無理をさせないほうが、九月からの実付きが戻ります。
- 小さめで採る
- この時期は標準より小さくても採ります。大きくするより数を回すほうが、株の消耗が少なくてすみます。
プランターの水と肥料は別管理
鉢の土は畑より早く乾き、水やりのたびに肥料が流れ出ます。畑と同じ間隔で追肥していると真夏に必ず切れるので、一回の量を減らして回数を増やす形に変えます。
- 追肥の間隔
- 化成肥料なら一株あたり10グラムを二週間おき、液体肥料なら一週間に一度、水やりの代わりに与えます。
- 水の量
- 鉢底から流れ出るまで与えます。表面が濡れただけでは、鉢の下半分は乾いたままです。
- 鉢の置き場所
- 真夏は鉢自体が熱を持ちます。板やれんがの上に置いて地面の照り返しを避けると、根の傷みが減ります。
- 根詰まりの見分け
- 水が表面にたまってなかなか染み込まなくなったら根詰まりです。この状態では追肥も効かないので、少量を複数回に分けて与えます。
うまく育たないときの切り分け
同じしおれでも、水が足りないときと根が傷んでいるときで手当てが逆になります。まず葉の様子を見て、次に土を指で3センチ掘り、湿り具合を確かめてからどちらかに決めます。
| 株の見た目 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 日中だけしおれ夕方戻る | 水の吸い上げが追わない | 朝に鉢底から出るまで与え、敷きわらで乾きを抑える |
| 朝からしおれたまま | 過湿で根が傷んでいる | 水を止めて土を乾かし、畝の水はけを直す |
| 下葉から黄色くなって落ちる | 肥料が切れている | 二週間おきの追肥に戻し、量は少しずつ足す |
| 葉が濃く茂って花が落ちる | 肥料が効きすぎている | 追肥を一回飛ばし、水も控えめにする |
手当てを変えたら一週間は同じやり方を続けます。毎日変えると、どれが効いたのか分からなくなります。
ピーマンの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
ピーマンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーマンの育て方にまとめています。
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