苗は背丈でなく一番花で選ぶ
売り場で見るべきは背の高さではなく、一番花のつぼみが見えているかどうかです。ピーマンは種まきから花芽ができるまでにおよそ一か月、定植できる大きさになるまで70日から80日かかります。つぼみのある苗は、その手のかかる期間を育苗農家が済ませてくれた苗です。
節と節の間が詰まり、地際の茎が鉛筆ほどの太さで、葉が厚く濃すぎない緑をしているものを選びます。すでに一番果が指の先ほどに肥大した苗は、小さな根鉢のまま実に養分を取られているので、その実を落とす前提で選びます。

- 茎の太さ
- 地際の茎が鉛筆と同じか、それより太いものを選びます。株全体がずんぐりして見えるほど、光と温度が足りた環境で育った苗です。
- つぼみの位置
- 主枝が二又に分かれるところに一番花のつぼみが見える苗が適期です。分岐がまだ見えない小さな苗は、定植後に伸び出すまで時間がかかります。
- 葉裏の確認
- 葉裏に緑色の小さな虫や、黒い粒が付いていないか見ます。アブラムシはウイルス病を運ぶので、苗に付けたまま畑へ持ち込みません。
- 品種の選び方
- 家庭菜園では果重35グラム前後の中型種が作りやすく、実付きも安定します。肉厚の大果種や甘長種は採るサイズが違うので混同しません。
定植は地温15℃以上になってから
ピーマンはナス科の中でも低温に弱く、最低気温10℃、最低地温15℃を下回る時期に植えると根が動きません。活着したように見えても生育は止まったままで、早植えで得をすることはなく、遅れて植えた株のほうが結局は早く穫れます。
地温は気温より遅れて上がるので、暖かい日が数日続いただけで判断しません。黒マルチを定植の一週間以上前に張っておくと地温が数度上がり、その分だけ植え付けを早められます。
| 地域 | トンネル併用 | 露地の定植 | 収穫開始 |
|---|---|---|---|
| 暖地 | 4月中旬 | 4月下旬から5月上旬 | 6月中旬 |
| 中間地 | 4月下旬 | 5月中旬 | 6月下旬 |
| 寒冷地 | 5月中旬 | 5月下旬から6月上旬 | 7月中旬 |
遅霜の心配が残る地域では、定植後しばらく行灯状の風よけを掛けます。風で葉が擦れるだけでも初期生育は目に見えて遅れます。
畝と株間、元肥の入れ方
ピーマンは根が浅く横に広がるので、幅60から70センチの畝を立て、株間は40から50センチ取ります。詰めて植えると株元まで光が入らず、内側の枝が枯れ上がって収穫期間そのものが短くなります。
- 二週間前
- 苦土石灰を一平方メートルあたり100から150グラムまき、深さ25センチほど耕します。酸性に傾いた土では根が張らず、カルシウムの吸収も落ちます。
- 一週間前
- 堆肥を一平方メートルあたり2から3キログラム、化成肥料を100グラム前後入れて畝を立てます。窒素を効かせすぎると枝葉ばかり茂って花が落ちます。
- 植え付け直前
- 黒マルチを張って地温を上げます。夏には乾燥対策にもなり、尻腐れ果の引き金になる土の急な乾湿差を抑えられます。
植え付けの手順
植え付けは晴れた日の午前中に済ませます。日中のうちに根が土となじみ、夜温が下がる前に落ち着くからです。午後に植えた株は翌朝しおれたまま回復が遅れることがあります。
- 植え穴に水を入れる
- 穴を掘って水をたっぷり入れ、引くのを待ってから苗を置きます。先に土を湿らせると根鉢と畑の土が密着し、活着が早くなります。
- 浅植えにする
- 根鉢の肩が地面と同じか、わずかに高くなるように植えます。深植えすると地温の低い層に根鉢が入り、初期の伸びが止まります。
- 根鉢は崩さない
- ポットから抜いた根鉢はそのまま置きます。ピーマンは細根が切れると回復が遅く、崩して植えた株は一週間ほど出遅れます。
- 苗の一番果を取る
- 実が付いた苗はその場で摘み取ります。小さな株を実で消耗させないほうが、七月以降の収量ははっきり増えます。
仮支柱と活着までの管理
定植と同時に、長さ50センチほどの仮支柱を斜めに挿し、麻ひもを八の字に掛けて茎を留めます。ピーマンの茎は柔らかく、活着前に風で振られると出たばかりの根が切れ、そのまま生育が止まります。
- 水やり
- 活着までの一週間は株元に絞って毎日与えます。以後は畝が乾いてから与える間隔に切り替え、根を深く張らせます。
- 追肥は待つ
- 定植直後には施しません。実が二、三個付き始めるころが一回目の目安で、それまでは元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)だけで足ります。
- 風よけを作る
- 周囲を肥料袋などで囲うと活着が安定します。海風や山からの吹き下ろしが当たる畑では特に差が出ます。
定植から二、三週間で株が根付いたら、仮支柱を本支柱に切り替えます。仮支柱のまま実を付けさせると、枝分かれの位置から裂けます。
プランターで育てるとき
容量は一株あたり15リットル以上が目安です。10リットル未満の鉢では真夏に土が乾ききり、尻腐れ果と落花が同時に出ます。深さは30センチ前後あると、根が下へ伸びて水切れに強くなります。
| 容器 | 株数 | 置き場所の目安 |
|---|---|---|
| 10リットル鉢 | 1株 | 半日以上日が当たる場所 |
| 15リットル以上の鉢 | 1株 | 西日が強ければ午後だけ日陰を作る |
| 幅65センチのプランター | 2株 | 風で倒れないよう支柱を連結する |
鉢底石を敷き、野菜用の培養土を使います。前年の土をそのまま使い回すと、青枯病など土壌病害を引き継ぐことがあります。
ピーマンの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
ピーマンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーマンの育て方にまとめています。
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