色を決めているのはアルミニウム
花の色は、花びらに見える装飾花の色素が、根から吸い上げたアルミニウムと結びつくかどうかで変わります。結びつけば青、結びつかなければ赤やピンクになります。
土のアルミニウムは酸性のときだけ溶け出して根に入ります。中性から弱アルカリでは土に固定されて吸えません。つまり酸度の調整は、アルミニウムの蛇口を開け閉めする作業です。
| 土の酸度 | アルミニウム | 出る花色 |
|---|---|---|
| ペーハー5.5以下 | 溶けて吸われる | 青 |
| ペーハー5.5から6.5 | 中間 | 紫や中間色 |
| ペーハー6.5以上 | 固定され吸えない | 赤やピンク |
同じ株でも枝ごとに色が違うことがあります。根の張った場所で酸度が違うためで、株の異常ではありません。
青くする
目標はペーハー5.0から5.5です。酸度を下げるだけでは足りず、土にアルミニウムそのものが不足していると青が出ません。酸度を下げる資材とアルミニウムを補う資材を組み合わせます。
- 用土を酸性で組む
- 鹿沼土を主体にし、ピートモスを混ぜます。ピートモスは酸度未調整と書かれたものを選びます。調整済みは中和されていて効きません。
- アルミニウムを補う
- 硫酸アルミニウムを含む青色用の資材を、芽が動き始める3月から4月と、蕾が見え始める5月の2回に分けて水に溶いて与えます。
- 石灰を入れない
- 周囲の花壇にまいた石灰が流れ込むだけで色が戻ります。コンクリートの基礎ぎわも同じ理由で赤に寄るので、鉢を離して置きます。
- 効き始めは翌年から
- 色は蕾が育つ前の吸収で決まります。開花中に与えても間に合いません。今年薄かったら秋と早春に仕込み直します。
濃い青を狙って資材を一度に多く与えると根が傷みます。規定量を守り、回数を分けて効かせるほうが確実です。
赤やピンクにする
目標はペーハー6.0から6.5です。アルミニウムを吸わせないことが目的なので、酸度を上げる資材を使い、酸性の用土は避けます。青くするより時間がかかります。
- 石灰で酸度を上げる
- 苦土石灰や有機石灰を、落葉期の12月から2月に株元へまいて軽く混ぜます。効き方が穏やかで根を傷めにくい時期です。
- 用土から鹿沼土を外す
- 赤玉土を主体にし、腐葉土を合わせます。鹿沼土やピートモスが多いと石灰をまいても酸性に押し戻されます。
- 雨に流されない工夫
- 地植えでは雨で石灰が抜け、少しずつ酸性に戻ります。秋と早春の年2回、酸度を測って足す前提で管理します。
- 赤系の品種を選ぶ
- もともと青が強い品種を赤にするのは困難です。赤や紅と名のつく品種を選ぶと、同じ手間で色がはっきり出ます。
石灰は一度に多くまくと根を傷め、葉が黄色くなります。少量を年2回に分け、雨の前にまくと土になじみます。
白い品種は色が変わらない
白花はアルミニウムと結びつく色素そのものを持ちません。土をいくら酸性にしても青くならず、石灰を入れても赤くなりません。これは失敗ではなく品種の性質です。
- 白から緑への変化は別
- 咲き進むと白が緑がかることがあります。これは老化による変化で、酸度とは無関係です。切り花にすると味わいとして扱われます。
- アナベルも対象外
- アナベルは白から緑へ変わる系統で、酸度調整の対象になりません。色を操作したい場合は別の系統を選びます。
- 覆輪や縁取りの品種
- 白地に色の縁が入る品種では、縁の色だけが酸度に反応します。全体が変わるわけではないので変化は控えめです。
白い品種の花色を変えようとして資材を投入し続けると、土の酸度だけが偏って生育が落ちます。早めに切り上げてください。
鉢と地植えでは難易度が違う
鉢は土の量が限られるので、狙った色を出しやすい環境です。地植えは周囲の土や雨、地下水の影響を受け続けるため、色を固定するには継続的な管理が要ります。
| 条件 | 色の出しやすさ | 管理の要点 |
|---|---|---|
| 鉢植え | 狙った色を出しやすい | 用土を組み替えれば1年で変わる |
| 地植えで単独 | 中程度 | 年2回の酸度測定と資材の補給 |
| 塀や基礎のきわ | 赤に寄りやすい | 根域を仕切るか鉢植えに変える |
色を確実に変えたい株は、地植えから大鉢へ移すほうが早道です。植え替えは落葉期に行えば負担が小さくて済みます。
肥料の選び方で色が濁る
リン酸が多い肥料は土のアルミニウムと結びつき、根が吸えなくします。青を狙っているのにリン酸主体の花用肥料を与えると、色がぼやけた紫に寄ります。
| 狙う色 | 肥料の傾向 | 避けるもの |
|---|---|---|
| 青 | 窒素とカリ主体でリン酸控えめ | リン酸が多い花用肥料 |
| 赤やピンク | リン酸をやや多めに | 硫酸アルミニウムを含む資材 |
| 白 | 標準的な配合で可 | 過剰な窒素 |
色を優先して肥料を偏らせすぎると株が弱ります。色の調整は数年かけて寄せるつもりで、生育を最優先にしてください。
思った色にならないときの切り分け
色が思いどおりに出ないときは、酸度・アルミニウム・品種のどれが効いていないかを順に見ていきます。咲きそろった株全体ではなく、咲きはじめの一輪を見て判断すると、土の効き方が読みやすくなります。
手を入れるのは一度に一つだけにしてください。資材を重ねて足すと、どれが効いたのか分からないまま土の性質だけが偏り、翌年の色がさらに読めなくなります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 青くしたのに紫で止まる | 土の酸度が下がりきっていない | 酸度計で測り、五・五を目安に下げ直す |
| 青が薄く水色にしかならない | アルミニウムが足りていない | 硫酸アルミニウムを規定量で追加する |
| 赤にしたいのに青が混じる | 古い土のアルミニウムが残っている | 用土を入れ替え、石灰で酸度を上げる |
| 色が濁って茶色を帯びる | 窒素が多く花が老けている | 肥料を止め、咲き終わりの花を早く切る |
土の酸度は雨と水やりで少しずつ戻ります。一度合わせた土でも、翌年は資材を足す前に測り直すと外しません。
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