症状から原因を探す
ナツメは日本の果樹の中でも病害虫が少なく、薬剤なしで育てられることが多い樹です。それでも実を吸う虫、葉を巻く虫、実の割れ、枝の枯れ込みは起こり得ます。実と葉、枝の切り口を見て、どれに当たるかを判断してから手を打ちます。
| 症状 | 考えられる原因 | 最初にすること |
|---|---|---|
| 実に小さな穴があき周りがへこむ | カメムシの吸汁 | 朝に捕まえる、袋かけ |
| 葉が糸で巻かれ中に虫 | ハマキムシ | 巻いた葉ごと取る |
| 実に縦のひびが入る | 水分の急な変化 | 水やりの変化を小さくする |
| 葉に白い粉 | うどんこ病 | 被害葉を摘み風通しを良くする |
| 枝の切り口から茶色く枯れ込む | 癒合剤なしの剪定 | 生きた部分まで切り直す |
| 実が茶色く軟らかくなり落ちる | 過熟、雨による腐れ | 早めに採り、落ちた実を片付ける |
カメムシは実が太る時期に来る
八月から九月、実が大きくなる時期にカメムシが実の汁を吸います。吸われた場所は小さな穴になり、周りがへこんでスポンジ状になります。食べられないほどではありませんが、数が多いと実の大半が傷みます。朝の涼しいうちは動きが鈍いので、捕まえるなら朝です。
カメムシは周囲の雑草や豆類から移ってきます。八月に株の周りの草を刈っておくと、飛来する数を減らせます。隣に豆類を植えている年は特に多くなります。
- 朝に見回って捕まえる
- 早朝、実や葉に止まっているカメムシを、ペットボトルを切った容器で下から受けるように落として捕まえます。手で触ると臭いが付くので容器を使います。
- 袋をかける
- 実が二センチほどになった八月上旬に、果実袋か水切りネットを房ごとかけます。実の数が多い樹では、生食用の大きな実だけ袋をかけます。
- 殺虫剤は収穫前の日数を確かめる
- 多発するなら果樹に使えるカメムシ向けの殺虫剤を散布します。収穫までの日数の制限があるので、袋の表示を確かめてから使います。
ハマキムシとうどんこ病
六月から八月、葉が糸で巻かれ中に緑や茶色の小さな幼虫がいるのがハマキムシです。数枚なら巻いた葉ごと取れば済みます。梅雨や秋の長雨の後に葉に白い粉が出るうどんこ病は、枝が混んで風通しが悪いと出ます。どちらも樹を枯らすことはなく、広がる前に止めれば実への影響はありません。
- 巻いた葉を見つけたら潰す
- 糸で巻かれた葉を指で潰すか、葉ごと摘んで袋に入れます。放置すると新芽を次々と巻きます。
- 白い粉の葉を摘む
- うどんこ病の葉を早めに摘んで捨てます。数枚のうちに取れば広がりません。摘んだ葉を株元に落とすと菌が残ります。
- 冬の剪定で枝を減らす
- 毎年出るなら枝が混み過ぎています。冬に内側の枝を抜いて風が通るようにすると、翌年から減ります。
実の割れは水分の変化で起きる
九月に実が色づき始めるころ、乾いた日が続いた後の大雨で実に縦のひびが入ることがあります。割れた実は日持ちせず、そこから腐ります。原因は水分の急な変化なので、乾かし切らないことと、雨の後は早めに採ることで減らせます。
| 場面 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 乾燥が続いた後の大雨 | 多くの実に縦のひび | 雨の前に色づいた実を採っておく |
| 鉢植えで水やりが不規則 | 少数の実が割れる | 乾き切る前に少量ずつ与える |
| 色づいてからの長雨 | 実が茶色く腐って落ちる | 早めに採り、落ちた実を片付ける |
| 割れた実 | そのままでは腐る | その日に採って甘露煮や乾燥に回す |
とげによるけがと枝の枯れ込み
ナツメのとげは長さ二〜三センチで硬く、作業中のけがが一番多い障害です。実の周りや通路側のとげは剪定のときに落とします。剪定の切り口から枝が枯れ込むのは、癒合剤を塗らなかったか、夏に太い枝を切ったときで、冬に生きた部分まで切り直します。
- 通路側と実の周りのとげを落とす
- 冬の剪定で、通路に面した枝と実が付くこぶの周りのとげをはさみで根元から落とします。落としたとげも硬いので集めて処分します。
- 革手袋と保護眼鏡で作業する
- 収穫と剪定は厚手の革手袋と長袖で行い、目の高さの作業では保護眼鏡を使います。子どもが通る場所なら低い枝のとげを優先して落とします。
- 枯れ込んだ枝は冬に切り直す
- 枝の表面を爪でこすって緑が出るところまで切り戻し、切り口に癒合剤を塗ります。切るのは芽出し前の三月までに済ませます。
薬剤と手当ての前に確かめること
薬剤を使う前に、まず環境の問題でないかを確かめます。ナツメの不調の多くは水はけ、深植え、ひこばえによる養分の横取りで、薬剤では直りません。虫がいることを目で確かめてから、果樹に使える薬剤を選びます。
| 場面 | 確かめること | 判断 |
|---|---|---|
| 実に穴やへこみ | 朝にカメムシがいるか | いれば捕まえる、いなければ鳥や過熟 |
| 葉が巻いている | 中に幼虫がいるか | いればハマキムシ、いなければ乾燥 |
| 葉が黄色く小さい | 根元が埋まっていないか、ひこばえが多くないか | 深植えとひこばえを直す |
| 実が小さく数だけ多い | 夏に乾き過ぎなかったか | 水と摘果で直る、薬剤は不要 |
ナツメの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はナツメの育て方にまとめています。
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