一年の流れをつかむ
五月に植えて十一月に掘り、冬は貯蔵する。この繰り返しを三年から四年続けて、ようやく食べられる大きさになります。一年で完結しない作物であることが、他の野菜と大きく違う点です。
毎年の作業そのものは単純です。植え付け、日よけ、二回の追肥、掘り上げ、貯蔵の五つで、手をかける時期もはっきりしています。
| 時期 | 株のようす | 主な作業 |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 芽が動き出す | 選別と植え付け |
| 6月〜7月 | 葉柄が立ち葉が開く | 覆いと追肥 |
| 8月〜9月 | 芋が太る | 日よけと乾き対策 |
| 10月〜11月 | 地上部が枯れる | 掘り上げと乾燥 |
| 12月〜3月 | 休んでいる | 貯蔵と見回り |
月別のやること
関東平野部の露地を基準にした表です。植え付けは地温で決まるので、寒い地方では二週間ほど遅らせ、暖かい地方では早めても構いません。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 畑の準備、堆肥を入れる | 植える一か月前に耕す |
| 4月 | 種芋を選び分ける、下旬から植え付け | 地温十五度が目安 |
| 5月 | 植え付け、遅霜に注意 | 芽が出るまで三週間 |
| 6月 | 株元に覆いを敷く、一回目の追肥 | 芽がそろってから |
| 7月 | 二回目の追肥、日よけを張る | 肥料はここで打ち止め |
| 8月 | 乾いたら水を与える | 葉焼けと乾きに注意 |
| 9月 | 草取り、風への備え | 肥料は与えない |
| 10月 | 葉が枯れ始める | 下旬から掘り上げ |
| 11月 | 掘り上げ、乾燥、選別 | 霜に当てる前に終える |
| 12月 | 貯蔵、見回り | 十度前後を保つ |
| 1月 | 月に一度の見回り | 腐った芋を取り除く |
| 2月 | 見回り、翌年の計画 | 植える場所を決める |
春の段取り
四月は種芋を選ぶ時期です。貯蔵した芋を出して、固く締まったもの、芽が生きているものを選びます。傷んだ芋を植えると、その場所の土に病気を残すことになります。
植える場所は前年と変えます。三年から四年は間をあけるのが原則なので、畑を区切って順番に回していく計画を立てておくと迷いません。
三月の土づくりを済ませておくと、四月の作業が植えるだけになります。堆肥は入れてすぐには効かないので、一か月前に入れて土になじませておくのがこつです。
- 種芋を選ぶ
- 貯蔵箱から出し、柔らかい芋、しなびた芋、傷のある芋を外します。固く重い芋だけを植えます。
- 場所を決める
- 前年と違う場所を選び、堆肥を入れて深く耕します。水はけの悪い畑なら、高さ二十センチの畝を立てて水が抜けるようにします。
- 大きさ別に植える
- 生子、一年目、二年目を別々の畝に植えます。株間が違うので、混ぜて植えると管理が難しくなります。
夏の管理
六月から八月が生育の中心です。ここで葉を大きく健全に保てるかどうかが、秋の芋の大きさを決めます。逆に言えば、葉を守ることがこの時期の仕事のすべてです。
追肥(育ちの途中で足す肥料)は六月と七月の二回で終えます。八月以降に与えると葉が茂るだけで、芋が太らず病気も増えます。時期を守ることが大切です。
- 覆いを保つ
- 株元の覆いが薄くなったら足します。乾きと地温の上がりすぎを防ぎ、泥はねも止めます。
- 日よけを張る
- 七月に入ったら寒冷紗で日ざしを和らげます。葉焼けを防ぐと秋の芋が明らかに大きくなります。
- 草は手で抜く
- 道具を使うと葉柄を傷めます。株の周りの草は手で抜き、葉柄にぶつけないようにします。
- 風の日は見回る
- 強い風が吹いた翌日は、葉柄が折れていないか見ます。折れた株は印をつけ、秋に種芋として扱います。
秋から冬の仕上げ
十月下旬から十一月が掘り上げの時期です。葉柄が倒れて枯れたのを確かめてから、晴れた日を選んで掘ります。掘ったあとの乾燥と選別まで含めて、一続きの作業と考えます。
冬は貯蔵の期間です。作業らしい作業はありませんが、月に一度の見回りを欠かすと、春に開けたときに種芋が全滅していることがあります。
| 時期 | することとしないこと | 目安 |
|---|---|---|
| 10月下旬 | 葉が枯れたら掘り始める | 土が乾いた晴れの日に |
| 11月 | 掘り上げ、日陰で乾かす | 二日から三日乾かす |
| 12月 | 選別して貯蔵に入れる | 一つずつ新聞紙で包む |
| 1月〜2月 | 月に一度見回る | 十度前後を保つ |
掘るのが遅れて霜に当たると、貯蔵中に腐ります。十一月中に終える段取りで予定を組みます。
作業が遅れたときの立て直し
植え付けが遅れた、追肥を忘れた、掘り上げが遅くなった。それぞれ取り返し方が違うので、どこまでなら間に合うかを知っておくと落ち着いて対処できます。
この作物で取り返しがつかないのは、掘り遅れて霜に当てることと、貯蔵中に凍らせることです。他のずれは翌年に回せば済みます。
- 植え遅れは六月まで
- 六月上旬までに植えれば、その年の生育は間に合います。それより遅いと芋がほとんど太りません。
- 追肥忘れは七月まで
- 六月の追肥を忘れたら、七月にまとめて与えます。八月に持ち越すと逆効果になります。
- 掘り遅れは天気を見て
- 十一月を過ぎたら、霜の予報が出る前に必ず掘り上げます。土の中で凍らせると貯蔵できません。
こんにゃく芋の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
こんにゃく芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はこんにゃく芋の育て方にまとめています。
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