症状から原因を絞る
モクレンの不調は害虫より、剪定や環境に由来するものが多いです。葉、枝、幹、花のどこに症状が出ているかで、大まかな原因を切り分けます。
症状がいつから出たかと、その前に剪定や周囲の工事、天候の変化があったかを思い出すと切り分けが楽になります。剪定の直後なら切り口、猛暑の後なら乾燥を最初に疑います。
| 症状 | 考えられる原因 | 最初の対応 |
|---|---|---|
| 枝や幹に白や茶色の殻状の粒 | カイガラムシ | 歯ブラシでこすり落とす |
| 葉がかすれて白っぽく、裏に細かい虫 | ハダニ | 葉裏に水をかけて洗う |
| 葉に黒い斑点、早く落葉する | 斑点病などのカビ | 落ち葉を集めて処分、風通し改善 |
| 切り口から枝が茶色く枯れ下がる | 剪定の切り口からの枯れ込み | 緑の部分まで切り戻し癒合剤 |
| 花びらが茶色く縮れて開かない | 遅霜 | 若木は不織布、成木は場所の問題 |
| 幹に穴があり木くずが出る | カミキリムシの幼虫 | 穴に針金を入れるか専用の殺虫剤 |
| 夏に葉の縁が茶色く縮れる | 乾燥と西日の障害 | 株元を覆い、若木は水をやる |
カイガラムシは枝に付いて樹を弱らせる
枝や幹に白い綿状や茶色の殻状の虫が付き、汁を吸って樹を弱らせます。排せつ物で葉や枝が黒くすすけたようになる「すす病」も併発します。成虫は殻で守られていて薬が効きにくいため、冬の落葉期に見つけてこすり落とすのが最も確実です。
- 冬に枝を見回る
- 落葉して枝が見えやすい一月から二月に、枝の分かれ目や幹の陰を点検します。見つけたら歯ブラシや古い布でこすり落とします。
- 冬にマシン油乳剤を散布
- 数が多いときは落葉期に庭木用のマシン油乳剤を枝全体にかけます。殻の中の虫を窒息させる薬で、休眠期にしか使えません。
- 五〜七月の幼虫に薬剤
- 卵からかえった幼虫は殻がなく薬が効きます。五月から七月に庭木用の殺虫剤を二週間おきに二回散布します。
- 枝を透かす
- 混んだ枝で風通しが悪いと増えます。花後の剪定で内向き枝を抜き、風と日が通るようにします。
ハダニは夏の乾燥で増える
梅雨明け後の乾いた時期に葉の裏でハダニが増え、葉の表面がかすれたように白っぽくなります。ひどくなると葉全体が茶色くなって早く落ち、翌年の花芽の形成にも影響します。ハダニは水に弱いので、葉裏に水をかけるだけでも数を減らせます。
- 葉裏に水をかける
- ホースで葉の裏に向けて勢いよく水をかけます。三日おきに三回繰り返すと大半が流れます。夕方より朝に行います。
- 増えたら薬剤を交互に
- 水で減らないときは庭木用のハダニ剤を葉裏中心に散布します。同じ薬を続けると効かなくなるので二種類を交互に使います。
- 株元の乾燥を防ぐ
- 株元を腐葉土やバークチップで覆って乾燥を抑えると、ハダニの発生そのものが減ります。若木は水やりも合わせて行います。
剪定の切り口からの枯れ込み
モクレンは太い枝を切ると切り口がふさがりにくく、そこから菌が入って枝や幹が枯れ込むことがあります。切り口の周りが茶色く変色し、枝の先から順に枯れ下がるのが特徴です。放置すると幹まで進んで樹全体が枯れることもあり、モクレンで最も注意したい障害です。
| 状態 | 判断 | 手当て |
|---|---|---|
| 切り口の周りだけ茶色い | 初期 | 癒合剤を塗り直して様子を見る |
| 切り口から枝が十センチ以上枯れ下がった | 進行中 | 緑の部分まで切り戻し、切り口に癒合剤 |
| 幹の樹皮が縦に裂けて中が黒い | 幹まで進んでいる | 腐った部分を削り取り、殺菌剤と癒合剤 |
| 樹全体の葉が小さく黄色い | 根や幹の深部に問題 | 回復は難しい。ひこばえから更新を考える |
予防が最も効きます。太い枝を切らない、切るなら花後の四〜五月に、切り口には当日中に癒合剤を塗る。この三つでほぼ防げます。
遅霜と寒風による花の傷み
三月の開花直前、つぼみがふくらんだ時期に強い霜が降りると、花びらが茶色く変色して開かずに落ちます。病気ではなく気象による障害で、その年の花が減るだけで樹に害はありません。北風の当たる場所では毎年起きやすいため、若木なら霜よけ、成木なら植え場所の見直しが対策です。
- 予報を見て不織布をかける
- つぼみが色づいてから、夜の予報が氷点下の日だけ若木に不織布をかけます。朝には外して日に当てます。
- 傷んだ花は放置してよい
- 茶色くなった花びらは自然に落ちます。無理に取ると枝を傷めます。落ちた花びらは掃除します。
カミキリムシと幹の害虫
幹の根元近くに直径五ミリほどの穴があり、木くずのような粉が出ていれば、カミキリムシの幼虫 (テッポウムシ) が中を食べています。放置すると幹の中が空洞になり、風で折れたり枯れたりします。夏に成虫が幹に卵を産むので、六月から八月に幹を点検します。
| 見た目 | 見分け | 対応 |
|---|---|---|
| 幹の根元に穴と木くず | カミキリムシの幼虫 | 穴に針金を差し込んで刺すか、専用の殺虫剤を注入 |
| 幹に成虫がとまっている | 産卵前の成虫 | 捕まえて処分。六〜八月に多い |
| 幹の樹皮に細かい穴が多数 | キクイムシなどの小型害虫 | 弱った樹に付く。樹勢を回復させる |
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