枝の種類で切るか残すかを決める
モクレンは太い枝を切ると切り口がふさがりにくく、そこから枯れ込んだり、切った近くから細い枝が何本も吹いて樹形が乱れたりします。剪定は「切りたい枝」ではなく「切ってよい枝」を見分けることから始めます。
| 枝の種類 | 判断 | 切り方 |
|---|---|---|
| 枯れ枝、折れた枝 | いつでも切ってよい | 付け根で切る |
| 株元や幹から出る細いひこばえ | 切る | 見つけ次第、付け根から手でかき取る |
| 内側に向かって伸びる枝、交差する枝 | 花後に切る | 付け根で切る。太いなら数年かけて |
| 徒長枝(真上に勢いよく伸びる長い枝) | 花後に切る | 付け根か三分の一残して切る |
| 先端に丸い花芽の付いた枝 | 残す | 切ると来春の花がなくなる |
| 樹の高さを決める主幹 | できるだけ切らない | どうしてもなら花後に一度だけ |
太さ三センチ以上の枝を切るときは、切り口に癒合剤を塗ります。モクレンは切り口の治りが遅く、放置すると腐って幹の中まで枯れ込みます。
時期は花が終わった直後の四月から五月
モクレンの花芽は六月から七月にかけて、その年に伸びた枝の先端に作られます。だから花芽ができる前、花が終わった直後の四月中旬から五月に切れば、翌年の花を減らさずに済みます。夏以降や冬に切ると、枝先の花芽ごと落とすことになります。
冬の落葉期は枝の形が見やすく、剪定したくなる時期ですが、この時期に切ってよいのは枯れ枝と、明らかに邪魔な内向きの細い枝だけです。枝先の丸い大きな芽は花芽なので残します。
- 花がらが落ちたら始める
- 最後の花びらが落ち、新葉が開き始めたころが合図です。五月中に終えると、六月からの花芽作りに間に合います。
- 一度に切るのは全体の二割まで
- 強く切るほど反発して細い枝が吹き、翌年の花が減ります。整える量は全体の二割以内に留め、数年かけて形を作ります。
- 冬は枯れ枝だけ
- 落葉して枝先の芽が見えたら、丸くふくらんだ花芽と細い葉芽を見分けます。花芽の付いた枝は冬には切りません。
自然樹形を保つ基本の切り方
モクレンは放っておいても整った樹形になる花木なので、剪定の目的は「大きくしすぎない」と「混みすぎた枝を抜く」の二つに絞ります。枝の途中で切る「切り詰め」は、切り口の近くから細い枝が何本も出て樹形が乱れるため、できるだけ付け根で切る「間引き」を使います。真上に勢いよく伸びる徒長(勢いだけで長く伸び、花芽の付きにくい状態)した枝は、樹形を乱す代表なので優先して処理します。
- 枯れ枝とひこばえを取る
- 枯れた枝と株元から出るひこばえを付け根から切ります。ひこばえは放置すると主幹の養分を奪い、株が乱れます。
- 内向きと交差を抜く
- 樹の内側に向かう枝、他の枝と交差してこすれる枝を付け根で切ります。内側に日と風が通り、病害虫が減ります。
- 徒長枝を処理する
- 真上に勢いよく伸びた枝は付け根で切るか、樹形に必要なら三分の一ほど残して切ります。残した部分から翌年枝が出ます。
- 高さを抑えるなら分岐点で
- 高さを下げるときは幹の途中でぶつ切りせず、低い位置で横に出ている枝の分岐点まで戻して切ります。切り口が目立たず反発も少ないです。
シモクレンの株立ちの整え方
シモクレンは株元から何本も幹が立ち上がる株立ちになります。幹が増えすぎると内側が混んで花が減るので、三〜五本を残して古い幹や細い幹を株元で切ります。古い幹を数年に一本ずつ更新すると、株が若返って花付きが保てます。
| 状態 | 判断 | 作業 |
|---|---|---|
| 幹が七本以上で内側が暗い | 間引く | 細い幹と古い幹を株元で二本切る |
| 一本の幹だけ大きく他が弱い | そのまま | 弱い幹は自然に淘汰される。手を入れない |
| 古い幹の花が減った | 更新 | 花後に株元で切り、若い幹を育てる |
| 株元からひこばえが多数 | 整理 | 将来の幹候補を一〜二本残して他を取る |
切りすぎて咲かなくなったときの立て直し
強く切った翌年に花が咲かない、細い枝ばかり吹いて樹形が乱れた、というのはモクレンの剪定で最も多い失敗です。焦ってさらに切ると悪循環に入るので、一〜二年は切らずに待つのが立て直しの基本です。
- 一年は切らない
- 強剪定の翌年は、枯れ枝以外に一切はさみを入れません。吹いた細い枝の中から太くなるものを見極めます。
- 吹いた枝を二年目に間引く
- 切り口から何本も出た枝のうち、外向きで勢いのよい一〜二本を残し、他を付け根で切ります。花後に行います。
- 肥料は控える
- 強く切った株に窒素肥料を与えると枝ばかり伸びます。二年間は寒肥を減らし、リン酸多めの肥料に切り替えます。
- 枯れ込みは早めに切り戻す
- 切り口から枝が茶色く枯れ込んできたら、緑の部分まで切り戻して癒合剤を塗ります。放置すると幹まで進みます。
道具と切り口の手当て
モクレンの枝は太くなると硬く、切れない道具で潰すように切ると切り口が治りません。よく切れる剪定ばさみと、二センチ以上の枝には剪定用のこぎりを使います。太い枝は先に下側に切れ目を入れてから上から切ると、皮がめくれて幹を傷めるのを防げます。
- 太枝は三段階で切る
- 付け根から二十センチ離れた下側に三分の一切れ目を入れ、その少し先を上から切って枝を落とし、最後に付け根で切り直します。
- 付け根の膨らみを残す
- 枝の付け根にあるわずかな膨らみ (枝の襟) は幹の一部です。ここを残して切ると切り口がふさがりやすくなります。
- 癒合剤を塗る
- 直径二センチ以上の切り口には園芸用の癒合剤を塗り、雨と菌の侵入を防ぎます。当日中に塗るのが効果的です。
モクレンの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
モクレンの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はモクレンの育て方にまとめています。
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