とう立ちが起きる仕組み
とう立ち(花芽が伸びて茎が立つこと)は、株が一定の低温に当たったあと、日が長くなることで進みます。ミブナはこの反応がはっきりしているので、春まきでは避けようのない性質として扱う必要があります。
花芽が動くと株は葉を育てるのをやめ、養分を花に回します。葉は硬くなり、辛みと苦みが強くなります。これは失敗ではなく植物として当たり前の動きなので、時期の組み立てで避けます。
| 場面 | 起きること | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 春まきで夜が冷える | 低温に当たり花芽ができる | 覆いをかけて保温する |
| 春まきで収穫が遅れる | 日が長くなり茎が伸びる | 小株のうちに採り切る |
| 秋まきで年を越す | 2月から花芽が動く | 2月中に採り切る |
| 秋まきで年内に採る | とう立ちしない | いちばん安全な作型 |
秋まきなら気にしなくてよい
九月にまいて十二月までに採り切る作型なら、とう立ちの心配はほとんどありません。冬の寒さに当たっても、日が短い間は花芽が伸びないためです。初めて作るならこの時期を選んでください。
年を越して一月、二月まで置く場合は、春が近づくにつれて中心から茎が伸び始めます。中心をのぞいて、丸いつぼみのかたまりが見えたら、そこから一週間ほどで硬くなると考えて採り切ります。
- 中心をのぞく
- 1月以降は週に一度、株の中心を開いて見ます。小さな丸いつぼみのかたまりがあれば花芽が動いています。
- 見えたら採り切る
- つぼみが見えたら1週間以内に全部採ります。待つほど葉が硬くなり、味も落ちていきます。
- 2月を区切りにする
- 関東平野部では2月中に採り終える計画にします。3月まで置くと確実に茎が伸びてしまいます。
春まきは保温してから育てる
春まきでとう立ちを減らすには、苗が小さいうちに低温に当てないことが要点です。三月下旬にまき、不織布かトンネルで覆って夜の冷え込みを和らげると、花芽ができにくくなります。
覆いは四月中旬、朝の冷え込みがなくなったら外します。かけたままにすると中が高温になり、今度は葉が傷みます。天気予報の最低気温を見ながら判断してください。
- 3月下旬にまく
- 3月中旬より早くはまきません。地温が上がらず発芽が遅れ、その間に低温にさらされてしまいます。
- 覆いをかける
- まいた日に不織布をべたがけするか、支柱を立ててトンネルにします。夜の冷え込みが和らぎます。
- 4月中旬に外す
- 朝の最低気温が10度を下回らなくなったら外します。かけたままだと中が高温になり葉が傷みます。
- 小株で採り切る
- 株間5センチから10センチの小株に絞り、40日ほどで採り切ります。大株を狙うと必ず間に合いません。
肥料と水も花芽に効く
肥料が切れて株が弱ると、生き延びるために花を咲かせようとします。春まきでは特に、肥料切れがとう立ちを早めます。元肥をしっかり入れ、間引きのあとに一回追肥を入れておくと違います。
水切れも同じように株を追い込みます。春は空気が乾く時期なので、秋作より水やりの回数が要ります。土の表面が白く乾く前に与えるつもりで管理してください。
- 元肥を確保する
- 1平方メートルあたり完熟堆肥2キロと元肥(前もって入れる肥料)ひと握りを入れます。切らすと花芽が早く動きます。
- 間引き後に追肥
- 2回目の間引きのあと、条間1メートルにひと握りの化成肥料をまいて土と混ぜ、水を与えます。
- 乾く前に水を与える
- 春は乾きが早いので、表面が白くなる前に与えます。3日から4日に1回を目安に見てください。
品種と作型の選び方
種袋には、まける時期の幅が書かれています。春まきに向く、とう立ちが遅いと書かれたものを選ぶと、春作の失敗が減ります。逆に大株用として売られているものは秋まき向きです。
作型を先に決めてから種を選ぶ、という順序にすると迷いません。春は小株、秋は小株と大株の両方が作れる、と覚えておけば選びやすくなります。
| 作型 | 向く種の書き方 | 狙う姿 |
|---|---|---|
| 春まき | とう立ちが遅い、春まき可 | 小株。40日で採り切る |
| 秋まき・年内どり | 秋まき、標準 | 小株から中株 |
| 秋まき・冬どり | 大株用、寒さに強い | 大株。漬物に向く |
とう立ちしてしまったときの使い方
花芽が伸びてしまっても、捨てる必要はありません。伸びた茎とつぼみは、菜の花と同じように使えます。硬い下の部分を落とし、柔らかい先の方をゆでるか炒めると、ほろ苦さがおいしく食べられます。
葉のほうは硬く辛くなっているので、生では使いにくくなります。細かく刻んで炒め物や汁物に入れると気になりません。次の作では、まく時期と採る時期を一週間ずつ前倒しして立て直してください。
| 状態 | 食べられる部分 | 向く使い方 |
|---|---|---|
| つぼみが見えた直後 | 株全体 | そのまま普通に使える |
| 茎が10センチ伸びた | 茎の先とつぼみ | ゆでてあえもの、炒め物 |
| 花が咲いた | 茎の先だけ | 硬い部分は落として炒める |
| 葉が硬く辛い | 刻めば使える | 汁物、炒め物に少量ずつ |
ミブナの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
ミブナの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はミブナの育て方にまとめています。
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