表年と裏年ができる仕組み
みかんは実を太らせながら、同じ年の秋に翌年の花芽を作ります。実が多い年は葉が作った糖のほとんどが果実へ回るため、花芽の分化が抑えられます。これが翌年の裏年です。
影響がいちばん強いのは9月から10月です。この時期に樹が果実で手いっぱいだと花が減ります。逆に裏年は果実が少なく養分が余るので、翌春に花が出すぎて再び表年へ振れます。
| その年 | 秋の樹の状態 | 翌春に起きること |
|---|---|---|
| 表年、実が多い | 果実に養分が回り新梢がほとんど出ない | 花が極端に少なく、葉ばかりの枝が増える |
| 裏年、実が少ない | 養分が余って夏秋梢が多く出る | 花が出すぎて小玉になり、また表年へ振れる |
| ならした年 | 適量の実と適量の新梢が同居する | 毎年同じくらい花が付き、玉の大きさも揃う |
葉果比で着果量を決める
着果量は実の数ではなく、実1個あたりの葉の枚数で決めます。温州みかんの仕上がりの目安は葉果比(実 1 個あたりの葉の枚数)25前後で、これより小さいと小玉で味が薄く、大きすぎると大玉になり翌年の花が減ります。
| 葉果比 | 仕上がり | 使いどころ |
|---|---|---|
| 10〜12 | 粗摘果の到達点 | 7月から8月の1回目で、落とす総量の半分を処理する |
| 20〜25 | 標準の仕上げ | 味と大きさの釣り合いが取れる。通常はここを狙う |
| 30前後 | 大玉になり樹は楽 | 表年に翌年の花を確保したいとき、弱った樹のとき |
枝1本の葉を数え、その枝に何個残すかで換算します。樹全体を数える必要はなく、代表の枝を2〜3本見れば足ります。
摘果は生理落果を待ってから
- 5月下旬〜6月上旬
- 開花から2〜3週で1回目の生理落果(木が自分で実の数を減らす自然な落果)が起きます。ここで摘果しても、落ちる実を人が落とすだけなので手を出しません。
- 6月中旬〜7月上旬
- 開花から4〜8週で2回目の落果です。落ち方を見て、その樹が今年どれだけ実を持てるかを判断します。落果が多い樹は摘果を軽くします。
- 7月下旬からの粗摘果
- 傷果、極端な大玉と小玉、上向きに付いた実を落とします。葉果比10〜12が目安で、落とす総量の半分をここで処理します。
- 8月下旬〜9月の仕上げ
- 残した実の形と位置を見て、葉果比25前後まで落とします。この時期の摘果が翌年の花芽の分化に直接効きます。
9月末を過ぎた摘果は翌年の花にほぼ効きません。遅れた年は今年の玉ぞろえだけを目的に、軽く整える程度にします。
表年は強く、裏年は残す
毎年同じ摘果をしても隔年結果は直りません。表年は基準より強く落として翌年の花を確保し、裏年は残せる実を残して樹を落ち着かせる、という非対称な運用にします。
- 表年の運用
- 仕上げで葉果比を30近くまで上げます。とくに樹冠の上部は思い切って落とします。日当たりがよく、翌年の花芽ができやすい場所だからです。
- 裏年の運用
- 摘果は傷果と極端な小玉だけにとどめます。数が少ないぶん1個が大きくなるので、水やりを控えめにして肥大を抑えます。
- 裏年の窒素は控える
- 養分が余る裏年に肥料を多く入れると新梢ばかり伸びます。春肥を基準の7割にし、代わりに収穫後のお礼肥で回復させます。
- 1年で直そうとしない
- 振れ幅は2〜3年かけて縮めます。裏年に無理に実を持たせると樹が消耗し、次の裏年がさらに深くなります。
予備枝で結果母枝を更新する
花が付くのは前年に伸びた細い枝です。実を付けた枝は翌年は花を付けにくいため、毎年一定量の新しい枝を用意しておく必要があります。これが予備枝の考え方です。
- 作る時期
- 着果が少なく夏秋梢が出ている樹では、秋梢が出にくくなる10月下旬ごろに設定します。早すぎる時期に作ると余計な芽が伸びます。
- 太い夏秋梢の扱い
- 斜めから横向きに伸びた太い枝は、先端の葉を数枚残してほかの葉を落とします。翌春そこから適度な太さの枝が出ます。
- 中くらいの枝の扱い
- 中から弱めの夏秋梢は、芽が輪状に並ぶ位置のすぐ上で切り、葉を落とします。切る位置を外すと芽が動きません。
- 樹全体での割合
- 花を付ける枝と予備枝がおよそ2対1になるよう配分します。予備枝が多すぎると、その年の収量が落ちます。
剪定の強弱で翌年の花を調整する
剪定は摘果の次に効く調整弁です。強く切れば新梢が増えて花は減り、弱く切れば細い枝が多く残って花は増えます。表年と裏年で切り方そのものを変えます。
| 樹の状態 | 3月の剪定 | 狙い |
|---|---|---|
| 前年が表年で花が少ない | やや強め、太枝を1〜2本更新 | 新梢を出して樹勢を戻し、翌年の花を作る |
| 前年が裏年で花が多い | 弱め、間引き中心 | 細い枝を残して着果させ、量は摘果で調整する |
| 樹勢が強く葉ばかり | 弱剪定、切り返しを避ける | 切るほど徒長枝が増え、花がさらに減る |
| 樹勢が弱く小玉ばかり | 古い下垂枝を抜いて更新 | 若い枝に養分を集め、玉の伸びを取り戻す |
剪定と摘果を同じ年に両方強くしません。片方を強めたら片方は基準どおりにし、翌年の反応を見て次を決めます。
隔年がなおらないときの切り分け
摘果も剪定もしているのに実の数が年ごとに振れるときは、量ではなく時期がずれていることが多いものです。秋の樹の姿を見て、翌春に咲く花の量を見積もっておくと原因がしぼれます。
| 秋に見えている樹の姿 | 疑う原因 | 翌年への手当て |
|---|---|---|
| 葉が薄く実だけ多く残る | 摘果が遅く量も足りない | 生理落果の後に葉果比25枚まで減らす |
| 枝ばかり伸びて実が少ない | 裏年に剪定を強くした | 裏年は弱く切り、予備枝を多めに残す |
| 実は大きいが数が少ない | 表年に摘果をしすぎた | 表年でも葉果比30枚までにとどめる |
| 秋まで実を成らせ続けた | 収穫が遅れ養分が戻らない | 早生に切り替えるか年内に採り切る |
隔年は一年では直りません。表年に強く減らし、裏年に残す操作を二年続けて、ようやく振れ幅が半分になる程度と考えます。
みかんの摘果に使うもの
摘果は減らす作業ですが、残った実は大きくなり、翌年の花芽も付きます。減らさないほうが穫れないのが木です。
- 摘果ばさみ探す言葉「摘果ばさみ 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 4〜5cm。密集した実の間に差し込めるもの。
先の尖ったはさみは、残す実に傷を付けます。傷が付くとそこから腐ります。
- 果実袋探す言葉「果実袋 果樹 かけ袋」
- 規格の目安
- 作物に合ったサイズ。上部に針金の入った掛けやすいもの。
- 数量の目安
- 木 1 本で 50〜200 枚。摘果を終えた実の数で決めます。
摘果のあとにかけます。虫と病気と鳥をまとめて防げて、見た目もきれいに仕上がります。
- 実の数が少ないなら、手で摘み取れば摘果ばさみは要りません。
- 袋かけは必須ではありません。見た目より数を穫りたいなら省けます。
みかんの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はみかんの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。