剪定の本番は3月に置く
みかんの主な剪定は、芽が動き出す直前の3月に済ませます。切り口の癒合が早く、切った反動が春に伸びる枝へ向かうためです。2月中の厳寒期は切り口が寒害を受けるので避けます。
みかんは常緑で、葉が貯蔵養分そのものです。落葉果樹の感覚で大量に切ると翌年の花が消えます。1回で理想の形にせず3年かけて直す前提で、年ごとの切除量は樹冠の1〜2割に抑えます。
| 時期 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 3月上旬〜下旬 | 主剪定、枝の整理 | 芽が動く前で癒合が早く、切った反動が春枝に向く |
| 5月下旬〜6月 | 不要枝の間引き | 花と実の位置が見えるので、日の当たらない枝を選べる |
| 7月〜8月 | 徒長枝と夏芽の整理 | 放置すると翌春の花芽が減り、病害虫の足場になる |
| 9月以降 | 原則として切らない | 切り口が寒害を受け、葉を失うと翌年の発芽がそろわない |
幼木は骨格づくり、成木は枝の更新
- 1〜3年目の幼木
- 主枝を3本前後に絞り、それ以外は付け根から抜きます。伸ばしたい枝は先端を3分の1ほど切り返し、枝分かれを促して骨格を作ります。実は数個で止めます。
- 4〜6年目の若木
- 骨格ができたら切り返しを減らし、混み合った枝を付け根から抜く間引きへ切り替えます。強く切るほど徒長(間のびして弱く伸びること)枝が増え、実が付き始めるのが遅れます。
- 7年目以降の成木
- 樹高と幅を止めながら、実を付け終えて垂れ下がった古い枝を抜き、代わりに若い枝を上げます。毎年2〜3割の枝を入れ替える意識で回します。
- 樹勢が落ちた老木
- 太い枝を1〜2本だけ切り下げ、そこから出た枝を新しい主枝に育てます。全体を一度に切り詰めると、翌年は花が付かず徒長枝だけが伸びます。
切る枝と残す枝の見分け
| 枝の種類 | 見た目 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|---|
| 徒長枝 | 真上に勢いよく伸び太い | 付け根から抜く | 葉ばかり茂って花が付かず、内側に日陰を作る |
| 内向き枝 | 樹の中心へ向かう | 付け根から抜く | 込み合いの原因になり、実が擦れて傷む |
| 枯れ枝 | 灰色に乾いて芽がない | 健全部まで戻して切る | 病原菌の住み処になり、切り口から枯れ上がる |
| 重なり枝 | 上下で重なり擦れる | 弱いほうを抜く | 擦り傷から病気が入り、下の枝が枯れる |
| 前年の細い枝 | 太さが鉛筆以下で葉付き | 残す | ここに花が付くので、切ると今年の実が消える |
| 下垂した老枝 | 下向きで葉が薄い | 更新のため抜く | 実が小さく味も乗らず、養分だけを使う |
迷ったら残します。切り足りない年は夏に直せますが、切りすぎた年はその年の実も翌年の花も戻りません。
間引きと切り返しを使い分ける
みかんでは間引き剪定が基本です。枝を付け根から抜くと樹の勢いが乱れず、光だけが内部に入ります。切り返しは先端を切る方法で、切った先から強い枝が数本出るため、成木では徒長の原因になります。
使い分けの目安は目的です。形を作りたいときは切り返し、光と風を通したいときは間引き。成木の剪定は9割を間引きで済ませられます。
- 間引き剪定
- 枝の付け根で、幹側のふくらみを残して切ります。切り残しの軸があるとそこから枯れ込むため、面を残さずに落とします。
- 切り返し剪定
- 外を向いた芽の少し上で切ります。内向きの芽の上で切ると、翌春の枝が樹の中心へ伸びて込み合いを増やします。
3月の主剪定の手順
- 立ち位置を決める
- まず樹から2歩離れ、外側の輪郭と込みの位置を見ます。近づいて細部から切り始めると、切りすぎに気づけません。
- 枯れ枝を先に抜く
- 枯れ枝と病斑のある枝を健全な部分まで戻して落とします。これだけで樹の内部が見え、次に切る枝を判断しやすくなります。
- 太い枝を1〜2本
- 樹高や幅を越えた太枝、真上に立った太い徒長枝を先に決めて落とします。太い判断を先に済ませると細部で迷いません。
- 中の込みを抜く
- 内向き枝と重なり枝を付け根から抜き、樹の内側に手のひらが入る隙間を作ります。日が中まで届くと下枝が枯れません。
- 先端は触らない
- 外周の細い前年枝は花が付く枝なので残します。輪郭を刈り込むように切ると、その年の実が丸ごと減ります。
切り口が親指より太いときは癒合が遅れます。斜めに切らず平らに落とし、雨がたまらない向きを選びます。
開花後から夏の枝の扱い
- 5月下旬〜6月
- 花の付かなかった枝と、日陰になった内側の枝を軽く抜きます。実の位置が見えるこの時期なら、残す枝を間違えません。
- 7月〜8月の徒長枝
- 真上に勢いよく伸びた夏枝は付け根から抜きます。放置すると養分を取られ、秋の花芽の分化が弱まります。
- 残してよい夏芽
- 樹の内側や空いた場所に出た、横向きで太すぎない夏枝は残します。翌年に花を付ける枝の予備として使えます。
夏の切除は少量にとどめます。強く切ると秋にさらに新芽が伸び、ミカンハモグリガとかいよう病を呼び込みます。
秋以降に切らない理由
9月を過ぎたら大きな剪定はしません。この時期の葉は翌春の発芽と開花に使う養分を蓄えており、枝葉を落とすと蓄積が足りず、春の芽ぞろいが悪くなります。
切り口の問題もあります。気温が下がると癒合の組織ができず、冬の乾いた風と低温で切り口から枯れ込みます。収穫のときに邪魔な枝があっても、印を付けて3月まで残します。
台風で折れた枝と、病斑が広がった枝だけは季節を問わず落とします。残しておくほうが枯れ込みが進みます。
みかんの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
みかんの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はみかんの育て方にまとめています。
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