採り時は色だけで決めない
みかんは収穫したあとに糖度が上がりません。樹の上で決まった味がそのまま残るので、色が回ったかどうかではなく、酸が抜けたかどうかで採る日を決めます。
見極めは3つです。果皮の色が8割ほど回っていること、手に持つと軽く沈むような弾力があること、試しに1個食べて酸が舌に刺さらないこと。系統によって基準の時期が2か月ずれます。
| 系統 | 収穫の目安 | 採るときの見た目 |
|---|---|---|
| 極早生 | 9月下旬〜10月 | 緑が残っていてよい。酸が抜けたら採る |
| 早生 | 10月下旬〜11月 | 黄からだいだいへ変わり、皮が薄い |
| 中生 | 11月下旬〜12月上旬 | だいだい色が濃い。浮き皮に注意する |
| 晩生 | 12月中旬〜下旬 | 色が濃く皮が厚い。貯蔵する前提で採る |
採り方の手順
- 晴れた日の午前に
- 雨の日や露が残る朝に採ると、水を含んだ皮が傷みやすく腐敗の原因になります。前日に雨が降ったら1〜2日空けます。
- 二度切りにする
- まず枝ごと少し長めに切り、次に果実側のへたの際で平らに切り直します。軸が残ると、かごの中でほかの実の皮を突き刺します。
- へたを短くそろえる
- へたが少しでも出っ張ると、運ぶ間に隣の実に傷を作ります。指で押して出っ張りがないか確かめてからかごへ入れます。
- 落とさず浅く入れる
- 見えない打ち傷がそこから腐ります。かごには浅く入れ、上から押し込んで詰めないようにします。
- 数回に分けて採る
- 樹の外側と上部から色づくので、色と弾力の揃ったものだけを採ります。一度に採り切らないほうが、全体の味は揃います。
採り遅れると皮と果肉が離れる浮き皮になります。見た目は大きくても水っぽく、日持ちが極端に落ちます。
予措で水分を抜く
採ってすぐ箱に詰めると腐ります。予措は収穫直後に果皮の余分な水分を飛ばす作業で、皮がやや柔らかくなるまで乾かすと、貯蔵中の腐敗と果肉の水分の消耗が減ります。
- 広げて置く
- 風通しのよい日陰に、重ならないよう1段で並べます。直射日光に当てると皮が焼け、かえって傷みが早まります。
- かける期間の目安
- すぐ食べる分は1〜2日。1か月以上置く分は1〜2週間かけ、重さが2〜5パーセント減るまで乾かします。
- 終わりの見分け
- 皮を軽く押して、張りが取れて少ししなやかになれば十分です。しわが寄るまで乾かすのは行きすぎで、味が落ちます。
傷や腐りのある実は予措の前に外します。1個の腐敗が接した実へ移り、箱ごと駄目になることがあります。
貯蔵の置き方
- へたを下にして並べる
- へたの部分は乾きやすく、上を向けているとそこから水分が抜けて実がしぼみます。向きをそろえて並べます。
- 重ねる段数
- 2段から3段までにします。下の実に荷重がかかると、見えない傷ができてそこから腐りが始まります。
- 新聞紙をはさむ
- 段ごとに新聞紙をはさむと余分な湿気を吸い、腐敗の連鎖を止められます。週に一度は箱を開けて点検します。
| 置き場所 | 温度の目安 | 持つ期間 |
|---|---|---|
| 暖房の入る居室 | 15℃以上 | 1〜2週間 |
| 廊下や玄関 | 8〜10℃ | 3〜4週間 |
| 風の通る納屋や物置 | 5〜8℃ | 1〜2か月、晩生ならさらに長い |
| 冷蔵庫の野菜室 | 5℃前後 | 2〜3週間。乾燥に注意する |
湿度は80〜90パーセントが目安です。乾きすぎると皮がしぼみ、こもると白いかびが出て一気に広がります。
酸を抜いて甘く感じさせる
みかんの甘さの感じ方は、糖の量よりも糖と酸の釣り合いで決まります。貯蔵している間にクエン酸が少しずつ分解されるため、置くほど酸が減って甘く感じられます。糖そのものは増えません。
晩生を1月から2月にかけて出す蔵出しは、この性質を使ったやり方です。収穫時に比べてクエン酸が半分以下まで下がり、同じ糖度でもはっきり甘く感じられます。
- 酸が強いときの置き方
- 5〜8℃で風の通る場所に2週間から1か月置きます。温度が低すぎると分解が進まず、高すぎると酸が抜ける前に傷みます。
- 少量を早く抜く
- 数個なら室温の日陰に4〜7日置き、皮が少ししなやかになったら食べます。袋に密閉すると蒸れて味が落ちます。
- 転がす方法の是非
- 揉んだり落としたりして酸を抜く方法もありますが、傷んだ実は日持ちしません。すぐ食べる分だけに限ります。
- 抜きすぎに注意
- 酸がなくなると水っぽく間延びした味になります。晩生でも2月のうちに食べ切る計画で置きます。
収穫後に樹へやること
- お礼肥を入れる
- 収穫の直後から11月ごろまでに秋肥を入れます。実に使った養分を年内に戻すと、翌春の芽ぞろいがよくなります。
- 実を残さない
- 取り残した実は樹の養分を使い続け、翌年の花を減らします。傷んだ実も含め、樹の上と地面から片付けます。
- 剪定は春まで待つ
- 収穫の邪魔だった枝も、この時期に切ると切り口が寒害を受けます。印を付けておき、3月にまとめて処理します。
- 冬の防寒
- 株元の敷き草を厚くし、幼木は幹に不織布を巻きます。鉢植えは氷点下になる夜だけ軒下へ移します。
収穫後の1〜2か月の手当てが翌年の裏年を防ぎます。採って終わりにせず、樹の回復までを収穫作業に含めます。
味がのらないときの原因を切り分ける
採ったみかんが酸っぱい、味が薄いというときは、樹の側の問題と採り方の問題が混ざっています。皮の様子と採った時期を突き合わせると、来年直す点といま直す点が分かれます。
| 食べたときの症状 | 疑う原因 | 次にすること |
|---|---|---|
| 酸味が強く残る | 採るのが早い、または裏年 | 予措と貯蔵で酸を抜き、来年は遅らせる |
| 味が薄く水っぽい | 秋の雨と窒素の効かせすぎ | 株元を敷き草で覆い、秋の窒素をやめる |
| 皮が浮いて実と離れる | 実が大きく雨の後に採った | 早生に替え、晴れた日に採り切る |
| 貯蔵中に腐る実が多い | 予措が足りず傷が残った | 風通しで数日乾かし、傷んだ実を外す |
同じ樹でも日の当たる外側の実から先に甘くなります。味を見るときは内側ではなく、南向きの外側から一つ採って確かめます。
みかんの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
みかんの収穫までのコツは作物ページに
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