年間の流れを4つに分ける
みかんの一年は、樹を作る春、実を選ぶ夏、味と翌年の花を作る秋、休ませる冬に分かれます。作業が重なるのは3月と8月で、この2つを外すとその年は取り返しがつきません。
みかんは常緑なので、冬に何もしない期間がありません。前年の実を付けたまま翌年の花芽を作る時期があり、収穫と翌年の準備が重なります。月の作業を見るときはこの重なりを意識します。
| 時期 | 樹の状態 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 3〜5月 | 発芽と開花 | 主剪定、春肥、摘蕾 |
| 6〜8月 | 生理落果と肥大 | 粗摘果、夏肥、乾燥対策 |
| 9〜11月 | 着色と花芽の分化 | 仕上げ摘果、予備枝、収穫 |
| 12〜2月 | 休眠と寒害対策 | 晩生の収穫、防寒、貯蔵 |
1月から4月の作業
1月から4月は翌年ではなく今年の樹を決める期間です。とくに3月の剪定と春肥は同じ月にまとめます。芽出しの時期がそろうと、その後の病害虫を警戒する期間も短くできます。
| 月 | 作業 | 目安と理由 |
|---|---|---|
| 1月 | 晩生の収穫、防寒 | 株元に敷き草を厚くして根の凍結を防ぐ |
| 2月 | 観察と道具の準備 | 厳寒期の剪定は寒害を招く。切る枝に印だけ付けて待つ |
| 3月 | 主剪定と春肥 | 芽が動く前に切る。春肥は株の周囲へ浅く入れる |
| 4月 | 発芽、鉢の植え替え | 新芽が伸びる時期。鉢は根詰まりを解いて一回り大きくする |
5月から8月の作業
5月から8月は実を減らす期間で、増やす作業はありません。落ちるに任せる時期と、人が落とす時期の切り替えが7月下旬にあると覚えておくと迷いません。
| 月 | 作業 | 目安と理由 |
|---|---|---|
| 5月 | 開花、摘蕾 | 蕾が多い年はこの段階で減らすと、実の肥大がそろう |
| 6月 | 生理落果を観察 | 落ちる実は自然に落ちる。人の摘果はまだしない |
| 7月 | 夏肥、粗摘果の開始 | 夏肥は下旬までに終える。以降の窒素は秋梢を招く |
| 8月 | 粗摘果、乾燥対策 | 葉果比10〜12を目安に落とす。敷き草で急な乾燥を防ぐ |
9月から12月の作業
9月から12月は今年の収穫と翌年の花が同時に進みます。9月の摘果を遅らせても今年の味は大きく変わりませんが、翌年の花は確実に減ります。
| 月 | 作業 | 目安と理由 |
|---|---|---|
| 9月 | 仕上げ摘果 | 葉果比25前後へ。翌年の花芽に効かせられる最後の機会 |
| 10月 | 予備枝の設定、極早生の収穫 | 下旬に予備枝を作る。極早生は酸が抜けたものから採る |
| 11月 | 早生の収穫、秋肥 | 収穫直後にお礼肥。実に使った養分を年内に戻す |
| 12月 | 中生と晩生の収穫、防寒 | 霜が降りる前に採り終える。採り遅れは浮き皮を招く |
地域で前後する幅
月そのものより、開花日を起点にすると地域差を吸収できます。開花から2〜3か月が粗摘果、4か月が仕上げ摘果、6か月前後が早生の収穫と読み替えると、暖かい年も寒い年も外しません。
| 作業 | 暖地 | 中間地 |
|---|---|---|
| 主剪定 | 3月上旬〜中旬 | 3月中旬〜下旬 |
| 開花 | 5月上旬 | 5月中旬 |
| 粗摘果 | 7月中旬〜8月上旬 | 7月下旬〜8月中旬 |
| 早生の収穫 | 10月中旬〜11月上旬 | 10月下旬〜11月中旬 |
寒冷地は露地での越冬が難しく、鉢植えで冬だけ室内へ入れる前提になります。作業月は暖地よりおよそ2週間遅れます。
月ごとに迷いやすい判断
- 2月に切りたくなる
- 厳寒期の切り口は寒害を受けて枯れ込みます。切りたい枝に印だけ付け、3月の暖かい日にまとめて回します。
- 6月の落果が心配
- 開花から2〜3週と4〜8週の落果は正常な生理現象です。ほとんど全部落ちる場合だけ、樹勢と開花時の天候を疑います。
- 7月以降の追肥
- 実が小さいと肥料を足したくなりますが、遅い窒素は秋梢を出して翌年の花を減らします。水と敷き草で対応します。
- 12月に採り遅れる
- 甘くしようと置くと浮き皮になり日持ちしません。色と食味で判断し、霜が降りる前に採り終えます。
作業の日付を毎年書き残します。開花日が分かれば、生理落果(木が自分で実の数を減らす自然な落果)と摘果の適期がその年の気候に合わせて読めます。
やり損ねたときの取り返し方
作業が抜けた月があっても、代わりにできることと、翌年まで待つしかないことがあります。区別しておくと、遅れを取り戻そうとして樹を痛めずに済みます。
- 3月の剪定を逃した
- 4月中なら軽い間引きだけ行い、太枝は翌年へ回します。芽が伸びたあとに強く切ると、夏に徒長(間のびして弱く伸びること)枝が大量に出ます。
- 夏の粗摘果を逃した
- 9月に一度で落とすと樹への衝撃が大きいので、2週間おきに2回に分けて減らします。玉のそろいは劣りますが、翌年の花は守れます。
- 仕上げ摘果が遅れた
- 10月以降の摘果は翌年の花にほぼ効きません。今年は諦め、収穫後のお礼肥を早めに厚く入れて樹の回復を優先します。
- 秋肥を忘れた
- 年内なら少量を追加します。年を越したら春肥に足さず、基準どおりに施します。まとめて入れると新梢が暴れます。
遅れを一度に取り返そうとするほど樹は乱れます。抜けた作業は記録に残し、翌年の同じ月に前倒しする形で直します。
みかんの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
みかんの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はみかんの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。