受粉のいる品種といらない品種
紫系の多くは自分の花粉で実がつく自家結実性ですが、花の構造上、花粉が雌しべに届きにくく、放っておくと結実率は三割から五割にとどまります。黄色系は自家不結実で、別の品種の花粉をつけないと実がつきません。どちらも人工受粉をすれば九割近く実になります。
| 系統 | 自家結実 | 人工受粉の必要 |
|---|---|---|
| 紫系 | あり | しなくても実はつくが、すると結実率が倍になる |
| 黄色系 | ほぼなし | 必須。別品種の花粉を用意する |
| 交配種 | 品種による | ラベルを確かめ、不明なら二株用意する |
| 実生(種から育てた株) | 不明 | 紫系由来なら期待できるが、二株あると安全 |
二株用意する場合は、別の品種であることが条件です。同じ品種を挿し木で増やした二株は、遺伝的に同じなので受粉相手になりません。
花の構造を知る
花は直径八センチほどで、中心に三本に分かれた雌しべの柱頭が立ち、その下に五本の雄しべがあります。開いたばかりの花は柱頭が上を向いていて、時間とともに下に倒れて雄しべの高さまで下がります。柱頭が倒れて雄しべに触れるころが受粉の好機で、倒れない花は自然には受粉しません。
- 開花時刻を確かめる
- 紫系は午前中に開いて夕方にしぼみます。品種によっては昼過ぎに開くものもあるので、最初の一輪で時刻を確かめておきます。
- 雄しべの花粉を見る
- 雄しべの先が下向きに開き、黄色い粉が見えれば花粉が出ています。粉が見えない朝早い時間は、一時間待ちます。
- 柱頭の倒れ方を見る
- 三本の柱頭が水平から下向きに倒れていれば受粉できる状態です。上を向いたままの花でも、筆で花粉をつければ実になります。
同じ株でも花ごとに柱頭の倒れ方が違い、まったく倒れない花が半分近く混じることがあります。倒れない花ほど自然結実しにくいので、人工受粉の効果が大きい花だと考えて優先します。
受粉の手順
道具は柔らかい絵筆か綿棒で十分です。同じ株の別の花か、別品種の花の雄しべから花粉を取り、三本の柱頭それぞれに軽くこすりつけます。晴れた日の午前十時から正午が一番成功しやすく、雨の日は花粉が流れて実になりにくいので、雨よけの下で行います。
- 花粉を取る
- 筆先を雄しべの先に当てて、黄色い粉をたっぷり含ませます。別の花から取るほうが結実率が上がります。
- 三本の柱頭につける
- 柱頭の先端の湿った部分に筆を当て、三本すべてに粉をつけます。一本だけだと実が片寄って小さくなります。
- つけた花に印をする
- 受粉した花の付け根にひもを結んでおくと、あとで何日目か数えられます。実は受粉から六十日から八十日で熟します。
- 翌日に確かめる
- 翌日、花の付け根が丸く膨らみ始めていれば成功です。膨らまず黄色くなって落ちる花は失敗なので、次の花で繰り返します。
雄しべの花粉は乾いた状態で採ります。朝露で濡れた花粉は柱頭につきにくいので、露が乾く十時ごろまで待つと確実です。
花を多く咲かせる条件
受粉の前に、まず花を咲かせる必要があります。花芽は横に誘引した側枝の節ごとにつき、二十五度前後の気温で次々と開きます。関東では五月下旬から七月と、九月から十月の二回の開花期があり、三十度を超える真夏は花が止まります。春の花に確実に受粉し、秋の花は追熟が間に合う十月上旬までを目安にします。
一株で毎日数輪が順に開くので、受粉は数日に分けて続けることになります。つぼみは節の付け根に小さな緑の玉として現れ、開花の二日から三日前に急に膨らんで色が見えてきます。膨らんだつぼみを前日の夕方に数えておくと、翌朝の見回りで見落としが減ります。
| 時期 | 花の様子 | 受粉の扱い |
|---|---|---|
| 5月下旬〜7月上旬 | 一番花。毎日数輪ずつ開く | 全部受粉する。夏の収穫になる |
| 7月中旬〜8月 | 暑さで花が止まるか落ちる | つぼみが落ちても異常ではない |
| 9月〜10月上旬 | 二番花。春より少ない | 受粉する。十二月までに熟す |
| 10月中旬以降 | 咲いても実が熟さない | 受粉せず株の体力に回す |
一本の側枝に実が四個以上つくと、あとの花は受粉しても小さいまま落ちやすくなります。実が三個から四個ついた側枝の花は、受粉せずに摘むほうが残った実が大きくなります。
受粉しても実がつかないときの見分け
受粉したのに花が落ちるときは、花粉の問題か株の状態の問題かを切り分けます。同じ株の花粉しかない黄色系は何度やっても落ちます。紫系でも真夏の高温では花粉の力が落ちるので、時期を変えるだけで解決することがあります。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 受粉の翌日に花ごと落ちる | 同じ品種の花粉で不結実 | 別品種の花粉を用意する |
| 膨らみ始めてから黄色く落ちる | 水切れか肥料切れ | 朝夕の水と、二週おきの液肥に切り替える |
| 実は残るが小さく片寄る | 柱頭の一部にしか花粉がつかなかった | 三本すべてに筆を当てる |
| 夏の花だけ落ちる | 三十度以上の高温 | 秋の花に期待し、西日を遮る |
パッションフルーツの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
パッションフルーツの収穫までのコツは作物ページに
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