一年の流れ
関東平野部では、4月下旬に芽吹き、5月に開花、夏に実が太り、10月下旬から11月に緑の外皮が裂けて実が落ちます。落葉は11月下旬です。作業の山は冬の剪定、春の施肥と開花の記録、夏の水やり、秋の落果拾いの四つで、それ以外は見守るだけの月が多い木です。
| 月 | 木の姿 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1月 | 休眠 | 剪定、切り口に癒合剤 |
| 2月 | 休眠、下旬に樹液が動き始める | 剪定を終える、植え付け |
| 3月 | 芽が膨らむ | 春の施肥、亜鉛を含む微量要素 |
| 4月 | 芽吹き、下旬に雄花の房 | 開花日の記録開始 |
| 5月 | 開花、雌花が新梢の先に | 人工授粉、記録 |
| 6月 | 小さな実、自然落果 | 水やり開始、落果の数を見る |
| 7月 | 実の肥大 | 週一回たっぷり水、台風対策 |
| 8月 | 実の中身が詰まる | 水を切らさない、落果を割って確かめる |
| 9月 | 殻が固まる | 水やりを続ける、下草を刈る |
| 10月 | 外皮が裂け始める | 落果を拾い、乾燥を始める |
| 11月 | 落果と落葉 | 拾い集めて乾燥、落ち葉の処分 |
| 12月 | 休眠 | 実の保存、寒肥の準備 |
冬(十二月〜二月)
剪定の季節です。若木は幹を一本にする作業、成木は枯れ枝と混んだ枝の間引きをします。関東では2月下旬に樹液が動くので、それまでに終えます。寒さには強く、防寒は不要です。植え付けもこの時期で、裸苗は届いたらすぐ植えるか仮植えします。
- 剪定は2月中に終える
- 枝先の芽が膨らみ始める前に済ませます。遅れると切り口から樹液が流れ続け、木が弱ります。
- 太い切り口を保護する
- 直径3センチ以上の切り口に癒合剤を塗り、腐りが幹に入るのを防ぎます。塗り忘れは翌年に確かめて塗り直します。
- 寒肥を準備する
- 2月に完熟堆肥を株元から1メートル離した円にまき、軽く土と混ぜます。若木は肥料を控え、堆肥だけにします。
春(三月〜五月)
3月に施肥をし、4月下旬から5月の開花を観察して記録します。ピーカンナッツは亜鉛が不足しやすく、葉が小さく縁が波打つ症状が出ます。芽吹き前に亜鉛を含む微量要素の肥料を施すか、葉が開いたら葉面散布します。
- 3月の施肥
- 成木には化成肥料を株元から1メートル離した円に、両手で三〜四杯ほどまきます。若木は半分以下にして、枝ばかり伸びるのを防ぎます。
- 亜鉛を補う
- 亜鉛を含む微量要素の肥料を3月に土へ、または5月に葉面散布します。前年に葉が小さく波打っていたら必ず行います。
- 開花を記録する
- 雄花が花粉を出した日と雌花が開いた日を木ごとに書きます。重なりがなければ人工授粉で橋渡しします。
夏(六月〜八月)
実が太り、中身が詰まる季節です。この時期に乾くと実が落ちたり、中身がしぼんだりします。成木は根が深いので雨だけで足りることも多いですが、二週間雨がなければ株元にたっぷり水を与えます。若木は毎週与えます。6月の自然落果は正常で、7月以降の落果は原因を見ます。
| 場面 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 二週間雨が降らない | 株元に水 | 成木でバケツ五〜十杯 |
| 6月に小さい実が落ちる | 何もしない | 残りが多ければ正常 |
| 7〜8月に実が落ちる | 割って中を見る | 虫なら殺虫剤、空なら水 |
| 台風の予報 | 若木の支柱を確かめる | 成木は特に対策なし |
秋(九月〜十一月)
9月に殻が固まり、10月下旬から緑の外皮が四つに裂けて実が落ち始めます。落ちた実は毎日拾い集めます。地面に置いたままだと湿気を吸ってかびが出るので、拾ったらすぐ乾燥に回します。木を揺すって落とす方法もありますが、外皮が裂けていない実は未熟です。
- 落果を毎日拾う
- 10月下旬から11月にかけて、朝に木の下を回って落ちた実を拾います。外皮が付いたままの実は外皮を外します。
- 拾ったら乾燥へ
- 風通しのよい日陰に一段に広げて二〜三週間乾かします。振って中身がカラカラ鳴れば乾燥は十分です。
- 落ち葉を片付ける
- 落葉した葉は病気の菌が残るので、集めて処分します。堆肥に使うなら十分に発酵させます。
若木の年と成木の年の違い
植えて五年までの若木は、実の作業がない代わりに水やりと幹の仕立てが中心です。成木になると水やりの手間が減り、剪定と収穫が中心になります。同じ月でも木の年齢で作業が違うので、自分の木がどちらかを見て作業を選びます。
| 時期 | 若木(五年まで) | 成木 |
|---|---|---|
| 冬 | 幹を一本にする剪定、支柱の結び直し | 間引き剪定 |
| 春 | 堆肥のみ、台木の芽をかき取る | 施肥、開花の記録 |
| 夏 | 週一回の水やり、敷きわら | 乾いたときだけ水 |
| 秋 | 落ち葉の処分 | 落果拾いと乾燥 |
うまくいかない年の原因と直し方
実が付かない年は、剪定で枝先を切りすぎたか、開花の重なりがなかったか、夏に乾いたかのどれかです。記録があれば原因を絞れます。隔年で実の量が大きく変わるのは成木の性質で、多い年の翌年に少ないのは異常ではありません。
| 症状 | 原因 | 翌年の直し方 |
|---|---|---|
| 雌花が付かない | 枝先を切り詰めた | 間引き剪定だけにする |
| 花は咲くが実が付かない | 花期が重ならない | 逆のタイプを足すか花粉を冷蔵して人工授粉 |
| 夏に実が落ちて中が空 | 乾燥 | 7〜8月に二週間雨がなければ水 |
| 殻はあるが中身がしぼむ | 9月の乾燥か亜鉛不足 | 秋まで水を続け、春に亜鉛を補う |
ピーカンナッツの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
ピーカンナッツの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーカンナッツの育て方にまとめています。
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