定植の七十日前から逆算してまく
ピーマンやトウガラシは夏野菜のなかでも育苗期間が長く、種まきから定植まで七十日から八十日かかります。五月上旬に植えるなら二月中旬から三月上旬にまく計算で、この時期は外の気温では発芽しません。家庭では加温の道具を用意するか、遅まきにするかを先に決めます。
加温の用意がなければ、四月上旬にまいて六月中旬に植える遅まきでも構いません。この仲間は秋の実つきが本番なので、植え付けが一か月遅れても秋までに取り返せます。ただしパプリカは色づきに日数がかかるため、早まきにするか苗を買うほうが確実です。
| 作型 | 種まき | 定植 | 温度の用意 |
|---|---|---|---|
| 早まき(中間地) | 2月中旬〜3月上旬 | 5月上旬〜中旬 | ヒーターマットなどの加温が必須 |
| 標準(中間地) | 3月中旬〜下旬 | 5月下旬〜6月上旬 | 室内の窓辺と夜の保温 |
| 遅まき(中間地) | 4月上旬〜中旬 | 6月中旬 | 日中は外、夜だけ室内 |
| 暖地 | 2月上旬〜3月中旬 | 4月下旬〜5月中旬 | 早まきは加温が要る |
| 寒冷地 | 3月上旬〜4月上旬 | 5月下旬〜6月上旬 | 加温の期間が長くなる |
一番花のつぼみが見えるくらいまで育てた苗が理想です。日数より苗の姿で植え時を決めるので、表の日付は準備の目安として使います。
小さな容器にまいて鉢上げする
ピーマンやトウガラシの根は移植に強く、小さな容器にまいてから一本ずつ鉢に移す鉢上げをしても傷みが少ない作物です。発芽まで温度をそろえやすいように、最初はセルトレイや浅い箱にまとめてまき、狭い場所で集中して温めます。
- 用土を先に湿らせる
- 市販の種まき用土をセルトレイか浅い箱に詰め、まく前に水をかけて全体を湿らせます。乾いた土にまいてから水をかけると、小さな種が流れて片寄ります。
- 深さ五ミリにまく
- セルトレイなら一穴に二粒、箱なら一センチ間隔のすじまきにします。覆土は五ミリほどで、種が隠れる程度に薄くかけて手で軽く押さえます。
- 種は多めに用意する
- 必要な株数の倍をまき、育ちの良いものを選ぶつもりで用意します。ピーマンやトウガラシの種は寿命が短く、二〜三年たつと発芽がそろわなくなります。
- 覆いで乾燥を防ぐ
- まいたら新聞紙か食品用ラップで表面を覆い、乾燥を防ぎます。芽が一本でも見えたら、すぐに覆いを外して光に当てます。
温度管理は発芽二十八度、夜は十二度を切らせない
発芽に必要な地温は二十五度から三十度で、二十八度前後なら七日から十日で芽が出ます。二十度を下回ると二週間以上かかり、十五度以下ではほとんど発芽しません。二月から三月の室内は夜に十度近くまで冷えるため、窓辺に置くだけでは足りず、何らかの加温が要ります。
発芽したら温度を少し下げ、昼は二十五度から二十八度、夜は十五度から十八度を目安にします。苗が耐えられる夜の最低温度はおよそ十二度で、これを下回る夜が続くと葉が紫がかって生育が止まります。逆に夜も二十度を超える部屋では、茎が細く間延びした苗になります。
- ヒーターマットで温める
- 育苗用のヒーターマットを敷き、その上にトレイを置きます。温度調節器付きなら地温を二十八度に合わせ、なければ土に温度計を挿して朝夕に確かめます。
- 箱と湯たんぽで保温
- ヒーターがない場合は、トレイを発泡スチロール箱に入れ、湯を入れたペットボトルを添えてふたをします。夜に湯を替えれば地温を二十度前後に保てます。
- 昼は窓辺、夜は部屋の中央
- 発芽後は日中、南向きの窓辺に置きます。窓際は夜に急に冷えるので、夕方には部屋の中央へ移し、箱をかぶせて冷気から守ります。
- 暑い日は覆いを開ける
- 晴れた日の窓辺やビニール囲いの中は三十五度を超えることがあります。昼に三十度を超えたら覆いを開け、夜温も下げ気味にして徒長(茎だけ細長く伸びること)を防ぎます。
| 時期 | 昼の温度 | 夜の温度 |
|---|---|---|
| まいてから発芽まで | 地温25〜30℃ | 地温20℃以上を保つ |
| 発芽から本葉2枚 | 25〜28℃ | 15〜18℃ |
| 鉢上げ後 | 23〜28℃ | 13〜15℃ |
| 定植前の1週間 | 外気に慣らす | 12℃を下回る夜は室内へ |
発芽後は光に当てて九センチポットへ鉢上げ
芽が出そろったら、できるだけ長く日に当てます。この時期の光不足は取り返しがつかず、一度間延びした茎は元に戻りません。本葉が二枚から三枚になったら一本ずつポットに移し、葉が重ならない間隔で育てます。
- 水は晴れた日の午前に
- 土の表面が乾いたら、晴れた日の午前中にたっぷり与えます。夕方の水やりは夜の地温を下げて根の働きを止めるので避けます。
- 混んだ芽を間引く
- セルトレイで二本出た穴は、双葉が開いたら形の良い一本を残してはさみで切ります。抜くと隣の苗の根まで傷めます。
- 本葉二〜三枚で鉢上げ
- 九センチポットに培養土を入れ、根鉢を崩さず一本ずつ植え替えます。双葉が土の上に出る深さにし、鉢上げ後二〜三日は直射日光を避けます。
- 葉が触れたら鉢を離す
- 隣の苗と葉が触れ合うようになったら、ポットの間隔を広げます。混んだまま置くと光を奪い合って背丈だけが伸びます。
- 液体肥料は薄めて
- 鉢上げから二週間ほどたって下葉の色が薄くなったら、薄めた液体肥料を一週間に一度与えます。濃いと根が傷むので、表示より薄めにします。
- 根が回ったら一回り大きく
- 育苗が六十日を超えて根がポットの底に回ったら、十二センチポットに植え替えます。根詰まりのまま置くと小さいうちに花が付き、株が育ちません。
一番花が見えたら外気に慣らして定植
定植の目安は本葉十枚から十三枚、一番花のつぼみが見え始めたころです。外の最低気温が十五度を超え、遅霜の心配がなくなってから植えます。室内で育った苗はいきなり外に出すと葉が焼けたり冷えで止まったりするので、一週間ほどかけて慣らします。
- 昼だけ外に出す
- 定植の七日から十日前から、暖かい日の日中だけ苗を外に出します。最初は半日陰で二〜三時間、慣れたら日なたで一日置きます。
- 夜も外で過ごさせる
- 最後の三日ほどは、夜の気温が十二度以上ある日は外に置いたままにします。下回る予報の夜は室内へ取り込みます。
- 植え時を見極める
- 茎が鉛筆ほどの太さで、葉の色が濃く節の間が詰まっていれば植え時です。一番花が咲いてしまっていても、植えれば問題なく育ちます。
発芽しない、苗が弱いときの原因と立て直し
ピーマンやトウガラシの育苗の失敗は、ほとんどが温度か光のどちらかです。育苗が長いぶん失敗に気付くのも遅れがちなので、症状から原因を切り分け、次の苗で同じことを繰り返さないようにします。
| 症状 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 二週間たっても芽が出ない | 地温不足か古い種 | 地温を二十五度以上に上げ、新しい種でまき直す |
| 茎がひょろ長く倒れる | 光不足と夜の高温 | 窓辺に寄せて夜温を下げ、鉢上げで深めに植える |
| 葉が紫がかって育たない | 夜の低温 | 夜は箱か部屋の中央で十二度以上に保つ |
| 双葉の根元がくびれて倒れる | 過湿による立枯れ | 倒れた苗は抜き、水やりを朝だけにする |
| 下葉が黄色くなる | 肥料切れか根詰まり | 液体肥料を与え、根が回っていれば大きい鉢へ |
辛味の強いトウガラシは、ピーマンより発芽が数日遅れることがあります。地温が二十五度あるなら、掘り返す前にもう一週間待ってみます。
種まきの手順
ピーマン・トウガラシは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
ピーマン・トウガラシの種まきでよくある質問
ピーマン・トウガラシの種はいつまく?
早まき(中間地): 2月中旬〜3月上旬。標準(中間地): 3月中旬〜下旬。遅まき(中間地): 4月上旬〜中旬。暖地: 2月上旬〜3月中旬。
ピーマン・トウガラシの種はどうやってまく?
セルトレイなら一穴に二粒、箱なら一センチ間隔のすじまきにします。
ピーマン・トウガラシの種まき後の水やりは?
乾いた土にまいてから水をかけると、小さな種が流れて片寄ります。
ピーマン・トウガラシの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
ピーマン・トウガラシの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーマン・トウガラシの育て方にまとめています。
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