主茎は10節ほど伸びて一番花をつけ、そこで枝が分かれる
ピーマン、シシトウ、パプリカ、トウガラシ、青唐辛子はどれも同じトウガラシという1つの種で、枝の増え方も仕立ての考え方も共通です。茎は、まず1本の主茎として葉を1枚ずつ出しながら伸びていきます。葉が8〜12枚、だいたい10節ほど出たところで先端に最初の花をつけます。これが一番花です。
トウガラシ類の茎は花をつけるとそこで伸びるのをやめ、花のすぐ下から新しい枝が2本、ときに3本出て、それぞれが伸び始めます。新しく出た枝も、同じことを繰り返します。葉を1〜2枚出すとすぐに先端に花をつけ、そこで止まり、また2本に分かれます。1本の茎が花のところで2本に分かれ続けるこの伸び方を二叉分枝といい、トウガラシ類の姿を決めている最も大切な性質です。
- 一番花の位置を確かめる
- 主茎を下から数えて、最初の花またはつぼみがついている節を見つけます。その節で茎が2〜3本に分かれていれば、それが一番花の分かれ目です。
- 分かれ目より下と上を分けて考える
- 分かれ目より下に出るのはわき芽で、株の土台を作る部分です。分かれ目より上は、花と実をつける部分です。仕立ては、この2つを別の考え方で扱います。
枝は倍々に増える
花のたびに2本に分かれるので、枝の本数は足し算ではなく掛け算で増えます。一番花で2本、その先でそれぞれが2本に分かれて4本、次は8本、16本、32本です。花も同じ数だけつくので、5回分かれたころには1株に30以上の花が同時についています。この増え方を表で見ると、放っておくとどうなるかが分かります。
枝が増えること自体は収穫につながりますが、増え方が速すぎると根と葉が実を養いきれなくなります。株が疲れ、実が小さくなり、花が落ち始めます。株の内側は枝と葉が重なって日が入らず、風も通らないので、アブラムシとハダニの住みかになります。
| 分かれ目 | 枝の本数 | 株の様子 | やること |
|---|---|---|---|
| 一番花(植え付け2〜3週後) | 2〜3本 | 株の形が決まる | 下のわき芽を全部取り、3本に絞る |
| 2回目(さらに1〜2週後) | 4〜6本 | 枝が左右に広がる | 本支柱に結ぶ。一番果を早採り |
| 3回目 | 8〜12本 | 実が同時に太り始める | 内側に向く枝を切り始める |
| 4回目 | 16〜24本 | 株の中が暗くなる | 込んだ枝と下葉を切り、追肥を切らさない |
| 5回目以降 | 32本以上 | 放置すると実が小さくなる | 弱い枝を間引いて数を戻す |
一番花の下のわき芽はすべて取る
一番花の分かれ目より下の節からも、わき芽が次々に出てきます。残すのは一番花のすぐ下から出る勢いのよい2本だけで(次の節の3本仕立ての骨格になります)、それより下のわき芽をすべて取ります。下のわき芽を残すと、株の下のほうで枝が増えて根の力が分散し、上の枝に実がつかなくなります。わき芽が5センチになる前に、指でかき取ります。これを一番花が咲いたころに1回、その2週間後にもう1回見直せば、以後はほとんど出なくなります。
- 晴れた日の午前中に取る
- 傷口が早く乾く晴れた日の午前中に作業します。雨の日や夕方に取ると、傷口から病気が入りやすくなります。
- 小さいうちに指でかき取る
- わき芽が5センチ以下なら、付け根を指で横に倒すときれいに取れます。大きくなったものはハサミで付け根から切り、ハサミは株ごとに消毒します。
- 分かれ目のすぐ下の2本は残す
- 一番花のすぐ下から出る勢いのよいわき芽2本は、3本仕立ての側枝になるので残します。それより下のわき芽だけを取ります。
- 2週間後にもう一度見直す
- 一度取っても、同じ節から小さなわき芽がまた出ることがあります。2週間後に株元を見直し、出ていれば取ります。
3本仕立てか、2本仕立てか
一番花の分かれ目で主枝が2〜3本に分かれるので、ここで株の骨格の本数を決めます。基本は主枝と、一番花のすぐ下から出る勢いのよい側枝2本の3本仕立てです。鉢が小さいときや株が弱いときは、側枝を1本にした2本仕立てにすると、1本ごとの枝が太り、実の大きさがそろいます。
| 仕立て | 向く場面 | 実の数と大きさ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 3本仕立て | 15リットル以上の鉢、露地 | 数が多く、標準の大きさ | 支柱3本で合掌型に |
| 2本仕立て | 10リットルの鉢、遅植え、弱い株 | 数は少ないが大きくそろう | 支柱2本で左右に開く |
| 4本仕立て | 露地で株間50センチ以上 | 最も多いが小さくなりやすい | 鉢植えには向かない |
内向枝と込んだ枝、下葉を切る
3本に仕立てたあとも、枝は倍々に増え続けます。すべてを残す必要はなく、株の内側に向かって伸びる内向枝、他の枝と重なる枝、花のつかない弱い枝を切っていきます。目安は、株の真上から見たときに土が所々見えること、横から見たときに株の中まで光が差すことです。
切るのは一度に全体の2〜3割までにします。一気に切ると葉の量が減って実が日焼けし、根の勢いも落ちます。1〜2週間おきに少しずつ切るほうが、株は止まらずに採り続けられます。
- 内側に向かう枝を付け根で切る
- 分かれ目から株の中心に向かって伸びる枝は、どれだけ伸びても日が当たらず、実が小さいままです。見つけたら付け根で切ります。
- 重なった枝は弱いほうを切る
- 2本の枝が同じ方向に伸びて葉が重なるときは、細くて花の少ないほうを付け根で切ります。残した枝に光と養分が集まります。
- 一番果より下の葉を取る
- 一番果がつくころには、分かれ目より下の葉は株元で日陰になり、役目を終えています。黄ばんだものから順に取り、株元に風を通します。
- 花のつかない枝は迷わず切る
- 葉を3枚以上出しても花をつけない枝は、養分を使うだけです。付け根で切って、花のつく枝に回します。
一番果の早採りと、株が疲れたときの切り戻し
一番花の実は、株がまだ小さいうちにつくので、大きくするまで待つと株の成長が止まります。一番果は親指ほどの大きさで採り、株を作ることを優先します。2段目、3段目の実も、株が小さいうちは早めに採ります。
夏の盛りに枝が増えすぎて実が小さくなったら、思い切って枝を半分ほどの高さで切り戻す方法もあります。切り戻したあと2〜3週間は収穫が止まりますが、9月に涼しくなると新しい枝が伸びて、秋にもう一山採れます。
- 一番果は親指の大きさで採る
- 一番花が実になったら、長さ3〜4センチの親指ほどで採ります。食べるには小さいですが、株の成長を止めないための収穫です。
- 切り戻すなら8月上旬まで
- 切り戻しは、新しい枝が伸びて花が咲き、実になるまで6〜8週間かかります。8月上旬までに済ませないと、秋の収穫に間に合いません。
- 切ったら追肥と水を忘れない
- 切り戻した直後に追肥し、水を切らさないようにします。葉が減ったぶん土が乾きにくくなるので、水のやりすぎにも気をつけます。
この枝の増え方はピーマンもシシトウもパプリカも同じ
ここまでの話は、どれか1つの作物だけの話ではありません。ピーマン、シシトウ、パプリカ、トウガラシ、青唐辛子、万願寺とうがらし、鷹の爪は、どれも同じトウガラシという1つの種です。だから主茎が10節ほどで一番花をつけ、そこで分かれ、花のたびに2本に分かれて倍々に増える性質も、一番花の下のわき芽を取って3本に仕立て、内向枝を切るという手入れも、すべて共通です。
違うのは実の大きさと、実が株にかける負担だけです。パプリカのように実が大きい作物は負担が重いので、枝の数をさらに絞り、実の数も制限します。シシトウのように実が小さい作物は、枝を多めに残しても株が持ちます。この1つの仕組みを知っていれば、ピーマン系のどの作物を育てても、どこを切るか自分で判断できます。
| 作物 | 一番花までの節数 | 仕立ての目安 | 実の負担 |
|---|---|---|---|
| 青唐辛子、鷹の爪 | 8〜12節 | 3本仕立て、枝は多めに残せる | 軽い。採り続ければ疲れにくい |
| シシトウ、伏見甘長 | 8〜12節 | 3本仕立て、枝は多めに残せる | 軽い。若採りが前提 |
| ピーマン | 8〜12節 | 3本仕立て、込んだ枝を間引く | 中くらい。採り遅れると株が止まる |
| パプリカ | 8〜12節 | 2〜3本仕立て、実の数を制限 | 重い。1枝に1〜2果に絞る |
島とうがらしだけは、キダチトウガラシという別の種です。枝が分かれて増える点は同じですが、株が木のように大きくなり、花が上向きにつきます。仕立ては同じ考え方で構いません。
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