じゃがいもの一年は三か月ひと区切り
じゃがいもは植え付けから収穫までがおよそ九十日から百日と短く、一年を通して畑を占める作物ではありません。春作なら三月に植えて六月に掘り、秋作なら九月に植えて十二月に掘る、という三か月の区切りで考えると計画が立てやすくなります。
そのため、月別の作業を追うときは「今が植え付けから何日目か」を基準にします。暦の月そのものより、出芽からの日数と草丈のほうが、次の作業を決める確かな手がかりになります。
| 作型 | 植え付け | 収穫 | 日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 春作 | 二月下旬から五月中旬 | 五月下旬から九月 | 九十日から百日 |
| 秋作 | 八月下旬から九月下旬 | 十一月下旬から十二月 | 九十日前後 |
春作の月別作業
中間地の平地を基準にした流れです。暦そのものは地域で前後しますが、作業の順番と間隔は変わりません。前後の幅はこのページの後半の表で読み替えてください。
| 月 | 主な作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 二月 | 種いもの入手、浴光育芽の開始 | 芽が五ミリから十ミリで濃い色になれば準備完了 |
| 三月 | 種いもを切って乾かす、植え付け | 地温が七度以上で安定してから植える |
| 四月 | 出芽、芽かき、一回目の土寄せと追肥 | 草丈十五センチが芽かきの合図 |
| 五月 | 二回目の土寄せ、開花、疫病の警戒 | つぼみが見えるまでに土寄せを終える |
| 六月 | 茎葉の黄変を待って収穫 | 晴天が二日から三日続いた日に掘る |
| 七月 | 乾燥、選別、貯蔵 | 光を完全に遮り、洗わずにしまう |
秋作の月別作業
秋作は春作より使える期間が短く、霜が来る前に肥大を終える必要があります。寒冷地では収穫を迎える前に土が凍ってしまうため、基本的に向きません。中間地から暖地向けの作型です。
| 月 | 主な作業 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 八月 | 秋作用の種いもを入手 | 切らずに植えられる小さいいもを選ぶ |
| 九月 | 植え付け、出芽 | 地温が二十五度を下回ってから植える |
| 十月 | 芽かき、土寄せ、追肥 | 春作より本数を絞りすぎない |
| 十一月 | 肥大期、霜への警戒 | 不織布で葉を守れば肥大が続く |
| 十二月 | 収穫 | 霜で茎葉が枯れたら掘り上げる |
春作と秋作をどう組み合わせるか
同じ畑で春と秋の二回作るなら、区画を必ず分けます。春作で疫病やそうか病が出た場所へ秋作を続けると、菌が残ったまま次の種いもを入れることになり、被害がそのまま持ち越されます。
秋作は春作より収量が落ちるかわりに、冬に掘りたてが食べられるという利点があります。春に採ったいもは夏を越すと芽が出やすくなるので、貯蔵の負担を減らす意味でも秋作は組み合わせやすい作型です。
| 作型 | 得られるもの | 難しいところ |
|---|---|---|
| 春作だけ | 収量が安定し、量が採れる | 夏の貯蔵に手がかかる |
| 秋作だけ | 冬に掘りたてを食べられる | 種いもの腐敗と霜に追われる |
| 春と秋の両方 | 一年に二回収穫できる | 区画を分けないと病気が残る |
秋作をやめる年でも、春作の区画だけは毎年変えます。同じ場所を続けると、そうか病は年を追って確実に増えていきます。
地域で前後する幅を知っておく
同じ三月でも、暖地ではすでに出芽していて、寒冷地ではまだ雪の下ということが起こります。下の表の幅を自分の地域に当てはめてから、月別の作業を読み替えてください。
| 地域 | 春の植え付け | 春の収穫 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 四月中旬から五月中旬 | 八月から九月 |
| 中間地 | 三月中旬から四月上旬 | 六月中旬から七月上旬 |
| 暖地 | 二月下旬から三月中旬 | 五月下旬から六月中旬 |
遅れやつまずきの立て直し
月別の表どおりに進まない年のほうが多いものです。大事なのは遅れそのものではなく、どの作業で吸収するかの判断です。植え付けが二週間ずれたら、芽かきと土寄せを前倒しして日数を詰めます。
基準にするのは暦ではなく出芽からの日数です。草丈十五センチで芽かき、つぼみが見えるまでに二回目の土寄せ、この二つの目安さえ守れば、多少の遅れは収穫までに吸収できます。
- 三月に雨が続いたら
- 土がぬかるむ日は植え付けを見送ります。数日遅れても取り返せますが、泥の中に置いた種いもは腐って取り返せません。
- 四月に霜の予報が出たら
- 出芽した株に土を軽くかぶせるか不織布を掛けます。焼けた葉は元に戻らないので、当たる前に手を打ちます。
- 五月に花が咲いたら
- 摘む必要はありません。土寄せ(株元へ土を寄せること)の締め切りが来た合図として受け取り、株元の土の高さを確認します。
- 六月に梅雨入りしたら
- 茎葉が七割ほど枯れていれば、完全に枯れるのを待たずに掘ります。待ちすぎると土の中で腐り始めます。
- 遅れたら日数で追う
- 暦に戻そうとせず、出芽からの日数で次の作業を決めます。草丈と葉色を確かめて、土寄せの締め切りだけは守ります。
| つまずいた場面 | その年に起きること | 立て直しの手 |
|---|---|---|
| 雨続きで植え付けが二週間遅れた | 収穫が梅雨に食い込む | 芽かきを早め、土寄せを前倒しする |
| 芽かきをしないまま草丈三十センチ | 小いもばかりになる | 今からでも細い茎を抜いて絞る |
| 土寄せが開花に間に合わなかった | いもが露出して緑化する | 敷きわらで光を遮り、以降は増し土 |
| 収穫期に長雨が続いた | 土の中でいもが腐り始める | 待たずに掘り、屋内で乾かす |
翌年に効く記録の取り方
残しておくと役に立つのは、植え付け日と出芽日、芽かき(余分な芽を根元から取ること)の日、そして収穫日と採れた重さです。この五つがあれば、翌年に「植え付けが早すぎたのか、土寄せが遅かったのか」を切り分けられます。
あわせて、その年に出た病気と株の場所も書き留めておきます。そうか病や疫病は同じ区画で繰り返すため、翌年の区画替えを決めるときの唯一の根拠になります。
| 残す記録 | 書く時期 | 翌年に効くこと |
|---|---|---|
| 植え付け日と品種名 | 植えた日 | 早植えか遅植えかの判定 |
| 出芽日 | 芽が半分そろった日 | 地温と覆土の深さの検証 |
| 芽かきと土寄せの日 | 作業した日 | 肥大期に間に合ったかの確認 |
| 収穫日と採れた重さ | 掘った日 | 品種と株間の良し悪しの比較 |
品種名も必ず残します。同じ畑でも品種によって出芽の早さや収穫期は一週間以上ずれるので、記録は品種ごとに分けて意味を持ちます。
じゃがいもの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
じゃがいもの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はじゃがいもの育て方にまとめています。
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