冷涼を好む豆だと先に知る
花豆はベニバナインゲンとも呼ばれ、中南米の高地が生まれの豆です。日本では高冷地の作物として知られ、二十度前後の涼しさを好みます。気温が二十五度をこえる日が続くと花が落ちて莢が付かないので、暑い時期をどう避けるかが栽培の中心になります。
高冷地なら五月から六月にまいて夏じゅう穫れますが、関東平野部のような平地では七月から八月に花が落ち続けます。平地では春にまいて株を育てておき、涼しくなる九月以降の着莢をねらう組み立てにします。

| 地域 | 種まきの目安 | 莢が付く時期 |
|---|---|---|
| 高冷地(標高700メートル以上) | 5月中旬〜6月上旬 | 7月〜9月と長い |
| 中間地(関東平野部) | 4月下旬〜5月中旬 | 6月と9月〜10月 |
| 暖地(九州・四国) | 4月中旬〜5月上旬 | 6月中心。秋は台風次第 |
花豆はつるが伸びる期間が長い作物です。まく前に支柱を立てる場所まで決めておくと、あとで植え直さずに済みます。
大粒の種は深めにまく
花豆の種は長さ二センチほどあり、一般のインゲンよりずっと大粒です。大きい種は自分の中に水と養分をたくさん持っているので、浅くまくと発芽のときに種のからを地上へ持ち上げてしまい、双葉が傷みます。深さ三センチから四センチとやや深めにまくのが向いています。
一か所に三粒ずつまいて、本葉が出たころに丈夫な一本か二本を残します。株間は五十センチから六十センチと広く取ります。つるが大きく茂るので、狭いと風が通らず、下の方の花が落ちやすくなります。
- まき穴を作る
- 指か棒で深さ三センチから四センチの穴をあけます。株間は五十センチから六十センチ、条間は一メートル以上あけると作業がしやすくなります。
- 三粒ずつ置く
- 一つの穴に三粒を離して置きます。種のへそ(少しくぼんだ部分)を横向きか下向きにすると根が出やすくなります。
- 土をかけて押さえる
- 土をかぶせて手のひらで軽く押さえ、種と土を密着させます。押さえたあとにたっぷり水を与えます。
- 鳥よけをかける
- 大粒の種は鳥に掘り返されます。芽が出るまで不織布か目の粗いネットをかけておくと確実です。
土は乾かしすぎず湿らせすぎない
まいた直後にたっぷり水を与えたあとは、発芽まで追加の水はほとんど要りません。花豆の種は水を吸いすぎると腐りやすく、雨が続いた畑では発芽率が落ちます。土を握って軽く固まるくらいの湿り気が続いていれば、そのまま待ちます。
発芽は地温が十五度以上あれば一週間から十日ほどです。地温が低い時期にまくと二週間以上かかり、その間に種が腐ることがあります。桜が散って遅霜の心配がなくなってからまくのが目安です。
- まいた日だけたっぷり
- まいた直後に土がしっかり湿るまで与えます。そのあとは表面が乾いても、指を入れて中が湿っていれば追加しません。
- 雨続きは土を高くする
- 梅雨前でも雨が続く年は、高さ十センチほどの畝を立ててからまきます。水がたまる場所では種が腐ります。
- 遅霜を確かめる
- 花豆の芽は霜に弱く、一度当たると枯れます。遅霜の心配がなくなってからまくか、不織布をかけて守ります。
直まきと苗づくりの使い分け
花豆は根が直根性で移植を好まないため、畑に直接まくのが基本です。ただし鳥の害が多い場所や、支柱を立てる場所の準備が間に合わないときは、大きめのポットで苗を作ってから植え付ける方法もあります。
ポットで作る場合は直径九センチ以上の深いものを使い、本葉が二枚から三枚のうちに植え付けます。それ以上大きくすると根が回って、植え付け後の伸びが止まります。
| 作型 | やり方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 直まき | 畑に三粒ずつ深さ三センチ | 本来の姿。根がよく張る |
| ポット育苗 | 深鉢に二粒、本葉二枚で定植 | 鳥害が多い、畑がまだ空かない |
| 購入苗 | 本葉三枚までのものを選ぶ | 少数株だけ育てるとき |
苗を買うときは、茎が太くて節の間が詰まったものを選びます。間のびした苗は植え付けてもつるが細く、花付きが落ちます。
土づくりは石灰を効かせて肥料は控えめ
花豆は酸性の土を嫌います。まく二週間前に苦土石灰をまいて中和しておくと、根の張りがよくなります。豆類は根に付く菌の助けで自分で窒素を作れるので、窒素の多い肥料を入れすぎると葉とつるばかり茂って花が付きません。
元肥(前もって入れる肥料)は完熟堆肥を中心にし、化成肥料は控えめにします。前作に葉物を作って肥料が残っている畑なら、堆肥だけで十分に育ちます。
- 二週間前に石灰
- 一平方メートルに苦土石灰を百五十グラムほどまき、深さ三十センチまで耕します。花豆は根が深く入るので深めに耕します。
- 一週間前に堆肥
- 完熟堆肥を一平方メートルに三キロほど混ぜます。化成肥料はひと握りの半分ほどに留め、窒素を効かせすぎないようにします。
- 畝を高く立てる
- 幅六十センチ、高さ十センチの畝を立てます。水はけがよいと根が深く伸び、夏の乾きにも耐えます。
種まきでつまずいたときの切り分け
芽が出ない、出た芽が消える、双葉が傷んでいる。花豆の種まき直後の悩みは、水のやりすぎか鳥か霜のどれかで説明が付きます。まき直しは五月中なら十分に間に合うので、原因を確かめてから種を足します。
- 二週間たっても出ない
- 土を掘って種を確かめます。ぶよぶよなら水のやりすぎです。畝を高くして水を控え、あらためてまき直します。
- 掘り返された跡がある
- 鳥が大粒の種を狙っています。まき直したらすぐ不織布かネットをかけ、芽が本葉を出すまで外しません。
- 双葉が黒く縮れた
- 遅霜に当たっています。成長点が生きていれば戻ることもありますが、五月上旬ならまき直したほうが早いです。
- 芽が地際で切られた
- 土の中にいる夜行性の虫です。株元の土を浅く掘って探し、見つけたら取り除きます。ネットでは防げません。
種まきの手順
花豆は、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
花豆の種まきでよくある質問
花豆の種はいつまく?
地域と地温に合わせる。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
花豆の種はどうやってまく?
直まき / 育苗が目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
花豆の種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
花豆の種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
花豆は何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
花豆の種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
花豆の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は花豆の育て方にまとめています。
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