採り時は草丈で決める
収穫の基準は日数ではなく草丈です。22〜25センチが標準で、大株にしたい越冬どりでも30センチまでには採ります。それ以上置くと葉が硬くなり、株元から古い葉が黄ばみ始めます。日数はあくまで目安で、同じ品種でも気温で倍近く変わります。
| 作型 | まいてから | 草丈 | 採り方 |
|---|---|---|---|
| 春まき | 30〜40日 | 22〜25センチ | 早めに一気に採る |
| 夏まき | 25〜35日 | 20〜25センチ | 朝の涼しいうちに |
| 秋まき | 40〜50日 | 25センチ前後 | 大きい株から順に |
| 越冬・寒じめ | 60日以上 | 20〜30センチ | 晴れた日の午前に |
生育日数は温度の積み上げで決まります。低温期は表の日数の1.5倍かかると見ておくと予定が狂いません。
抜くか、切るか
- 基本は根ごと抜く
- 株元を持ち、まっすぐ上に引き抜きます。ほうれん草は根元の赤い部分が甘いので、残さず抜いたほうが得です。
- 混んでいるところは切る
- 隣と根が絡んでいるときは、地際にはさみを入れます。無理に抜くと残す株の根が持ち上がり、そこから生育が止まります。
- 間引き収穫で長く採る
- 大きい株から順に抜けば、残った株に光と場所が回ります。1畝を一度に採らず、10日かけて採ると鮮度も保てます。
- 収穫後すぐ水に浸ける
- 抜いたらすぐ根元を水に浸けて、葉のしおれを戻します。畑に置いたまま作業を続けると、その分だけ日持ちが落ちます。
泥のついた根元は、束のまま水に浸けて根を振り洗いします。根を切り落とすのは調理の直前で十分です。
とう立ちが始まったら
株の中心を上からのぞいて、葉の付け根に短い茎が立ち上がり、小さな葉が輪になって出ていたら、とう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)の始まりです。この段階なら味は落ちておらず、まだ食べられます。茎が伸びて節が見えるようになると、繊維が硬くなり苦みが出ます。
とうが立ち始めた畝は、待っても回復しません。全部採ってしまうのが正解です。春まきで一斉に立ち始めたときは、その日のうちに採ってゆでて冷凍しておくと無駄になりません。
- 雄株と雌株を見分ける
- ほうれん草には雄株と雌株があり、雄株のほうが先に立ちます。畝の一部だけ早く立つのはそのためで、品種の欠陥ではありません。
- 立ち始めを見たら全部採る
- 1株でも茎が立ったら、その畝は数日で追随します。畝単位で採りきる判断に切り替えます。
- 次作は品種を替える
- 春まきで毎年立つなら、晩抽性と明記された品種に替えます。管理では覆せない性質の差があります。
寒じめが成立する条件
寒じめは、収穫できる大きさまで育った株を、あえて寒気に当てて仕上げる方法です。株は凍らないように細胞の水を減らして糖を増やすので、葉が地面に張りつくように広がり、縮れて厚くなり、甘みが乗ります。ビタミンも同時に増えることが知られています。
成立には二つの条件が要ります。ひとつは寒気に当てる前にすでに収穫サイズであること。小さい株を寒さに当てても、縮れるだけで太りません。もうひとつは外気5℃前後、地温5〜8℃という本当に寒い時期であること。暖地の12月では足りないこともあります。
| 条件 | 満たす基準 | 満たせないとき |
|---|---|---|
| 寒気に当てる前の大きさ | 草丈20センチ以上 | 小さいまま縮れるだけで太らない |
| 外気温 | 5℃前後の日が続く | 暖地では効果が薄い |
| 地温 | 5〜8℃ | 高いと糖が乗らない |
| 当てる期間 | 2〜3週間 | 短いと葉が縮れきらない |
品種は選びます。縮み系や寒じめ向きと書かれたものが縮れやすく、春まき用の品種では効果が出にくいです。
寒じめの手順
- 10〜11月にまいて年内に育てる
- 越冬・寒じめ用は最終株間を10〜15センチと広く取ります。詰めると葉が立ち上がり、地面に張りつく形になりません。
- 前半は日中だけ開ける
- トンネルや不織布の裾を昼だけ開け、夜は閉めます。7〜10日かけて、いきなりではなく段階的に寒さに慣らします。
- 後半は終日開放する
- その後は昼夜とも開けたままにします。合わせて2〜3週間で葉が縮れ、厚みが出て、色が濃くなります。
- 縮れて厚くなったら採る
- 葉が波打って地面に広がり、持つとしっかり厚みを感じたら仕上がりです。凍った朝ではなく、解けた午前に採ります。
露地でも寒風に当てれば同じことが起きます。設備がなくても、雪の少ない地域なら不織布を外すだけで足ります。
収穫後の扱いと保存
- 立てて冷蔵する
- 湿らせた紙で根元を包み、袋に入れて立てて野菜室へ。寝かせると株が起き上がろうとして体力を使い、葉が黄ばみます。
- 多いときはゆでて冷凍
- かために塩ゆでして水にさらし、水気を絞って小分けにします。とう立ちで一度に採りきったときの逃げ道になります。
- 寒じめは早めに食べる
- 糖と水分の状態が特別なので、置くと持ち味が落ちます。採ったその日か翌日までに食べるのがいちばんです。
- 根元の赤い部分は残す
- 根元の赤みは甘みの強い部分です。切り落とさず、十文字に切れ目を入れて泥を洗い出してから使います。
うまく採れなかったときの原因を切り分ける
収穫でつまずく形は決まっています。硬い、えぐい、小さい、株ごとに大きさがそろわない。それぞれ原因が違い、次の作で直せるところも違うので、採り終えた時点で切り分けておきます。
とくに春まきは、採り遅れが失敗のほとんどを占めます。10日待てばもう少し大きくなるという判断が、とう立ちで一畝を失う結果につながります。迷ったら早く採るのが春の正解です。
- 大きい株から順に採る
- 一度に採りきれない量をまいたなら、大きい株から間引くように採ります。残った株に光と場所が回り、そろって太ります。
- 採ったら記録に残す
- まいた日と採った日、そのときの草丈を残します。2年分たまれば、自分の畑での日数の目安がはっきりします。
| 見えている症状 | 考えられる原因 | 次の作で直すこと |
|---|---|---|
| 葉が硬く筋っぽい | 採り遅れととう立ち | 草丈22〜25センチで採りきる |
| えぐみが強い | 窒素を効かせすぎた | 元肥を控え、追肥を1回に絞る |
| 株が小さいまま止まった | 酸性か根の障害 | 酸度を測り、次作の前に石灰 |
| 大きさがそろわない | 発芽がそろわなかった | まき溝の底を平らにして深さを均一に |
採り遅れだけは、翌年に直せる余地がいちばん大きい失敗です。まく日をずらして採り時を分散させるだけで、硬い葉を出さずに済みます。
ほうれん草の収穫に使うもの
穫るときより、穫ったあとに困ります。入れるものと、しまうものを先に用意しておきます。
- 収穫ばさみ探す言葉「収穫ばさみ 野菜」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜7cm のステンレス製。先が丸いものは実を傷つけにくいです。
引きちぎると株のほうに傷が残り、そこから病気が入ります。次の実を穫るつもりなら、切って穫ります。
- 折りたたみコンテナ探す言葉「折りたたみコンテナ 20L」
- 規格の目安
- 20L 前後。使わないときに畳めるものが置き場所を取りません。
袋に入れると重みで下の実が潰れます。積み重ねられる箱なら、そのまま持ち帰れます。
- 鮮度保持袋探す言葉「野菜 鮮度保持袋 有孔」
- 規格の目安
- 厚さ 0.02mm 前後の有孔ポリ袋。葉物用と実物用でサイズを分けます。
穴のない袋に入れると蒸れて傷みます。穴あきの袋は湿りを保ちながら呼吸を通します。
- 新聞紙・保存箱探す言葉「野菜 保存 コンテナ 通気」
- 規格の目安
- 通気穴のある箱。根菜は新聞紙に包んで立てて入れます。
根菜と芋類は洗わずに土を落として乾かし、暗く涼しい場所に置くほうが長くもちます。
- よく切れる普通のはさみで足りる作物は多く、専用の収穫ばさみが要るのは硬い茎のものだけです。
- 真空保存機は、量が出るようになってから考えれば十分です。
ほうれん草の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はほうれん草の育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。