間引きは2回に分ける
一度に最終株間まで広げると、残した株が倒れやすく、風で根が揺れて生育が止まります。2回に分けるのは、隣どうしが軽く支え合う状態を保ちながら少しずつ広げるためです。遅れるほど根が絡んで、抜くときに隣を傷めます。
遅れの害は倒れやすさだけではありません。混んだままだと株元に湿気がこもってべと病の起点になり、光を奪い合った株は茎ばかり伸びて葉が薄くなります。間引きは収量を削る作業ではなく、残す株を太らせる作業だと考えます。
| 回 | 時期 | 株間 | 同時にやること |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 双葉が開き本葉1〜2枚 | 3センチ前後 | 雑草を抜き、株元へ土を寄せる |
| 2回目 | 本葉3〜4枚 | 5〜6センチ | 1回目の追肥と中耕 |
| (大株どり) | 本葉5〜6枚 | 10〜15センチ | 越冬・寒じめ用は広く取る |
間引き菜は本葉2枚以上あればおひたしで食べられます。捨てる前提でまいた分を回収する工程だと考えます。
どれを抜いてどれを残すか
- 残すのは中くらいの株
- 飛び抜けて大きい株は徒長(間のびして弱く伸びること)していることが多く、後で倒れます。葉が厚く、茎が短く詰まった中くらいの株を残すと最後まで安定します。
- 子葉の形がおかしい株を先に抜く
- 双葉が片方だけ、または縮れている株は生育がそろいません。病気の入り口にもなるので優先して抜きます。
- 抜かずにはさみで切る
- 根が絡んでいるときは、地際ではさみで切ります。引き抜くと隣の株の根が持ち上がり、そこから生育が止まることがあります。
- 抜いたあとに株元を押さえる
- 間引きで浮いた土を指で押さえ、残す株の根を土に密着させます。この一手間を省くと、翌日にしおれる株が出ます。
追肥は本葉3〜4枚から
ほうれん草は30〜50日で収穫まで走り切るので、追肥(育てている途中で足す肥料)の回数は多くありません。秋まきなら2回目の間引きに合わせて1回、越冬させる作型と春まきの遅い収穫では2回が目安です。1回あたり1平方メートルあたり化成肥料で30〜40グラム、条間にすじ状にまいて軽く土と混ぜます。
肥料が葉に乗ったまま水がかかると、その部分が焼けて茶色い斑点になります。株にかからないよう条の間に落とし、まいたあとは中耕して土に混ぜてから水をやります。低温期は肥料の効きが遅いので、収穫の2週間前を最後の追肥にします。
| 作型 | 追肥の回数 | 入れる時点 |
|---|---|---|
| 春まき・夏まき | 1回 | 本葉3〜4枚の2回目の間引き時 |
| 秋まき | 1〜2回 | 2回目の間引き時と、その2週間後 |
| 越冬・寒じめ | 2回 | 越冬前の12月前半と、春の伸び始め |
追肥は「切れる前に」入れます。葉色が抜けてから足しても、その株の大きさはもう戻りません。
葉の症状で原因を切り分ける
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 株全体が薄い黄緑、大きくならない | 窒素切れ、または酸性 | 追肥。それでも動かなければ酸度を測る |
| 古い葉の葉脈の間だけ黄色い | マグネシウム不足 | 次作で苦土石灰に切り替える |
| 新しい葉が白っぽく抜ける | 石灰の入れすぎで鉄・マンガンが吸えない | 石灰を止め、腐葉土を足す |
| 葉先だけが茶色く枯れ込む | 乾燥と肥料の濃さ | 水をやり、追肥を1回飛ばす |
複数が同時に出ることもあります。まず酸度、次に水、最後に肥料の順で疑うと外しません。
水やりは発芽後に切り替える
- 発芽までは表土を乾かさない
- 種の吸水が遅いので、この期間だけは毎日見ます。少量を何度もではなく、まき溝が湿る量を朝に一度が基本です。
- 本葉が出たら乾かしてからやる
- 表土が乾いてから、株元にたっぷり。乾湿の差をつけると根が下へ伸び、葉が厚くなります。
- 畑では基本やらない
- 露地の秋まきは雨だけで足ります。1週間以上降らず葉が昼にしおれるときだけ、夕方に潅水します。
- 低温期は朝にやる
- 冬に夕方から夜に水をやると、株元が凍って根が傷みます。晴れた日の午前中に済ませます。
中耕と株元の管理
間引きと追肥のたびに、条間を浅く削る中耕を入れます。目的は雑草を絶やすことと、表面の固まった層を切って水と空気を通すことです。深く入れると根を切るので、表面2〜3センチにとどめます。
株元に土を寄せるのは、株がぐらつくのを防ぎ、地際の茎が寒風で傷むのを避けるためです。ただし成長点まで埋めると芯が腐ります。土は葉の付け根の下までにとどめ、埋めすぎたら指で除きます。
- 中耕は表面2〜3センチ
- 条間を浅く削り、雑草の芽を絶やします。深く入れると横に張った根を切り、その株だけ生育が止まります。
- 土寄せは葉の付け根まで
- 株がぐらつくと根が揺れて肥料を吸えません。土を寄せて支えますが、中心の成長点を埋めると芯が腐ります。
- 雑草は本葉が出る前に
- ほうれん草は初期生育が遅く、雑草に負けます。手で抜けるうちに片づけないと、根が絡んで一緒に抜けます。
収穫が近づいたら中耕はやめます。根を切ると葉のしおれが出て、そのまま収穫の品質が落ちます。
ほうれん草の育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
ほうれん草の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はほうれん草の育て方にまとめています。
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