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ほうれん草の病害虫の警戒

ほうれん草のべと病と害虫|抵抗性表記の読み方と予防の設計

ほうれん草の栽培イメージ

読むのに約 4

べと病は品種選びで半分決まります。表記の読み方と時期ごとの警戒を整理します。

べと病はいつ、どんな条件で出るか

ほうれん草でもっとも警戒すべきはべと病です。葉の表に境目のぼやけた黄色い斑が出て、裏返すと灰色から紫がかったかびが見えます。気温15〜20℃で葉が濡れている時間が長いときに広がるので、秋の長雨と春先の朝露、そしてトンネル内の結露が引き金になります。

厄介なのは、出てから止めるのが難しいことです。胞子は風と水滴で運ばれ、密植した畝では数日で全体に回ります。だから対策は発生後の駆除ではなく、抵抗性品種と畝の作り方、つまり「まく前」に置きます。

条件べと病の危険対応
気温15〜20℃で雨が続く高い収穫できる株から先に採る
朝露が長く残る春先高い畝の向きを風の通る方向に取る
トンネルを閉め切っている高い晴れた日の日中は必ず開ける
株間が3センチのまま高い間引きを遅らせない

収穫直前に広がると打つ手がありません。株間を確保しておくことが、いちばん効く保険になります。

抵抗性表記の読み方

種袋やカタログに並ぶ「R-1」から始まる番号は、べと病菌のレース(系統)の番号で、その品種が抵抗性を持つレースを示します。かつては種苗会社ごとに書き方が違いましたが、現在は国際的に統一された番号で表記されています。番号は病気の強さの段階ではなく、菌の種類の名前だと理解すると読み違えません。

番号は「種類」であって「強さ」ではない
R-16はR-1より強いという意味ではありません。16番のレースに効く、という意味です。数字の大小で優劣を比べないことです。
抜けている番号に意味がある
「R-1〜9、11〜16」のように途中が飛んでいたら、抜けた番号のレースには効きません。自分の地域で流行しているレースが抜けていれば発病します。
番号は増え続ける
新しいレースが確認されるたびに番号が足されます。数年前の品種は最近のレースに対応していないことがあるので、種は買い置きせず更新します。
広いほど無条件に良いとは限らない
対応レースの広い品種は選択肢として有利ですが、食味や作型の適性は別です。地域で実績のある品種を優先します。

どのレースが出ているかは地域で違います。近くの直売所や種苗店で今年の傾向を聞くのがいちばん確かです。

品種に頼らない予防の設計

畝を高くして水を抜く
排水が悪いと葉が濡れている時間が延び、根の障害も重なります。平畝でも10〜15センチ上げるだけで発病の立ち上がりが遅くなります。
最終株間を守る
間引きを1回で済ませて詰めたままにすると、株の間に湿気がこもります。5〜6センチを守ることが最も安価な防除です。
トンネルは日中に開ける
保温のため閉め切ると内部が結露し、べと病には最適な環境になります。晴れた日の午前に開け、夕方に閉めます。
収穫後の残渣を残さない
抜いた株や病葉を畝の脇に置くと、次作の伝染源になります。畑の外へ出すか、深く埋めます。

ケナガコナダニは土づくりの失敗として出る

新芽の付け根が縮れ、成長点が止まって芯が伸びない。虫が見えないのに株だけ止まるこの症状は、ホウレンソウケナガコナダニによることが多くあります。体長0.5ミリ以下で肉眼では確認しにくく、被害の形で気づく害虫です。

この虫は土の中の未分解の有機物を餌に増えます。つまり未熟な堆肥油かす、鶏ふんを直前に入れた畝で発生しやすいということです。対策は殺す方向ではなく、餌を作らないこと。有機物は完熟したものを1か月以上前に入れる、この一点に尽きます。

有機物は完熟のみ、1か月前に
油かすや鶏ふんを直前に入れないこと。入れるなら完熟堆肥を播種の1か月以上前にして、分解を終わらせておきます。
前作の残渣を残さない
すき込んだ葉や根が分解しきる前にまくと、その有機物が餌になります。片づけてから土づくりに入ります。
被害株は畑の外へ出す
芯止まりの株を畝に放置すると、そこから周囲に広がります。抜いて畑の外で処分します。

低温多湿で増えるため、秋から春の作でとくに出ます。芯止まりを見たら、次作の堆肥の入れ方を疑います。

時期ごとに何を警戒するか

警戒するものは季節で入れ替わります。春と秋は虫の飛来とべと病、夏は食害と立枯れ、冬はケナガコナダニです。見回りの目安は週に1回、葉裏と株元の二か所を見れば、たいていの兆候は先に見つかります。

時期警戒するもの前もってやること
春(3〜5月)アブラムシ、ハモグリバエ、べと病発芽直後から寒冷紗をかけて成虫を入れない
夏(6〜8月)ハスモンヨトウ、シロオビノメイガ、立枯れ高畝と排水。夕方の見回りで幼虫を捕る
秋(9〜11月)べと病、ヨトウ類、アブラムシ抵抗性品種と株間の確保。トンネルは換気
冬(12〜2月)ケナガコナダニ、萎凋・株枯れ有機物は完熟のみ。連作を避ける

アブラムシはウイルス病(モザイク症状)を持ち込みます。虫そのものより媒介を止める意識で防ぎます。

病気と紛らわしい症状を切り分ける

症状が似ていても原因は違います。葉裏を返してかびがあればべと病、なければ土か肥料を疑います。株全体が薄いなら酸度、新芽だけ止まるならコナダニ、日中だけしおれるなら乾燥と切り分けます。

見えている症状病害虫か生理障害か確認のしかた
黄色い斑、葉裏に灰色のかびべと病葉を裏返してかびの有無を見る
株全体が薄い黄緑で小さいまま酸性または窒素切れ酸度を測り、追肥への反応を見る
新芽だけ縮れて伸びないケナガコナダニ堆肥の投入時期をさかのぼって確認
日中しおれ、夕方戻る乾燥(生理)土を掘って湿り具合を見る

見分けがつかないうちに薬を使うと外します。まず葉裏、次に土、最後に履歴、の順に確認します。

ほうれん草の収穫までのコツは作物ページに

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